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日本の大陸侵出本格化以降、義経成吉思汗説もいよいよ拍車がかかります。シベリアで、次々に義経関連の遺跡が発見され始めたのです。
NHKは、義経成吉思汗説について扱った番組で、大陸にある義経遺跡は偽造されたもので、偽造したのは日本の大陸侵略正当化に義経成吉思汗説を利用しようとした人たちの仕業ではないかと考えました。
私も、義経成吉思汗説には同様の感想を持っています。そもそも、遺跡で頻繁に登場する笹竜胆の紋。これは色々ある源氏のなかでも村上源氏の紋で、義経や頼朝が属する清和源氏とは関係ありません。笹竜胆=義経・頼朝というのは、後世の人たちの誤解なのです。義経がそんな誤解を考慮するわけがありませんから、笹竜胆の紋が登場する遺跡は、少なくとも、誤解が一般化してから作られた偽物であるはずです。わざわざ海を隔てた遠いシベリアでそんな酔狂なことをするのは、誰か。想像の行き着く先は、誰しも同じでしょう。そう考えると、義経公園の石碑をロシア軍がわざわざ接収して、上からコンクリートを塗ってしまった気持ちも想像できます。
また、小矢部さんがシベリアの義経遺跡を調査したとき、手配をしてくれたのは当然日本の陸軍でした。彼自身は、自分の研究は何者の影響を受けるものでもないと、明快に否定してはいますが。
ただ、もし軍の偽造だとすると、日露戦争の頃から少なくとも昭和12年までの長きに渡って計画されていた偽造なわけです。そんな大掛かりな計画が、戦後全く一片の資料も出ないというのは、妙な気もします。ばれたところで、誰が犯罪になるというものでもなさそうなのですが、軍隊って、そんなに固いとこだったんでしょうか。私は知りません。
戦争が終わってしばらくたった昭和30年頃、再び義経成吉汗説が強く取り沙汰され、伝説に関する数々の名著が登場しました。推理作家、高木彬光氏の大作『成吉思汗の秘密』は今でも書店で売られているロングセラーです。戦後の義経成吉汗説は、キナ臭い感じが常に漂っていた昔と違い、純粋に真実を突き止めたいという人々の好奇心が強く現れています。思えばこの伝説は、出現当初から、戦や侵略のための意図的捏造の可能性がつきまとっていました。義経というイメージが、いかに一般に良い印象を以って受け入れられてきたかということかもしれません。