沖縄奄美長文学
 参考文献一覧(2006.5.21現在)

「沖縄奄美長文学」で触れている,または参考にしている文献を記しました。
ま,早い話,自分が持っている沖縄奄美関係の本ということでもあります。
文章中では探しづらいと思うので,とりあえず別記しました。これからも地味に
更新していくつもりです。なお,年代が新しいやつから古いほうに並べています。


1. 地図・ガイドブック
私が旅行記で「持参する地図」という場合は昭文社の以下のもの,
「同・ガイドブック」の場合は
ヤマケーの以下のものを指します。

『ニューエスト47 沖縄県都市地図』昭文社,2002
B5サイズで100ページちょっとなので持ち運びに軽い。なのでいつも重宝しています。主要都市については,中心部図も載っています。版が少し古いですが,ゆいレールが“建設中”ながらも,きちっと路線図が載っています(笑)。

『歩く地図S 沖縄・南西諸島』山と渓谷社,2000
これはいろいろガイドブックがある中で,一番安いの(定価・951円+税)と,B6サイズで版が小さいので選んだと思います。たしか,屋久島に行くときに買ったのかな? この屋久島以南の島がすべて載っています(ただし,島によって情報量はまちまち)。イラストを多投していて,地図を補う意味でこちらも結構重宝しています。
ただし,こちらは間違いなく古くて,大分情報も正確性をなくしつつあるので,新しいものに買い替えてもいいかもしれません。

『南国世果報体験 やえやまGUIDE BOOK』南山舎毎年5月刊行
「沖縄はじっこ旅U」にたびたび登場してきます。「やえやま=八重山」とは,主に石垣島・竹富島・西表島・小浜島・鳩間(はとま)島・黒島・新城島(パナリ)・波照間島・与那国島を中心とした島嶼群のこと。この九つの島の細かい情報が載っているのが当書です。売店・宿泊施設・レストランはもちろん,離島への時刻表も載っていますし,八重山の本やCDの紹介もあります。惜しむらくは,飛行機の時刻表が載っていないことですが,それ以外はホントこと細かく載っているので,八重山にしか行かない方には,この本のみで十分。地図は不要ですね(あるいはレンタカー屋でもらって,その場で活用し,どっかに捨ててきましょう)。
「沖縄」という定義でガイドブックを買うと,どうしても本島にページが割かれてしまい,八重山で得られる情報は限られてしまいます。もちろん,八重山専門のガイドブックは他にあるでしょうけれど,ここまでは細かくないのではないでしょうか。アキスペースにコラムがあって読み物としてもいいし,散りばめられた広告の中には各観光会社のコース案内もあるなど,オススメです。

2. 風景写真集
『沖縄のおさんぽ なつかしい島に帰りましょう』プロジェ・ド・ランディ著,
竹書房,2006

エッセイ集も兼ねていますが,写真が多いのでここに入れます。表紙の「ポークたまご定食」が何とも美味しそう。「なつかしい島に帰りましょう」のサブにもあるように,沖縄のもう一つの魅力である「オールドクラシック」の部分にスポットを当てています。もちろん沖縄にしかないものも多々あるのでしょうが,時として「沖縄こそが日本の原点」とも言われるように,それらの光景はまた「なつかしい日本に帰りましょう」という原点回帰への誘いだとも言えましょう。

『ニライカナイ 神の住む楽園・沖縄』三好和義著・撮影,小学館,2002

何度となく登場し,この旅行記にも影響を与えている写真集です。どちらかというと,美しい景色,美しい遺跡の姿,あるいは素晴らしい芸術作品など,美的なものを結構意識した写真集のように思います。見ていて飽きませんね。
最後に,30年ほど前,三好氏が沖縄に行き始めたころの白黒写真が20数ページに渡って掲載されていますが,これを見るとそのころの沖縄の情景を見てみたくなります。無論,そのころだって空は青かったでしょうし,あらゆるものに色はついていたはずでしょうが,ホントの“沖縄らしさ”っていうのは,モノトーンにして写し出さないと分からないんじゃないかって気がしてきます。
登場してくる旅行記……「宮古島の旅」第1回第2回「沖縄・遺産をめぐる旅」第2回「久米島の旅」第1回第2回「沖縄はじっこ旅」第6回

『南大東島シュガートレイン〜南の島の小さな鉄道』竹内 昭著,岩崎電子出版,2002
南大東島に行く直前に購入。島内を走っていた砂糖きび搬送列車(通称“シュガートレイン”)の跡などを探すのに役だった写真集です(「沖縄・遺産をめぐる旅」第4回参照)。小さい版ですが,情報量は満載。電車好きな人で,このシュガートレインを見るために南大東島に行きたいという方(いるのか?)は,ぜひこの本と,下記宮脇氏の本で予習していくといいでしょう。

『大塚勝久写真集 南の風』大塚勝久著,琉球新報社,1998
4500円以上もする立派な上製本。ページ数も圧倒的に三好氏のより多く,何より民俗的な写真がたくさん納まっているのが特徴です。もちろん,美しい空・海など自然も豊富に入っていますが,いい意味での“ありのまま”感があって,美的という観点からは少しズレるかもしれません。別にそれはそれでいいのですけど,例えば冒頭のさんご礁の海を撮った写真なんかは,ちょっとした“グロさ”すら感じてきます。
個人的には三好氏のを“導入(基礎)写真集”にして,この大塚氏のを“発展編”,でもって次の大田氏のを“専門分野編”(“マニアック”ではありません。念のため(笑))なんてするのがいいかもしれませんね。

『新装版 西表炭坑写真集』三木健編著,ニライ社,1986
「西表リベンジ紀行」第5回はこの本を多いに参考にしました。おそらくは,西表炭坑について唯一の書物ではないでしょうか。かなーり昔の写真やら史料やらがあって,時代を偲ばせます。表紙には,たまにテレビにもトレッキングなんかの企画のときに出てくる西表炭坑の歴史の名残,ガジュマルのからみついたレンガづくりの宇多良炭坑の建物が出ています。この宇多良みたいな場所は,残念ながら行くことがありませんでしたが,間近で見たらさぞ強烈な映像が目に焼き付くことでしょう。

『写真記録 これが沖縄戦だ(改訂版)』大田昌秀著,那覇出版社,1977 
元沖縄県知事の著書は,沖縄戦の写真集。2004年7月の沖縄旅行中,ニライ書房という国際通り沿いのビルの一番奥まったところにある沖縄専門の書店で,思わず買ってしまいました。なお,「サニーサイド・ダークサイドU」第3回第6回「沖縄卒業旅」第7回ではこの本を大いに参考にしました。
もっと大判の別のものもありますが,荷物にしたくなかったこともあって,A5サイズの表記の本にしました。上の三つとは明らかに“違う種類”の写真集ですが,ここに入れることにしました。初版は1977年。2003年まで26回も改訂を重ねている本で,テレビなどでも使われる写真も多く入っています。

3. 女性タレント・アイドル写真集
従来載せていなかった分野ですが,実は結構女性タレント・アイドルの写真集って持っていたりします(笑)。沖縄って従来から写真集のロケ場所として結構有名なスポットですね。いまのところ下記の3冊ですが,これら以外にも,「ロンドンハーツ」の企画で作られた全編沖縄ロケの青木さやか嬢『ヴ・ヴォアイエ・ヴ?』,石垣島と西表島がメインとなっている中谷美紀嬢『光』なども,買ってはいませんけど,この分野に入るかと思います。

佐藤藍子『藍』鯨井秀雄撮影,音楽専科社,2004 
景色をバックにしたものが多いですね。元から派手な顔立ちをしていて健康的で元気なイメージがあるからか,沖縄の派手な衣装がかなり映えて見えるのは,さすが美少女コンテストグランプリだけありますね……って,そんなことはないか(笑)。セクシーカットもあるけど,胸が……ま,いいか。牧志公設市場とか金武町や宜野湾市などのワンカットもいろいろ出てきます。

白石美帆『Transit』藤代冥砂撮影,ワニブックス,2004 
佐藤嬢と違って,ホンワカした元からの雰囲気に,ちょっと気だるい雰囲気を加えたような感じが全体的にある写真集ですね。所々,沖縄の樹木や草花が出てくるので,「あ,これは沖縄だ」って思った次第です。彼女お得意の身体の柔軟さと大開脚も出ています。だからなんだって感じですけど(笑)。

松浦亜弥『まっ!ちゅら』細野晋司撮影,ワニブックス,2004 
タイトルからして「これで撮影が沖縄じゃなかったら詐欺だぞ」って感じですね(笑)。前の2人が大人の雰囲気を所々で出しているのに対して,まだ10代(2006.3.5現在)ということで“健康美”のほうがクローズアップされていますね。グラマーなスタイルの水着姿がヘンにイヤらしく映らないのは,やっぱり彼女の最大の武器であるキュートさから来るのではないのでしょうか。

4. 雑誌・ムック
『田舎暮らしの本 特集・沖縄』
(ムック)宝島社,2006 
下記『沖縄スタイル』などと似たようなものでしょう。本島・宮古・石垣・八重山別になっているのも…ま,ごくありがちだしな。惰性で買いました,ハイ(笑)。

『入門 大人の沖縄ドリル』
(ムック)ダイヤモンド社,2006
何でも『地球の歩き方』の特別編集ものだそうです。沖縄に関する16の事象について,冒頭に四択の問題が10問あって,次に見開きで解答と,それらにまつわる解説が載っている構成立て。従来にない独自のスタンスのムックで,興味深いと思います。「沖縄旅行地理検定」というのがJTBで毎年年末に行われていて,それを意識した作りになっていますが,検定とはあくまで無関係とのこと。「ま,気楽に沖縄を勉強しましょう」って感じのムックでしょうか。

『沖縄2006』
(ムック)竢o版,2006
沖縄のすべてがこの1冊に凝縮されています。メインは本島で,小冊子として離島情報がついている構成立てですね。ま,典型的な本島ガイドブックということですね。同業他社と特に異なる点みたいなものはないですね。“ライフスタイルものムック”の先駆けとしてすっかり定着した『沖縄スタイル』を出している出版社としては,何もいまさらこんな“入門もの”を出さなくてもいいような気がしないでもないですね。

『沖縄の島遊び』
(ムック)JTB,2006
構成立てとかコンセプトが,下記『琉球ブック2005 八重山離島紀行』と似ていますね。ま,それでも女性向きの食事やエステの情報みたいなのが極力抑えられていて,文化や景色にどっちかというと重きが置かれているのが,個人的には好きです。

『Visita 沖縄の時間』
(ムック)JTB,2006
「まだまだ知らない沖縄がある」という表紙の言葉ですが,ハッキリ言ってほとんどのことは知っています(笑)。なのに,ついつい買ってしまうのです。しっかし,こーゆームックで特集されているごはんものというのは,いつ見ても美味そうに映りますね。フォトグラファーが見事なんでしょうか。

『沖縄市場 Vol.12』
(雑誌)光文堂印刷,2006
雑誌のコンセプトは「つくる人と食べる人をつなぐ,くらしの食マガジン」。ほぼ食事や食べ物がメインです。この号の特集は「ちいさな島の旅」。離島の料理がいろいろと出ていますが,どれもこれも地のものを生かして,素朴ながらも地味あふれる食べ物に仕上がっている印象を持ちます。それを食べれば,いつまでも明るく丈夫で元気でいられるような。

『全国沖縄料理店本』
(ムック)伽羅可楽,2005
その名のとおりの本です。勢いで買っちゃいましたが,かなり他の同様の本とかぶっています。それにしても,いくつか似たような本を買ったというのに,いまだ北区豊島にある「ハイビスカス」という沖縄料理屋が載りませんね。ま,私もまだ前を通ったことしかないんですが,意外と見落とされている店が多いなぁと思った次第です。それだけ(笑)。

『沖縄戦新聞』
(新聞)琉球新報社,2005
沖縄戦で起こった重要な出来事を14号分,当時の史実などを基にして新聞の形で報道するというスタイルのものです。当時は言論統制があってなかなか伝わらなかった真実が,この新聞で新たによみがえる……と書けばよいのかな(笑)。発行の日付が当時その出来事が起こった日からちょうど60年目の日付になっているのがミソでしょう。

『Wit』
(雑誌)メディアファクトリー,2005

「自分スタイルを楽しむためのクオリティライフ誌」が先般創刊されましたが,その第1号が「大人のオンナの心を癒す旅案内 知られざる沖縄の心地よい空間」というテーマで沖縄の特集を組んでいたもので,「どーせ似たり寄ったりだろう」と思いつつも,表紙のハセキョー嬢にひかれて買ってしまいました(笑)。宮古島の各地で撮られた彼女の写真がなかなかステキです。あと,「沖縄惰性旅」第3回の大宜味村「芭蕉布会館」の項では,この雑誌に登場する平良敏子氏の記事を参考にしています。


『沖楽(おきらく) vol.1,2,3』
(雑誌)ライトプレス出版社,2005
第2号が最近出ました。これもまた定期購読みたいになるでしょう(笑)。まだ買ったばかりで読んでいません。見た感じはいろいろな沖縄関連の雑誌・ムックと似たような感じですが。表紙には「大人の沖縄を求めて」という見出しがありますが,多分そんな感じでしょう(笑)。

『街ぐらし
沖縄人の命薬(季刊雑誌)エフジー武蔵,2005
メインは沖縄の食です。この本を見て,大宜味村の「えみの店」,宮古島は下地町の「おいシーサー」に行ってメシが食いたくなりました。なお,トップページには「おいしゅうございます」でおなじみの岸朝子氏がゲスト編集長コラムとして,サブタイトルにもなった「沖縄人の命薬(うちなーんちゅのぬちぐすい)」が収録されています(下記『沖縄時間―本物のスローライフの見つけ方』も参照)。

『ていねいに暮らす
いただきたい! 沖縄の底力
(雑誌「美しい部屋」別冊)主婦と生活社,2005
タイトルの“ていねい”というよりは,沖縄の衣食住全般について,いわゆる“豊かな仕事”“豊かな生き方”をしている人たちを紹介しています。もちろん,その豊かさを得るためには,どんな苦労も厭わない,時には「妥協なき生き方」が必要になり苦労が伴うかと思われますが,ここに登場する人たちの顔には,そんな裏での苦労や葛藤など微塵も感じさせないくらい,明るく前向きな印象を持ちます。

『島へ。2005年7・9月号』
(雑誌)海風社,2005
「日本で唯一の島マガジン」と題する雑誌。7月号は西表島,9月号は石垣島を特集しています。ちなみに。9月号は表紙が夏川りみ嬢ですが,まあ随分××ですねぇ(笑)。

『沖縄のそばと食堂'05〜'06』
(ムック)ジャニス,2005
沖縄県内のそば専門店と大衆食堂256店を紹介したもの(主に沖縄本島の店ですが)。普通,ムックだと宿泊・観光・特産品などと並列して食が紹介されることが多いですが,この本のように食ばかり,しかも大衆食堂とそば専門店のみにスポットを当てた本はなかなかないと思います。A5判・160ページで値段が1260円とは割高感が少々ありますが,これを持って朝昼晩と街の食堂ばかりを巡っていく“B級グルメ旅”もまた面白そう。ただし,カロリーオーバーと体重オーバーの責任は取れませんので悪しからず……。

『Rakuen沖縄
〜いちばん近い楽園沖縄&噂の離島リゾート(ムック)昭文社,2005
その名のとおりの本です。「取り外して使えるOKINAWAN MAP」というのがついているので,ちょっとした地図が必要なときに便利ですかね。

『沖縄リゾートスタイル 2005』
(ムック)竢o版,2005
これもその名のとおりの本です(笑)。いろーんなリゾート施設がありますね。特に沖縄本島の北部には。どこがどう違うのか分からないくらいにゴージャスで美しい。ちなみに,私はそれらのいずれにも停まったことがありません。ま,せめてそのゴージャスさと美しさにウットリするしかないですねぇ。

『沖縄便利帳』
(ムック)竢o版,2005
サブタイトルは『オキナワ生活のすべてがこの1冊でわかります』。大きくは,「県民生活情報編」「市町村別データ編」の二つに分かれ,前者は「住居」「交通」「通信」「メディア」「仕事」「医療」「教育」「お金」「買い物」の九つに分け,後者は各市町村の水道やゴミ分別などの「基本情報」や,医療施設や文化施設などの「施設案内」などが盛り込まれています。

『琉球ブック2005 八重山離島紀行』
(ムック)山と渓谷社,2005
上述の『やえやまGUIDE BOOK』とともに,八重山の九つの島オンリーで1冊になっているムックです。しかし,ガイドブックというよりは,九つの各島それぞれ違う“顔”にスポットを当てた読み物的構成になっているのが特徴です。例えば西表島は密林紀行,竹富島は集落の原風景,波照間島は幻の島“パイパティローマ”など。もちろん,人口7人のパナリ島もしっかり紹介されています。

『アイランドガイド沖縄 3.宮古島』
(ムック)竢o版,2005
表紙にある「丸ごと1冊宮古島です」というフレーズのとおり,宮古島と周辺離島にスポットを当てた情報ムック。八重山については,上記のように専門ムックをそろえていたのですが,この11月に宮古島にまた行くことになったもので(「管理人のひとりごと」Part58参照),前から本屋さんにはシリーズもので置かれていたものですが,今回買った次第です。下手な地図持っていくよりも,これ1冊で問題なさそう。

『楽園生活』
(ムック)実業之日本社,2005
ハワイ・タイ・マレーシア・フィリピンそして沖縄……人気の移住地を比較した1冊です。沖縄というよりは南国リゾートというのがテーマですね。外国ではタイが比較的暮らしやすいみたいです。なお,巻頭では沖縄にアトリエを持っている俳優・中尾彬氏による,沖縄の魅力に関するインタビューが掲載されています。

『沖縄レストランガイド2005』
(ムック)竢o版,2004
沖縄本島,石垣島の和洋中華および沖縄料理店,および本土の沖縄料理店を紹介したもの。いかにもって感じの写真がズラズラと並んで,とても食欲をそそる構成立てです。沖縄に行ったからにはゴーヤとかラフティを食わないと…と思ってしまいがちですが(私だけ?),これを見て,沖縄の風光明媚な場所で洋食や中華なんて食べてみたら,それはそれでまた違った印象に残るかもしれません。

『リアル沖縄』(ムック)竢o版,2004
民俗・宗教・食・祭り・移住……ま,ありがちなコラム集&ガイドブックと言いましょうか。いろいろと本を読んでいる人にしてみれば,特段新たな視点からどうこう…というのはないと思われますが,下記『沖縄スタイル』を出版している会社のムックだけに,コンセプトは表紙にもあるように「移住のための沖縄生活事情」というものです。とりあえず「できるだけ,どんな小さいことでもいいから,沖縄の情報を集めたい」という人にはオススメでしょうか。

『Esquire 2004年9月号』(雑誌)エスクワイアマガジンジャパン,2004
テーマが「琉球,日々酔郷」というテーマだったので買ってしまいました。タイトルの通り“酒にまつわるエトセトラ”ってところでしょう。中でも,南大東島でさとうきびからラム酒を造っているなんて情報は初耳でした。あと,場末のバーやらスナックって,私1人ではとても行きづらいですが,こういう場所ほどなかなかディープな沖縄料理を食べさせてくれるようですね。
うーん,これを見ていると,たとえささやかでもいいから,とても美味い沖縄料理を肴に泡盛をチビチビやりたくなってきます。ただし,間違ってもジュース割りではなく,水割りでしょう……あ,私はストレートではまったく歯が立たない人なので,あしからず(笑)。

『プライオリティ 沖縄』(ムック)アクセス・パブリッシング,2004
「ザッツ・リッチな沖縄旅」って感じの情報ばかりです。多分,安月給の私にはあまりにかけ離れた場所ばかり紹介されていますが,ま,読んでみてとりあえず行った気になるにはいいのかもしれません。ただし,タイトルの“プライオリティ”には値段が高いだけでなく,単なるミーハーとか「海がキレイ」とかではない“ワンレベル上の楽しみ方”という意味も含まれていることを,付け加えておくべきでしょう(「サニーサイド・ダークサイドU」第4回参照)。

『厳選 沖縄ビーチガイド』(ムック)洋泉社,2004
ホントにビーチオンリーのムックです。それにしても,こんなにビーチがあるんですねって感じ。さすがに,これらをすべて“つぶす”気にはなりません(笑)。地図やガイドブックには載りきらないからこそ,こういうムックがまた成り立つんでしょう。あと,巻末の離島への交通情報は,なかなか使えると思います。「サニーサイド・ダークサイド」第5回に書いたように,これを見て渡嘉敷島の阿波連ビーチに行きました。

『エフ・トラベル 沖縄で癒す』(ムック)主婦の友社,2004
たしか『エフ』って女性誌でしたっけ? だからか,女性が見て楽しめそうな構成立てですね。こーゆーのを見て「かわいー」とか「キレイー」って言うんでしょうか。やっぱり“美容”とか“ヘルシー”のページがあるのが,女性誌足りえているでしょう。写真も実に美的です。

『TokyoWalker EXCLUSIVE 好きさー沖縄』(ムック)角川書店,2004
アサヒビールお客様生活文化研究所というところが『TokyoWalker』とコラボして作った本。ま,いろんな情報が載っていますけど,とじ込みのHIROMIXの写真集って必要なのかな? 発売から少し経って買いましたが,発売時は店頭で従業員が声出してましたね。

『沖縄スタイル 01〜12』(雑誌)竢o版,2004〜2006 
この本って売れてるんですよね。「沖縄で生活すること」にスポットを置いた本です。この出版社からは,今では「湘南スタイル」「軽井沢スタイル」なども出ているようです。巻末に物件情報を載せているのが何とも言えないですが,この間わしたショップに行ったらば,ホントに分厚い物件情報雑誌が置いてありました(笑)……話を戻して,写真に載っているのはいずれも,口には出さない地道な努力を積み重ねて成功した人たちのもの。純粋な気持ちのみで「この写真の通りになれるんだ」では,必ず痛い目に遭うことを心得ておかなくてはなりません。なお,08の表紙の男性は「西表リベンジ紀行」第6回に出てくる“三郎オジイ”です。このオジイがなかなかスゴイ人なんです(詳細は上記旅行記で)。

『Esquire 2004年2月号』(雑誌)エスクワイアマガジンジャパン,2004
上記9月号の前に,すでに沖縄を特集したやつがあったんですね。有楽町の三省堂に『Esquire』のバックナンバーが置かれていますが,その中から発見しました。テーマは「沖縄時間」。本土とは明らかに異質で独特の“時間”が流れている沖縄を,いろんな角度・視点から分析している……と書いたらカッコいいのかしらん? なお,グルメの類いは一切ありませんので,念のため。

『うるま 2003.12,2005.12,2006.2,3,4,5』(雑誌)三浦クリエイティブ,
2003,2005,2006

上記2005年12月で93号ということで,今から7年前に発刊の雑誌です。何度となく大きな本屋さんとか「わしたショップ」などの店頭で見てきましたが,今回初めて買いました。もしかしたら,この雑誌も他の雑誌と同様に定期購読になりそうです。2005.12号は,トップ記事の「宮古島のパーントゥ」について「宮古島の旅ファイナル」後編で参考にさせていただきました。そのために買ったのです。
2003.12号は,2005年年末に伊是名島に行こうかと思っていて,たまたま目に入ったのを買ってしまったのですが,セスナ機で行こうと思ったらば1機チャーターじゃないとダメらしくて,あっさりあきらめました。たしか,1機20万円だったか(注・今年(2006年)4月にフェリーで行きます)。なお,2006年以降分は毎回惰性で買っています(笑)。

『奄美復帰50周年企画 島唄の風景』南日本新聞社編,2003
奄美にまつわる民俗・文化・歴史など,さまざまな事象を見開き2ページで紹介していくものです。「奄美の旅ファイナル」では,結構参考にしていくでしょう。新聞社の編集らしく,ちと話題は硬派です。ちなみに,見開きで右ページはタイトルと写真のみなので,実質1ページなのですが,奄美各島のさらに個別の集落にスポットを当てて紹介しているので,旅に出る前に読んでおくと,その場所に行く面白さが出ていいでしょうね。大きな書店だったら置いているでしょう。

5. 文庫・新書
『沖縄・離島のナンダ!?』沖縄ナンデモ調査隊編,双葉文庫,2006

結構,この手の本は読んでいますが,何度読んでもどっかに必ず新鮮な発見があったりするものだから,買っちゃうわけですね。無論,「それ何度も聞いた」ってのもそれなりにあったりしますが(笑)。

『なんくるなく,ない
沖縄(ちょっとだけ奄美)の旅の日記』よしもとばなな著,
新潮文庫,2006

沖縄旅行記ですね。プラス彼女らしい視点というか書き方というか,素人が書いたものとはまた違うエッセイと思います。言葉をよく知っている人ですね。やんばるで自身が見たことのなかった自然のあるがままの姿を見たりとか,波照間島で毎日美味しい汁物に出会える幸運があったりとか,読んでいてワクワクしてくる本だったと思います。そしてエピローグとなる「最後に」では,私も納得させられるような「なぜ沖縄がいいのか?」という彼女なりの理由が書かれてありますが,なかなか秀逸です。

『沖縄学
ウチナーンチュ丸裸』仲村清司著,新潮文庫,2006 
渡名喜島に行ったときに旅の友になったのがこの本です(「沖縄惰性旅」中編参照)。別に渡名喜島とは何ら関係のない,ごくごくスタンダードな沖縄関連の読み物です。6.その他書籍で紹介されている氏の本と内容もそれほど変わりませんが,それでも読んじゃう私って……。

『沖縄「戦後」ゼロ年』目取間俊著,NHK生活人新書,2005
沖縄県出身の芥川賞作家による沖縄論。両親はじめ身内が戦争体験していることもあり,それらのエピソードはなかなか強烈です。また,本土に対する不信感が随所に見られるのも特徴でしょうか。タイトル通り,「戦後60年」と呼ばれる2005年は,沖縄にとってはまだ「戦後」ではなく「戦時中」なのである――いわゆる“ダークサイド”である「戦争と米軍基地」をヘビーに感じ取れる好著と思います。

『南の島で,暮らそうか!』バンガートめぐみ著,角川oneテーマ21,2005
沖縄・奄美の移住および生活をテーマにした本。「ケーススタディ」ということで,移住および仕事の体験談も載っています。

『沖縄・奄美《島旅》紀行』斉藤潤著,光文社新書,2005
沖縄奄美の「個性的な旅行記」として好著と思います。石垣島の北部で海岸沿いにある牧場を歩いて見つけた牛の頭蓋骨のエピソード,興味深いです。また,宮古島と橋でつながる池間島へ,車ではなくて徒歩で渡ったエピソードなんて,1回やってみたいです。11月に宮古島に行くことが決まりましたが,時間があったらやってみたいな〜。

『沖縄生活誌』高良勉著,岩波新書,2005
タイトルそのまんまに沖縄の生活・風習・文化などを,著者自身が体験したエピソードを交えつつ,「公務員兼詩人」というユニークな立場から肩の凝らない感じで書かれている本です。とはいえ,一方では「二十歳の転換点」という項目では,苦い思い出を味わった“70年安保”と“学生運動”の体験話がつづられ,激動の人生を歩んできたことも分かります。

『沖縄上手な旅ごはん』さとなお著,文春文庫プラス,2005
帯にある「食べて旅して沖縄を楽しみつくす,究極の沖縄ガイド」という通りですね。料理というよりは食材にスポットが当てられています。この中で,岩手県と石垣島との友情から誕生した泡盛「南雪」の話は,著者も書いていますが「プロジェクトX」風の感動物語です。記憶にも新しい1993年の記録的な冷夏と東北地方での冷害。これがきっかけで,一つの泡盛が誕生していくわけですが,その詳しい内容は本をご覧ください。

『住まなきゃわからない沖縄』仲村清司著,新潮文庫,2004
下記『沖縄チャンプラ亭』と結構内容がかぶっているエッセイ集ですが,移住するまでのプロセスはこちらのほうが詳しく書かれています。中にも書かれていますが,著者は移住当初,収入を得るのになかなか苦労したようですが,前向きにとらえて克服。いまではその著書数からも,かなりの忙しさがうかがえます。

『日本全国 離島を旅する』向一陽著,講談社現代新書,2004

北海道から沖縄まで,全国の離島という離島を旅したコラム集。沖縄奄美は全体のページの4割ほどを占めています(ただし,沖縄本島は載っていません)。一つの島で10ページ前後ですが,淡々としかしながら読みごたえのあるコラムです。

『琉球布紀行』澤地久枝著,新潮文庫,2004
沖縄はまた,独自の織物で有名な場所です。さっき“専門分野編”と書きましたが,沖縄の織物に関心がある方は,間違いなくこの本がオススメです。歴史・背景・製法,そしてそれを創る職人のすべてに渡って細やかに書かれています。沖縄の織物の職人は,ほとんどが女性。同性だからこそ書けた本だと思えてなりません。「沖縄はじっこ旅」第6回,与那国民俗資料館での衣類の説明は,この本も参考にしています。
 
『日本人が食べたいほんもの』向笠千恵子著,新潮文庫,2004
粟国島の塩がこの本で書かれているので入れています。この人の本を読むと,日本の食べ物がいかに優れていて,水準が高いかに誇りが持ててきます。「どっちの料理ショー」なんかでもしばしば紹介されていますけど,食べ物のマイスターが,全国にこんなにもいるってことが誇りですし,何より有り難いことなのです。でも,いまだ「質より量」を抜け出せない私が,ホントの味に気づくのはいつのことやら……。

『オキナワドリーム』天空企画編,光文社知恵の森文庫,2004
沖縄出身の有名人および沖縄に根を張って生きる人たちにスポットを当てた本。人それぞれに人生があり,沖縄に対する熱い思いもさまざま……と,こんな感じで書いておきましょう(笑)。いろーんな分野の人が登場し,結構ポップでかなり雑多な印象を持ちますが,それがまた“チャンプルー文化”の沖縄らしさってものかもしれません。なお,この天空企画編の文庫は他にも2冊あります。

『うりひゃー!沖縄』アジア光俊・文,よねやまゆうこ・絵,光文社知恵の森文庫,2004
沖縄の庶民文化,それもホントにB級ないしC級なもの全般にスポットを当てている本です。「定番,裏番,超裏番」の章は,その真骨頂と言っていいでしょう。“タピオカ入りミルクティ美容酢入り”“やぎみるく”“きっぱん”“テンピのメーまんじゅう”……久しぶりに那覇市内に繰り出して試してみたいですね。空港の売店じゃなかなか置いていないものばかりだもんなー。

『沖縄料理のチカラ』岸朝子著,PHPエル新書,2003
下記『沖縄時間―本物のスローライフの見つけ方』の前に書かれた著書。どちらかといえば,タイトルのように沖縄料理の説明に重きが置かれています。この本で「チャンプルー」が「島豆腐の入った炒め物」であることを知りました。例えば「ソーミンチャンプルー」というのは本来島豆腐が入らないことが多いので,正しくは「ソーミンタシヤー」と言うそうです。プラス,『沖縄時間〜』でも取り上げられていますが,氏が一時期過ごした本島の大宜味村の話も前半でちらっと書かれています。

『鉄道廃線跡の旅』宮脇俊三著,角川文庫,2003
2003年2月に惜しくも亡くなられた鉄道ノンフィクション界の巨匠。本書は全部で7つの廃線跡が紹介されていますが,その中の一つに南大東島のシュガートレインが紹介されています。上記『南大東島シュガートレイン〜南の島の小さな鉄道』に書いたように,南大東島へシュガートレインを見に行くときの参考アイテムになるでしょう(「沖縄・遺産をめぐる旅」第4回参照)。元々はJTBで発行されてロングセラーとなっているシリーズの1冊。JTB版のほうが写真や資料も豊富だったと思うので,あるいはそっちを買われてもいいかも。

『オキナワなんでも事典』池澤夏樹著,新潮文庫,2003
この本は,沖縄に行くに当たってのマニュアル本と言っていいでしょう。288(違ったらゴメンなさい)ものキーワードを102人の執筆者が書いたもの。2段組で,1段程度から数ページに渡るものまで,また,内容も書き方も人それぞれさまざまですが,読んでいて飽きません。
池澤氏が巻末に書いていますが,元々は新潮社の「とんぼの本」で発売されている(今もあると思います)ものが,ネット時代の流れに乗ってCD‐ROMとweb版になり,そうしたらまた本で復活してほしいというものだから,今度は形を変えて文庫本になったとのこと。ただし,ネットに載っていた項目数588には遠く及ばないので,さらに詳しくご覧になりたい方はネット版を見たほうが早い……と思ったら,さる3月いっぱいで閉鎖されてしまいましたね。残念。うーん,ってことはこの文庫版か「とんぼの本」が,いまや貴重な情報源なんですな。

『沖縄 時間がゆったり流れる島』宮里千里著,光文社新書,2003
上記『オキナワなんでも事典』,下記『沖縄ナンクル読本』ともに執筆しているエッセイストの著作。プロフィールに「民俗祭祀の録音記録者」と記されているように,沖縄の生活や民俗的事象について詳しく書かれている本です。これもまた沖縄への導入本にはふさわしいでしょう。たしか,那覇市役所の職員だと思います。で,ちなみに男性です。
蛇足。後記『沖縄 ポップカルチャー』に掲載されていますが,奄美大島・笠利町出身で沖縄を放浪した盲目のストリート・ミュージシャン里国隆(さと・くにたか,1918-85)氏が1982年,那覇市平和通りの路上で演じた歌と演奏を,たまたま通りかかった宮里氏が録音し,それが99年にCD『路傍の芸 里国隆』として発売され,反響を呼んだそうです。まさしく「民俗祭祀の録音記録者」の面目躍如といったところでしょう。

『沖縄オバア列伝』沖縄オバア研究会編,双葉文庫,2003
名前の通り,沖縄のオバア(お婆さん)について,いろーんなエピソードからいろーんな側面で分析している本です。精神的にも実にたくましくて,いまだに全国女性長寿1位をキープする県であることがよーく分かると思います(ちなみに,男性は全国長寿26位だしたか)。「年齢のわりにはしっかり“女”を忘れていないトコがある」っていうフレーズが何回か出てきますが,そうなのでしょうか。私にはいまいちピンとこない(笑)。

『沖縄やぎ地獄』さとなお著,角川文庫,2002
上記『沖縄上手な旅ごはん』にも紹介されていたこともあって買いました。タイトルコラムをはじめ,沖縄の食に関するいろんなコラムが収められています。タイトルコラムは,初めてのヤギ料理で強烈な体験をし,以後改めて奥さんと子どもを連れてヤギ料理の店に行くと,初めてのはずなのに子どもが「もっともっと」とヤギ料理をせがんだ…という,ものすごい舌を持つ子どものエピソードは面白いです。また,沖縄そばにとりつかれ,その美味さの秘密にトコトンせまるために実験までしていくコラムも,なかなか面白いですね。

『沖縄ナンクル読本』下川裕治・篠原 章編著,講談社文庫,2002
文庫本で書き下ろしという,この種の本としては個人的には珍しいと思っている本。上記『オキナワなんでも事典』をもっと読み物風に雑多な感じにして,下記『沖縄 ポップカルチャー』よりは少し硬派で民俗にスポットを当てた感じの本です。こちらもまた,沖縄に行くに当たってのマニュアル本にはちょうどいいでしょう。

『沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕』石原昌家著,集英社新書,2000

タイトルのように,「サニーサイド・ダークサイドU」第2回で書いた玉城村の“アブチラガマ”,「沖縄はじっこ旅」第8回で書いた糸満市の“轟の壕”に行くきっかけになりました。内容はそれらに書いた通りです(“轟の壕”についてはあまり詳細は書いていないので,この本を参照ください)。
実際中に入っていったアブチラガマは,いかんせん真っ暗で何も見えなかったですし,轟の壕についてはそもそも中にすら入れなかった(入ろうと思えば入れたでしょうが)ので,この本があってとても助かりました。本の冒頭には沖縄本島南部にあるガマの一覧が載っていますが,かなり多いんですね。もっとも,そのほとんどは観光地になっていない手付かずのものばかりですが。


『沖縄文化論――忘れられた日本』岡本太郎著,中公文庫,1996
こちらは,下記『沖縄 魂の古層に触れる旅』とともに,「沖縄・8の字旅行」第2回で書いた久高島へ行くきっかけになった本です。文庫本は1996年発刊ですが,オリジナルは1972年。でもって,岡本氏が沖縄に訪問したのは,1959年と1966年の2回。いずれも米軍統治下だったころのこと。写真がモノクロの世界だったころの話であり,中でも訪問の数カ月前に台風に襲われ,“ソテツ地獄”に苦しんでいるという宮古島のくだりは,時代を感じさせる内容でした。
世界的に有名な著者らしいというか,沖縄の伝統芸術に対してのコメントが興味深いです。例えば紅型や首里の遺跡については「なるほど,いいものではある。だが,それはただ,いいものであるにすぎないもの」。その一方では読谷の闘牛場で見た,歓喜の踊り(?)をする中年女性を「最も純粋で,直接的エクスプレッション」。でもって,最も彼が感動したものが御嶽。いわく「何もないということの素晴らしさに驚嘆した」――個人的には,どうしても岡本氏というと,晩年のエキセントリックなイメージがつきまとってしまうのですが,これについてはとても硬派な文化論です。そのエキセントリックなイメージが覆りました。

『沖縄の歴史と文化』外間守善著,中公新書,1986
こちらも硬派な本ですが,ホントに論文っぽい感じがして,また似たような本を何冊も読んでいたもので,飛ばし読みしてしまいました(笑)。すいません。あとがきを読んだら「NHK大学市民講座」のテキストだったようで,どおりで硬かったわけだ。内容は多分,表題の通りでしょう(笑)。

『死の棘』島尾敏雄著,新潮社,1981
島尾氏の私小説とも言える著作。小説に出てくる“伸一”とは『東京〜奄美 損なわれた時を求めて』著者である息子の伸三氏,“マヤ”とはそのものズバリ娘のマヤ氏,そして妻は……うーん,加計呂麻島に行く(「奄美の旅ファイナル」第3回参照)前に読み終えたかったのですが,600ページ余りのうち,30ページほどしか読んでおらずそのまま。内容も忘れかけています(笑)……。

『沖縄・先島への道 街道をゆく6』司馬遼太郎著,朝日文庫,1978
「街道をゆく」シリーズの1冊。返還後間もない1974年の旅の話です。歴史小説を多く書いてきた著者らしく,沖縄各地の歴史的背景と実際の旅先でのエピソードを半々ずつ織り交ぜたような構成立てですね……って,実はあまり著者の本って読んだことがないので,ホントのところは分かりませんが(笑)。

6. その他書籍
立松和平 日本を歩くE 沖縄・奄美を歩く』立松和平著,黒古一夫編,
勉誠出版,2006

下記『沖縄 魂の古層に触れる旅』と内容もダブりますが,氏が与那国島にサトウキビの援農隊で上陸したときのことや,那覇の波之上にあるバーで帰りの旅賃を稼ぐために働いたときのことが書かれています。いろんなところで同じテーマで書いているものを集めたって感じなので,何度も同じことを繰り返し読む印象を持つのはしょうがないところですが,結構読めちゃうんですよね。上記援農隊での滞在の最中に書かれたものもありますし,書きたい衝動のままに書いている感じもなるほどよく伝わってきます。

『もっと好きになっちゃった沖縄の離島』下川裕治責任編集,双葉社,2006
下記『新・好きになっちゃった沖縄の離島』の続編。ま,“沖縄B級テーマ”をコラム方式で寄せ集めたような感じですが,買っちゃうんだよなあ。本書で紹介されていた「泊いゆまち」という魚市場の天ぷらは一度食べてみたいですね。かなりの安さでかなりのヴォリュームのようですし。

『無敵の沖縄』まのとのま著,アスペクト,2006

冠に「イラストレイテッド」というのがついていますが,前編イラストで沖縄の魅力が描かれている本です。限られたスペースに限りなく積め込もうって感じで少し見づらい感じはしますが,愛らしいイラストなので,ついつい端っこまで突っつくように見ちゃいました。

『奄美もの知りクイズ 350問』蔵満逸司著,南方新社,2005

沖縄をテーマとする分かりやすくて面白い著書を多く残すのが,下記にも出てくる下川裕治氏や仲村清司氏だとしたら,奄美のそれはこの蔵満氏でしょう。クイズ…というかテスト形式っぽくなっているのは,現役小学校教師ならではかもしれません(ただし,点数で「奄美○○度」みたいなのを測るものでもありません)。あまり小難しい書き方がされておらずウソがないというのがいい。これからも好著を書き続けていただきたいものです。

『アジア帰りに沖縄ふらり』下川裕治著,双葉社,2005
 
下記『新・好きになっちゃった沖縄の離島』の編集など,仲村清司氏とともに,いわゆる“沖縄本”の著書を数多く残す人物の1人。その仲村氏とも親交が深く,沖縄を訪れるときは必ずといっていいくらい会っていると著書にあります。元はタイのバンコクによく通っていたという氏。その帰りにいわゆる「ユルイ土地」から一気に東京へ帰ると「気圧されてしまって」,場所もアジアと日本の中間にあり「社会復帰するのにちょうどいい」ということで,台湾経由で那覇に寄ったのが,そもそもの沖縄行きのきっかけ。その沖縄のユルさもさることながら,それ以上にユルくてこれでもかと脱力しそうなタイでのエピソードも,数多く書かれています。

『なんだこりゃ〜沖縄』わうけいさお著,ボーダーインク,2005
「沖縄情報IMA」の掲示板で宣伝されていたのを見て,思わず直接注文してしまいましたが,何のことはなく,数日後に銀座の「わしたショップ」に行ったらば売られていました……で,帯にも書かれていますが,コミックやテレビドラマ・映画などのフィクションものに描かれる沖縄に“ツッコミ”を入れたものです。そのマンガなどを見ていないのでイメージでしか分かりませんが,間違った沖縄の描かれ方をしているものが改めて多いんですね。苗字一つとってもツッコミ甲斐があったり,「映画『網走番外地』で沖縄が描かれているなんて指摘もまた,この本らしいなぁと思ってしまいます。

『沖縄チャンプラ亭』仲村清司著,双葉社,2005

帯にある「移住9年分の見聞録」の通りです。分厚さのわりに軽いんですね,この本……って,そんなことはどーでもいいか(笑)。下記『いいあんべぇ 沖縄島暮らし』『沖縄大衆食堂など,沖縄のカルチャー本に結構携わっている人で,書き慣れていることもあってでしょうか,内容も実に読みやすいです。本に詳しく出ていますが,沖縄から大阪の沖縄タウンに移ってきたご両親の元に生まれた著者が,やがて奥さんの強力な移住願望に後押しされるように沖縄へ移住したのが1996年のこと。やがて,ご両親も沖縄に戻ることになり,最後は大阪に眠っていたおじいさまのお骨を,はれて世紀を越えて再びおじいさまの出身地・中城に移したのは,アッパレといったところでしょう。

『奄美食(うまいもの)紀行』蔵満逸司著,南方新社,2005
下記『奄美まるごと小百科』の著者が書いたグルメ本。「奄美での食をめぐる経験や思いをふりかえりまとめたもの」という内容の通り,氏が食べてきた奄美の家庭料理から伝統料理まで,それを作る人々のエピソードも含めて,分かりやすくまとめられた本です。また,氏の文章の合間に「奄美8島メーリングリスト」なるもので交流がある人々の食に関する感想がちりばめられているのも特徴です。

『だれも沖縄を知らない
27の島の物語』森口 豁著,筑摩書房,2005

氏特有の「沖縄ありのままドキュメンタリー本」。そして,氏の本を読むたびにつくづく沖縄の奥深さと,自分の知識の浅さを思い知らされます。氏は本土復帰前にも数多く訪れていて,そのことにもかなり触れられているので,現況との比較も分かりやすくできて興味深い本だと思います。
沖縄というと,青い海や青い空にココロが奪われがちですが,陸の上にまだまだ我々の“知り得ないもの”が数多く潜んでいるわけです。無論,それに対して相手の都合も構わずに踏み込んでいくことはあってはならないですが,それらを一つ一つひもといていくことのほうが,沖縄に旅をする当たってとても重要なんじゃないかと思ったりしますね。なお,「宮古島の旅ファイナル」中編では,この本を参考にしています。

『いいあんべぇ 沖縄島暮らし』沖縄「島」暮らし調査隊編,双葉社,2005

タイトルのとおり,各地域での暮らしをテーマにした本です。項目の最後に各市町村のデータもついています。これを読んで知ったのは,沖縄で1番所得が多いのが那覇だと単純に考えていたら,意外と言っちゃ失礼なのですが,上位は大東諸島の2村。理由は主幹産業のサトウキビ栽培が,完全機械化されていることから,広大な耕作地を持った大規模農家が多いのだそう。

『食在南海
八重山の食12カ月』石垣愛子著,味の手帖,2005
民宿「石垣島」経営者(現在は閉業)の著者が,1月から12月まで季節にまつわるエピソードおよび各季節にまつわる料理などを紹介。特に料理については,冒頭にある食べ物の写真がものすごく美味そうです(笑)。そして,一つ勉強になったのは,毒があると言われていたアダンの実が食べられること。ある果物のような味がするのだそうですが,その答えは読んでみてのお楽しみ……。

『オキナワ宿の夜はふけて』カベルナリア吉田著,東京書籍,2005

下記『沖縄の島へ全部行ってみたサー』の第2弾とも言える本。この本で紹介されているほとんどは,私が普段泊まらない民宿やドミトリーなど。場合によっては雑魚寝もあり,という世界ですが,夜になれば仲間同士酒を酌み交わして語らい合う……写真の多くは宿泊客が映っているものですが,いずれもその顔が明るいのが印象的です。多少の古さ(「汚れ」とは違います)や成り行き加減は気にせず,たまには民宿旅もいいものかもしれませんね。

『沖縄論』小林よしのり著,小学館,2005
実際に著者が沖縄に行かれて取材したのと,過去の文献からの検証からとに分かれていますが,とても読みごたえがあっていいです。「いいものはいい,悪いものは悪い」と,キッパリした著者らしい沖縄への温かい目と厳しい目が同居した内容となっていて,文化・政治・歴史すべてのマンガ入門書としても面白いです。中でも,戦後の不条理な状況下で反米精神を貫いた“カメさん”こと瀬長亀次郎氏(せながかめじろう,1907〜2001)の話「亀次郎の戦い」は,感動的で胸が熱くなります。また,この本のおかげで行きたくなった場所とは……「珍々洞・満々洞」ですね,ハイ(笑)。

『沖縄 拝所巡り300』比嘉朝進著,那覇出版社,2005
「沖縄惰性旅」第6回の最後にちらっと触れましたが,10月に那覇に寄ったときに,最近よく見ているホームページ「沖縄情報IMA」で,沖縄に関する書籍の展示会をやっているというので,ついでに見てきて記念に買ったものです。その名のとおり,いわゆる沖縄で“御嶽”と呼ばれるものから神社・仏閣まで,幅広く拝所が紹介されています。版もA5サイズでコンパクトですから便利です。これがあると,また沖縄に行きたくなりそうです。まさかやらないとは思うけど「御嶽全制覇」なんてね(笑)。

新装普及版 子乞い〜沖縄 孤島の歳月』森口 豁著,凱風社,2005
「管理人のひとりごと」Part42にも書きましたが,日本テレビで放映されることとなった連続ドラマ「瑠璃の島」の原作本です。オリジナルは1984年に書かれており,1999年に新装改訂版が発行,そして今回のドラマ放送にあわせて新装普及版の発行に至っています。
1984年に書かれたものとあって,内容は1980年代初頭の沖縄は八重山諸島の鳩間島が舞台です。「瑠璃の島」第1回では,緒形拳氏らが「島の小学校の廃校→島の存亡」だと危機感を抱き,これを食い止めるべく沖縄県内を奔走して,島に里子に来てもらえないかと学校施設に交渉に行くシーンが出てきますが,そのとおりのことが実際に行われていたことがよく分かります。
原作は,石垣島出身の1人の利発な男の子が,それまで住んでいた別の小学生の女の子が転校→離島したのと入れ替わる形で鳩間小学校に入学。島に大歓迎で迎えられるところから始まります。それと合わせて,@彼と入れ替わりで出ていった女の子を島の有力者らが引き止めるシーン,A対して「島のために残るか,自分らの生活のために出るか」で苦悩する女の子やその家族の話,はたまたB島の年寄りが「子どもを受け入れ,小学校を存続させないと未来がない」という考えに固執しがちになるのに対し,若い世代が「長い目で見れば,何か事業でも起こさない限りは人が入ってこないし,明日もない」と考えて,年寄りたちの考えを少し冷ややかに見ている“世代間ギャップ”の話……など,離島ならではの苦悩が細やかに描かれています。
1980年代初頭に小学生といえば,まさしく私と同世代ですね。埼玉県川口市という人口の多い場所に住んでいた私にとっては,周囲に同世代がいないことはまずなかったし,何も難しいことを考えなくても過ごしていられたわけです。でも,そのころに2000kmほど離れた鳩間島では,子ども1人1人が「島の存続」という“大人のエゴ”の道具にされていた歴史があったわけです。「キレイな海や空」「豊かな自然」「暖かい気候」というのは,子どもにとっては実は,大人のエゴにひどくしばられていたことに対するせめてもの“神様のプレゼント”というか“救いの場所”だったのかもしれませんね。

『ナツコ
沖縄密貿易の女王』奥野修司著,文芸春秋,2005
主人公・ナツコこと金城夏子氏(きんじょうなつこ・1916-54)は,第2次世界大戦で壊滅的なダメージを受けて,絶対的に物資が不足していた戦後の沖縄で,いわゆる「必要悪」とされてきた密貿易に数多くの伝説を残した女傑。身の丈150cm余という小さい身体で,権力に屈することなく,天才とも言える商売感覚,時代の流れを的確に嗅ぎ分ける抜群の嗅覚,時には冷酷にすら映る決断力で,何人もの男性を従えてアジアと沖縄の間を飛び回る。今で言う「キャリアウーマン」の先駆けとも言えようか。いや,そんな言葉すら陳腐に聞こえるくらいの大きなスケールを持っていたのだ。もちろん,陽の当たる場所に出ることは決してなかったのだが……最後は,これまた密貿易の終焉の時期を的確に嗅ぎ分けて身を引き,駆け抜けるように38年の短い生涯を閉じる。
その貿易地点として栄えた場所とは,与那国島の久部良(くぶら,「沖縄はじっこ旅」第4回参照)集落。地理的に近いこともあって,また現在のように“いろいろな規制”があるわけでもなく,沖縄本島や石垣島よりも台湾と頻繁に行き来があったが,今の寂れ具合からは想像もつかないくらい,人々であふれかえったそうだ。「食うため」「生きるため」という大前提があったとはいえ,誰に依存するわけでも指示されるわけでもなく,自ら夢や希望を追い求め誰もが手を染めたという密貿易の時代。わずか数年というその時代こそ,著書の中にもある言葉の受け売りだが,日本やアメリカに“支配”される「ヤマト世」「アメリカ世」とは違う,紛れもない「沖縄(ウチナー)世」だったと言える。その「沖縄世」を象徴するナツコの足跡は,たとえ陽が当たらなくとも,いつまでも自ら光を放ち続けるのである……。


『与論島
〜琉球の原風景が残る島』高橋誠一・竹盛窪著,ナカニシヤ出版,2005
読んだことがないだけかもしれませんが,奄美の一つの島だけテーマにした本ってのはなかなかないですよね。しかも,有楽町の三省堂書店の旅行記関係の書棚にささっていたなんて,ある意味奇跡かもしれません(失礼)。思わず買っちゃいましたよ。
内容は,全210ページ中,ガイドブック的なものは冒頭の30〜40ページ程度で,あとは祭事の中身とか,集落形成のあり方が,地理的にだけでなく文化的にも琉球の影響を受けている点を社会学的視点から分析している調査結果報告書となっています。なので,ガイドブックとして買うと,もしかしたら損をした気分になるかもしれません。それこそ勉学的感覚で買ってもらったほうが,ある意味“得るもの”は大きいかもしれません。

『ヌーヤルバーガーなんたることだ』浦谷さおり著,西日本出版社,2004
なんとなーく友人と始めた沖縄での限定3カ月の移住。彼女が住んだのは南部の玉城村ですが,それも先に移住を決意した友人が,なんとなーくタクシーに乗って南部に行ってみたら,運ちゃんが「じゃあ何とかしてあげる」でたまたま募集中だった物件の大家さんにかけあってもらって決めた……。そして移住してからは,大家さんが実にいい人で,頼んでもいないのに家財道具を次から次へと部屋の中に入れていったり,スーパーに買い出しに連れてってくれたりと,移住話はなかなか面白いです。また,後半では著者と個性的な友人との食べ歩き紀行が書かれてあります。

『沖縄の島へ全部行ってみたサー』カベルナリア吉田著,東京書籍,2004 

その名の通りの本です。写真満載ですし,どんなに小さい島でも,そこに宿があれば泊まるというポリシーの下,一つ一つの島がこと細かく書かれています。小難しいことは抜きで読みやすいですし,写真も実に多いです。これを読んで改めて沖縄の離島に行きたいと思いましたし,民宿に泊まってたらふく宿の手作りのメシが食いたくなりました。それも175cm,90kgという巨漢の著者ゆえにできたことかもしれません。そして,少なからず小さく目立たない島(特に海中道路でつながった島とか)を素通りしてきたことがあったのを後悔しました。ああ,水納島(みんなじま,これは多良間島の北にある島)とか行きたいなー。

『沖縄時間
―本物のスローライフの見つけ方』岸朝子著,大和出版,2004
岸氏というと,「料理の鉄人」などでの「美味しゅうございます」のフレーズでおなじみの料理記者ですね。見ていると,おっとりした雰囲気の彼女ですが,実はとてもアバウトな人(沖縄の言葉でいうと“テーゲー”)なんだそうです。そのアバウトさに関するエピソードはなかなか面白いですね。
彼女自身は東京生まれなのですが,父親が沖縄本島の大宜味村出身です。言わずと知れた「日本一長寿の村」ですね。それを生み出した背景に「自分の土地で収穫した地の食材を手間ひまかけて料理して,ゆっくりと楽しく味わう」という“スローフード”があるというのは,何とも料理記者らしい分析でしょうか。無論,それは対極にある“ファーストフード”への警鐘も鳴らす意味が込められているのですが,ただし“ファースト”であることをこれまたすべて否定するのではなく,便利さを享受しつつ賢く利用していくのが現代人の腕の見せ所――50年の料理記者歴,80年の人生が紡ぎ出す文章は,彼女らしい決して押しつけがましくなくて柔かく,でも説得力がしっかりあってタメになるものばかりです。

『沖縄 魂の古層に触れる旅』立松和平著,NTT出版,2004

著者が18歳――まだ,米国統治下にあったころ――で初めて沖縄に行き,那覇のバーでアルバイトをしたときのこと,30代半ばに与那国島でサトウキビ畑で援農隊として働いたときのこと(「沖縄はじっこ旅」第5回参照。第6回での“サンアイイソバ”“イヌガン”についてもこれを参照しています),そして,沖縄最高の聖地である久高島に足を運んだこと(「沖縄・8の字旅行」前編参照)など,いずれも読んでいて面白いです。
面白いのは,著者が那覇のバーでアルバイトをしていたとき(「前線と台風のあいだ」後編参照),石垣島に遊びに行くことになったのですが,バーのマスターが石垣島の出身で,「それならば母親に荷物を届けて欲しい」と著者が彼の荷物を届けがてら,その母親に会いに行くことになるのですが……ここから先は読んでのお楽しみです。


『東京〜奄美 損なわれた時を求めて』島尾伸三著,河出書房新社,2004
父親は“ヤポネシア思想”を打ち出した作家・島尾敏雄氏(「奄美の旅」第3回参照),母親は同じく作家の島尾ミホ氏,そして伸三氏と妹・マヤ氏4人家族の,摩訶不思議ながら悲しい運命を背負った親子関係。すべての始まりはミホ氏の“発病”。そして,一家がミホ氏の故郷・奄美に移住する大きな要因ともなります。著者はあるとき,@奄美に移住する前に暮らした東京・小岩,A伸三・マヤ氏の生まれ故郷である神戸,B伸三氏が高校時代を過ごした熊本などを順に南下していき,奄美まで旅をすることを思い立ちます。その理由は「母を理解するため」。そして,最後には父と母の運命の出会いの場となった加計呂麻島にも行きます(「奄美の旅ファイナル」第3回参照)。
その文章中に出てくる人物のうち,“潮田登久子さん”は実の奥さん。カズちゃんはミホ氏の親戚である林和子氏とのこと。伸三・登久子夫人の愛娘は,しまおまおという漫画家だそうですが,私は知りませんでした。すなわち,一家で芸術家家族ってことなんですね。


『琉球弧(うるま)に生きるうるわしき人たち』小林照幸著,岩波書店,2004
この小林氏の沖縄ノンフィクションシリーズは,下の「海人 UMINCHU」とともに,実に読みごたえがあって面白いです。著者のウチナンチュに対する真摯さ,尊敬や慈しみのまなざしがよく伝わってきます。全7章で,取り上げられたテーマは,沖縄戦とその後,ハブ,風土病だったフィラリア,長く本土への食物出荷に大きいネックとなっていたウリミバエ――帯にある「もうひとつの沖縄ノート」のフレーズが,何よりこの本を象徴しています。

『沖縄島々風便り』『沖縄島々旅日和』Coralway編,新潮社,2003〜2004
JTAの機内誌『Coralway』に連載されたものを単行本化。前者が「本島の周辺の島編」で2004年の発行,後者が「宮古・八重山編」で2003年発行ですが,別々にするのが面倒なので一つにくくってしまいました(笑)。その島に生きる人物に主なスポットを当てていて,写真と分かりやすい文章で構成されたもの。「これを読むと,間違いなく沖縄に興味を持ちたくなるぞ」的視覚効果もあります。オリジナルの雑誌自体も,機内でテンションを上げるにはうってつけかと思いますね。

『海人 UMINCHU』小林照幸著,毎日新聞社,2003
9歳で親に売られて海人(うみんちゅ,漁師のこと)になった1人の男性を追ったノンフィクション。例えば,カギカッコでくくられたテキストだけを見ると,何とものどかな感じすらしてきちゃいますし,また文章も必要以上の感情移入がなくて淡々と書かれています。でも,それだけに実際経験したものは“ハード”の域を越えていたのではないかと想像します。
「沖縄・8の字旅行」後編
にも書いていますが,その方がいまいらっしゃる名護の魚屋を見てきちゃいました。別に普通の魚屋さんでしたし,著書にあるような“ハードな過去”を持ったお家とは感じられないくらいでした。沖縄で普通に建っている民家の1軒1軒を回って行ったらば,こういう本になり得るようなノンフィクションが何冊でもできちゃったりするのではないでしょうか。

『奄美まるごと小百科』蔵満逸司著,南方新社,2003

名瀬市の公立の小学校に勤務する著者によるエッセイ本。鹿児島市大口市出身ですが,父親の転勤で小学校低学年のときに奄美大島の北部・笠利町に住んでいた経験があります。『奄美復帰50周年企画 島唄の風景』と同様,奄美のさまざまな事象を1ページ前後で紹介していくものですが,食べ物の話をはじめ,いずれも肩の力を抜いて読めますし,いわゆる“素人”ですから,我々一般ピープルにより身近で分かりやすいと思います。古仁屋の本屋で買ったのですが,すっかり地元じゃないと置いていないだなんて思っていたら,池袋のジュンク堂書店にも置かれていました(笑)。

『大東島の歩みと暮らし―北大東島を中心に』奥平一著,ニライ社,2003
北大東島に行くことが決まった後,たまたま池袋のジュンク堂で見つけたこの本を買いました。「沖縄はじっこ旅W」はこの本を大いに参考にしています。ただでさえ戦後の経済発展が遅れたと言われる沖縄の中でも,これまた僻地にあるがゆえに余計に遅れたインフラ整備の話も面白いですが,20世紀初頭の開拓から60年以上,自分の土地を持つことが許されず,にもかかわらずその土地に大いに縛られた南北大東島特有の苦悩についても書かれています。
ちなみに,全244ページ中,独立した章立てで『島の伝統と個性をさぐる』と題して,北大東島の住民にアンケートを実施してその結果を90ページにわたって載せていますが,「こんなの,さしずめページ稼ぎじゃん」って思うのは私だけ? でも,これが結構旅行記には役立ちました。

『新・好きになっちゃった沖縄の離島』下川裕治責任編集,双葉社,2003
沖縄の各離島をちょっとマイナー…というか,ちょっと変わった視点で楽しむという点ではオススメの本だと思います。例えばグルメでいくと,これでもかというくらいのヴォリュームがあるという「ジャンボフライ定食」「1000円定食」(石垣島),しょうゆなしで完食できる島豆腐を売っている島に1軒しかない豆腐屋(池間島)……もちろん,グルメだけでなくて文化的・風俗的な話もあるし,“沖縄トリビア”をいくつもゲットしたい人は読むとエクスタシーものでしょう(笑)。

『ホテル・ハイビスカス 劇場用パンフレット』シネカノン,2003
『新装版 ホテル・ハイビスカス』仲宗根みいこ著,新潮社,2003
元々は1989年に講談社のモーニングコミックスで出ていたものが,いわばベスト版のような形で新たに発刊されたのが漫画本のほう。ちなみに,原版もたしか売っていますね。活字が苦手な方は,この漫画本でも沖縄という場所がどんなところかが学べると思います。
で,この漫画は2003年に映画化されました。漫画版と結構ダブる構成立てですけど,映像にすると漫画より数倍面白い。この映画に関するエピソードの一部や,実際映画の舞台として使われた建物に行ったことは「沖縄・8の字旅行」後編やあるいは上記パンフレットにて紹介しています。たしかDVDにもなっていますね。
個人的には,「管理人のひとりごと」Part14にも書きましたが,フジテレビでやっていた「東京湾景」に仲間由紀恵嬢の恋人役で出ている和田聡宏氏が,この映画で本土からの珍客・能登島役で出ていることが印象深いです…って,別にどーでもいいか。

『三十にして起つ!』岡田清美著,文芸社,2002
山梨県出身で,同県県庁に勤務していた著者が,沖縄に移住するまでのことを書いたエッセイ本。旅行で訪れた沖縄で出会った三線に衝撃を受けて,移住するまで4年。「どうやって,移住の決意を親しい人に打ち明けるか?」というところは,なかなかリアルです。沖縄に移住してからは,三線店を手伝いがてら,師匠について三線を習得中とのことですが,いま現在もそうして暮らしていらっしゃるのでしょうか?

『沖縄大衆食堂―オキナワ流儀のカルチャーショックなご飯たち―
仲村清司+腹ペコチャンプラーズ,2001
沖縄の家庭料理・大衆料理に徹底的にスポットを当てた本。これを読んだら,迷わず大衆食堂に行くべし。そして,本土ではめったに食わない類いの,そしてこれでもかと言わんばかりのボリュームのメシをかっ食らって,その安さにひたすら感動すべし……といっても,安さについてはあんまり本土とは変わらなくなりつつありますけどね。

『新訂・増補版 高等学校 琉球・沖縄史』新城俊昭著,東洋企画,2001
「管理人のひとりごと」Part10にも書きましたが,高校の歴史の教科書です。沖縄の歴史を勉強するには分かりやすい本です。でもって,沖縄戦および戦後について,かなりのページが割かれているのが大きな特徴です。それまでの何百年から1000年近くよりもページ数が多いのが,今の沖縄を象徴していると思います。さらに,私の高校での日本史の授業は,第2次世界大戦まで行かないうちに1年が終わってしまったので,この戦中・戦後の経緯が,たとえ沖縄からの視点にせよ,多く割かれているのがことさらに印象に強かったのかもしれません。なお,「サニーサイド・ダークサイド」「サニーサイド・ダークサイドU」では,この本を参考にさせていただきました。

『沖縄 ポップカルチャー』天空企画編,東京書籍,2000
書かれている内容は違いますけど,上記『沖縄ナンクル読本』と同趣旨の本です。装丁やレイアウトが何ともポップで雑誌っぽい感じがしますが,内容は結構硬いし,ダークな部分にも触れられています。そりゃ,インタビューについては野坂昭如氏,安藤優子氏,櫻井よしこ氏,横尾忠則氏などそうそうたる文化人・ジャーナリストが出ているから,当然かな。

『沖縄 近い昔の旅〜非武の島の記録』森口 豁著,凱風社,1999
「沖縄・8の字旅行」「サニーサイド・ダークサイド」のきっかけになった本です。名前の通り,沖縄戦やその後の沖縄,および地理的に離島ゆえの苦悩についてこと細かく書かれています。大田氏の上記写真集とともに,沖縄の“ダークサイド”を知るには格好の本です。
間もなく,第2次世界大戦が終わって60年になります。これを我々は「戦後60年」と呼ぶでしょうし,遠く昔のように感じられるかもしれませんが,沖縄にとっては表題の“近い昔”どころか,今も“戦中”なのではないか――誰かのコメントの受け売りをしたところで(笑),コメントを締めたいと思います。

『沖縄 若夏の記憶』大石芳野著,岩波書店,1999
平和と人間の尊厳を見つめるフォト・ジャーナリストによるエッセイ。僭越ながら私の旅行記のタイトルを用いらせてもらえば,沖縄の持っている「サニーサイド・ダークサイド」の両面を書き綴っている本と言えるでしょう。そして,この本に書いてある,沖縄の人間を象徴するフレーズともいえる諺「他人を痛めつけられても眠れるが,他人を痛めつけると眠れない」――なるほど,極上の“M”なんですね…って,そんなわけないか(笑)。ま,この諺に本土は甘えてはならないと書いてありました。

「南へ 沖縄・奄美に行ってみる」鹿子狂之介著,えあ社,1999
中年オヤジ2人の沖縄・奄美旅行記,黒糖とハブに関する私的考察,そして自身の旅に関するこだわりなどが書かれたエッセイ。沖縄・奄美旅行記については,ツアー=時間と場所とルールに縛られる旅行に参加しての記述なのですが,その“網の目”をくぐり抜けるような,中年オヤジらしい老獪さが随所に見られて面白いです。

「アダンの画帖 田中一村伝」南日本新聞社編,小学館,1995 
孤高の天才画家・田中一村氏(たなかいっそん,1908-77)の伝記本ともいうべき書籍。学生時代はそれこそ「エリート中のエリート」とも言えた氏が,ある時に中央画壇と絶縁。度重なる不幸と貧困,さまざまな紆余曲折の果てに,人生最後の20年間で「理想の絵描き生活」を追究した場所が奄美大島でした。その奄美大島での生活も,それまでと同様かあるいはそれ以上の貧困との闘いとなります。時として氏の行動は周囲の人々に奇異にも映ることがありますが,すべては理想の絵描きを追求するがゆえのこと。しかし,最後には少ないながらもしっかりと“理解者”を得ていくことになります。
今でこそ奄美空港近くに氏の美術館が建っていますが,往々にしてありがちな「生きている間にはなかなか世に認められなかった」悲しい運命を背負った一村氏。それでも,そんな逆境など関係ないとばかりに,年を追うごとにますます気高くそして鋭く感性を研ぎ澄ませていったその生き様がよく分かる1冊です。ホントは,上記にもある小林照幸氏が書いた文庫本を探していたのですが,なかなか見つからず,いろんな書店をさまよったあげく,池袋のジュンク堂書店の最上階にある美術のコーナーで見つけました。

7. ホームページ
何気に…というか,一番利用させていただいているのが,「琉球新報」「沖縄タイムズ」「宮古毎日新聞」「八重山毎日新聞」「南海日日新聞」などの各新聞社,「美ら島物語」「やいま」「沖縄情報IMA」などの観光ガイドのページ,および各観光施設,市町村,人名・事象に関するホームページです。ただし“リンクの許可”とかいうのが面倒なので,沖縄奄美長文学では一切,各観光施設,市町村および人名・事象などについてのホームページへのリンクをやっておりません。リンクフリーというのもあるようですが,そうすると統一感もなくなりますし。
じゃ,どうすればこれらのホームページに辿りつけるか――といっても何のことはない。ヤフーでキーワード検索をすれば大体何がしかが出てくると思います(笑)。それらの何がしかも大いに参考にして,このダラダラした文章が成り立っているというわけなのです。(おわり)

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