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座敷ワラシとは直接の関係はありませんが、海音寺潮五郎氏の『武将列伝(二)』にちょっと興味を惹かれました。海音寺氏は、『吉野拾遺』にある話として、大略以下の逸話を載せています。
『吉野の皇居における待賢門院のご所に化け物がでるというので皆が恐れた。その化け物がどんな形をしているのか誰もはっきりと見たものはいないが、出会った者は皆病気になった。夏の暑い夜のこと、伊賀局(楠木正成の三男正儀の妻。豪胆、大力を具えた女性だった)が庭に出て月を眺めていると、松の梢に天狗がいる。局は少しも恐れず、天狗の名を尋ねた。天狗は、自分は藤原基任であるが、女院のために生命をなげうって忠節を尽くしたのにあとを弔うても下さらないので、このことを申すために近頃ここにあらわれるようになった、しかし、人々が恐れて聞こうとしてくれないと、かこった。局はこれを聞き、女院に申し上げて供養をおさせ申したので、あとは変異はなかったとある。』
ここで登場する藤原基任が、亀麻呂君のお父さんだったりしたら、という想像をしましたが、少々ナンセンスな気がしたので止めました。戦争が常態化していた当時のこと、亀麻呂君みたいな境遇の人は少なくなかったでしょう。一将功成って万骨枯るといいます。2度目の登場ですが、作家の吉川英治氏は『私本太平記』の中で、死を賭して南朝に味方しようと息巻く部下に向かって、楠木正成にこんなことを言わせています。
『一死と申すが、自分一個の死だけでは足るまい。縁につながる者すべて、老いも幼きも、みな生死の境にさまよわせよう。それもよいのか』
亀麻呂君は、一族の守り神になれて良かったなあと思いました。