こんな旅行記を作ってみたかった
(3)THE LONG AND WINDING ROAD
次に向かうのは、島の最西端に位置する集落・細崎(くばざき)だ。畑地以外何もない中を通り抜け、いよいよ細崎への長く険しい道に入る。例えがなぜか古くなってしまうが、ビートルズの「THE LONG AND WINDING ROAD」のメロディが頭をよぎるような、そんな道が待ち構えている。起伏がある島という話は何度か述べたが、この細崎への道は岬までの1本道でアップダウンも大きく、そのキーワードの象徴みたいな感じである。
第2回へ
「こんな旅行記を作ってみたかった」のトップへ

ホームページのトップへ

←細崎(くばさき)へのLONG AND WINDING ROAD。
  写真の真ん中の突端が細崎。
  その向こうの島影は西表島。

細崎(くばさき)へのLONG AND WINDING ROAD
からちゅらさん展望台・大岳(うふだき)方面を見る→
 

前回は寄り道をせず、細崎まで行って帰ってきてしまったが、今回はちょっと寄り道。レンタカーなんかじゃ見逃して通り過ぎてしまうだろう場所2つ。こんなところで軽くほくそ笑んでみる。一つは、石長田(いしなーた)海岸のマングローブ。ぬかるんだジャリ道の終点にあったが、しっかり護岸されていて海岸という雰囲気がなかった。もう一つは地図(第2回参照)には「秘密のビーチ」とあった砂浜だが、こちらは入口に軽ワゴンとチャリが止まっていて、不思議に思って藪になった道を入っていくと、いくらもかからず砂浜に出た。いい天気でないことが惜しい。それにしても、教えちゃ「秘密」にはならないんじゃないか?
アップダウンを繰り返しつつ、細崎には13時過ぎに到着。ここの写真を残さなかったのが残念だ。大岳でメモリーカードが容量がいっぱいになってから、携帯とデジカメを両方使っていたのだが、細崎の写真をデジカメだけに収めたのが失敗だった。後からどんどんデジカメで撮りたいものが追加されていったために、やむなく削除してしまったのである。もっとも、写っていた写真自体も無機質な防波堤だけで大したものではなかったし、雨がまた降ってきてゆっくりできなかったし……と、要はきちんと細崎まで行ったことをアピールしたかっただけだ。誰も気にしちゃいないのに。詳細は「沖縄はじっこ旅」第2回をご参照いただきたい。

←石長田(いしなーた)海岸のマングローブ。
  手前の石は護岸工事の際に置かれたものではないか?

←通称「秘密のビーチ」。左上に見えるのは西表島
 地図で描いちゃ「秘密」じゃなくなっちゃう?

細崎に行ってしまえば、このサイクリングも“山場”を越え、中盤から後半にさしかかる。下るところは風を切り、登るところは汗を拭き、最後の登り坂を登りきって進路を右折し、リゾートホテル群のある東南に進路を取る。人気のない長い道。見た生き物は蝶とトンボと牛くらいだ。そんな景色を10分ほど堪能して、「ヤマハリゾートはいむるぶし」に着く。前回はこの中の売店でハンカチを買い、それは今でも使用しているが、今回は軽く見回すだけで終わらせる。ガジュマルのブランコを撮影して先に進む。

←細崎方面から「ヤマハリゾートはいむるぶし」への長い道。地平線がよく見える。

←「ヤマハリゾートはいむるぶし」にあった「ガジュマルブランコ」。

↑沖縄の放牧というと、ヤギと牛かと。シュガーロード途中で撮影。

←これまた「ちゅらさん」のロケ地の代表格「シュガーロード」。集落に向かって撮影。でかい観光バスもここを必ず通る。

というのは、15時ごろまでチャリを借りて乗って、15時35分発の高速船で石垣島に帰れればと思っていたのだが、時間はまだ14時過ぎ。あとは集落とビーチをもう一つ見れば終わりなので、1本前の14時40分発で上手くしたら帰れそうだからだ。1本早めたからといって、劇的にこの旅がいい方向に向かいわけではないのだが、片やこの不安定な天気では、とっとと“都会”である石垣島に引き揚げてしまったほうが得に思えたのだ。ある意味、都会人間(?)の悲しい性なのかもしれない。
集落に向かう道は、これまた地平線が見える好眺望。通称「シュガーロード」は、これまた小浜島を代表する「ちゅらさん」ロケ地である。観光バスもレンタカーもチャリも、みんなここを必ず通る。繰り返すが、天気が悪いのが惜しい。

←「シュガーロード」の集落側終点にある「節定めの石」。横1m×縦30cm×高さ30cmほどの楕円の岩。
  石の表面にある干支の穴と群星の光によって、種まきの時期を判断したといわれている。

←集落内で1枚。
  琉球古民家とフクギと石灰岩の石垣。これまた「沖縄風景セット」。

集落内で数枚写真を撮り、時間は14時20分。急いで最後に「トゥマールビーチ」を見る。入口でチャリを置いてビーチに行きたかったが、チャリの車輪止め(というのか?)が上手く機能せず、留めておくことができない。仕方なくチャリを押してビーチへ。隣の島と離れているからか、こちら側のビーチは潮の流れが速かった。何だか茫洋としていて逆に見栄えが悪いと思って、撮った写真は削除してしまった。
こうして無事「結」に戻ったのは、高速船出発5分前の14時35分。気づけば、サイクリングは2005年8月の久高島以来(「20th OKINAWA TRIP」第3回参照)だった。久々のサイクリングは、雨に見舞われて最悪に近い状態だったが、疲れる準備は十分できていたし、風邪でしばらく水泳ができなかったゆえ、いい運動になった。留めておけない自転車は、店の自販機に寄りかからせたままにして、急ぎ足で高速船に乗った。(第4回につづく)