こんな旅行記を作ってみたかった

(2)ちょっと運動してきます
10時半に出航した高速船が小浜島に着いたのは11時。3年半前の記憶ゆえ曖昧なのは否めないが、心なしかターミナルは広くなっていたような気がする。客引きの間を通り抜け、向かったのはレンタサイクルの店。海上でにわか雨が降っていたのでレンタカーにしようかとも考えたが、港に着くと雨が上がっていたのと、車だと急ぎ足になって景色を見損なってしまうと思って、また3年半前にそうしたこともあり、レンタサイクルにしようと決めていた。ちなみに、レンタバイクもあるが、バイクは生まれてこの方一度も乗ったことがないので、最初から除外していた。結構、便利だとは思うけど。
数軒ある中で、特にこれといって選んだ理由はなかったのだが、「結」という店に入ることにした。どのくらい乗るかを聞かれたので「4時間くらいかな」と言うと、「じゃあ、4時間以上は1000円ですね」と言われ1000円を払う。ペラ1枚の地図をもらい出発。「起伏があるんで、結構大変ですよ」と言われたが、こちとら3年半前の経験者だ。「ちょっと運動してきます」と言い残し、出発した。
西進して5分、島でもっとも有名な景勝地(?)である「ちゅらさん展望台」が見えた。雨でぬかるんだ1本道を進むと、牛舎の脇にちょっとした駐車場。完全に牧場の私有地であるが、その一角に牧場主の好意で展望台が作られたであろうことは想像できる。
駐車場にチャリを止め、整備された階段を上がって展望台の上へ。なぜかここで再び雨脚が強まった。強風と相まって、まともに景色なぞ見ていられる状況ではない。急いでデジカメで、展望台の象徴とも言える「和也くんの木」を撮る(詳細は「沖縄はじっこ旅」第2回を参照いただきたい)。あわてて撮った割にはしっかり撮れていたと思うし、ケータイではこんなアップは撮れまい。これが撮れただけでも、デジカメを持ってきた甲斐があった…なんてのは大げさか。前に生で見たのと比べると、大分枝が少なくなって寂しい感じになっていた。
急いでチャリに戻り、傘を差しながらチャリを押して展望台を後にする。一緒に展望台にいた親子連れもまた急いでレンタカーに戻っていた。一瞬、何だか憎らしい気持ちに襲われたが、そんなことにこだわるくらいなら、少しでも先に自転車を押していくしかないのだ。(第3回につづく)
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「結」でもらった地図の両面。左は島全体。右は集落内。

←「ちゅらさん展望台」への道。右上のこんもりした丘が展望台。

←ちゅらさん展望台より撮影。真ん中の木が「和也くんの木」。私有地の牧場内にあるため、近くまで行くことはできない。強風に煽られてなのか、時間の経過なのか、大分寂しい感じになっていた。

まずはさておき、腹ごしらえである……っていきなりであるが、朝は5時過ぎにコンビニのおにぎりを2つ食べただけで、かなりお腹がすいていたのである。行く店もすでに決めていたので、あとは直行するのみ。一度来ているから、ある程度道も分かるし。
とはいえ、しばらくすると早速の上り坂。初めは踏ん張ってペダルを漕いでいた私も、途中で自転車を降りて押すことになる。仕方のないことだが、脇から観光バスが抜いていき、地元の車が抜いていき、レンタカーも抜いていくと、さすがに何とも言えない気持ちになる。でも、自分でチャリで行くと決めたこと。我慢してそのまま押していると、島の学校が見えた。早速、1枚デジカメに収めておく。何てことのない田舎の小学校。多分、3年半前とほとんど変わっていないと思う。時間が止まったような感覚だ。
学校を過ぎると集落になる。その入口に私が行こうと思っていた喫茶店「やしの木」があった。しかし、あいにく長期休暇のようだ。となると、3年半前に行った「シーサイド」くらいしか思いつかない。変わり映えのしない店だったが、安かったし味もまずまずだったから、また行ってみようか。
中に入ると、カップル1組と地元の工事関係者っぽい男性1人がいた。今回頼んだのは「フーチャンプルー定食」500円。これまた前回食べたものである。まるで、前回のルートをきれいになぞる感じになりそうな予感だが、かといって「他に選択できそうなもの」が少ないのが離島というものだ。まあ、デジカメが加わっただけでも、個人的にはそれなりに新鮮なんじゃないかと勝手に思っておく。
昼時だからか、あらかじめ頼んでおいた食事を取りに来る地元の人がちらほらいた。あるいは少し遅くなるのかなと思ったら、10分もかからず出てきた。フーチャンプルーは、3年半前と変わらぬ「安心できる味と量」だった。飾り気のない外観そのままといったところだが、それで十分いいと思えた。

←小浜中学校。この左隣にあったのが小学校だったか?

←(左)「シーサイド」の飾り気のない外観。
  (右)「フーチャンプルー定食」500円。

昼飯を済ませて再び出発。前回と同じように、島の北部に出ることにしよう。その前に嘉保根御嶽(かふねうたき)に寄る。集落の北端に鎮座するこんもりした林。詳細は「沖縄はじっこ旅」第1回の後半をご参照いただこう。写真を1枚撮り出発。北部へ抜ける道に入り、すっくと伸びるやしの木に惹かれて写真をまた1枚。そのやしの木を越えるとさとうきび畑。南の島にしかない畑。バックには島最高峰の「大岳(うふだき)」が見える。このセットでまた1枚。前回は「自分に負けて登らなかった」が、今回は登ってみようか。

↑嘉保根御嶽(かふねうたき)

石灰岩の石垣にやしの木・フクギ・さとうきび畑→
沖縄風景セット一丁。

↑強風に揺れるさとうきび畑の向こうに、
島最高峰の大岳(うふだき)。
麓の駐車場に自転車を置き、階段を上がる。しっかり登山道は整えられているようだ。途中から急勾配となったので、ここで1枚写真を撮ると、メモリーカードが早くもいっぱいになってしまった。なんだ、一度に100枚くらい撮れるものかと思ったけど、17枚撮って容量がいっぱいになってしまったらしい。細かいことをよく分からないまま“本番”に臨んだので、後になってデジカメ購入時にもう1枚購入したメモリーカードを持ってこなかったことを後悔したりする。やれやれ、これは泣く泣く写真を削除するしかないのか。
5分ほどで登頂成功。下2枚は大岳頂上からの写真だ。これもホントは4枚撮ったのだが、2枚は泣く泣く削除。無人島ツアーも企画される嘉弥真島(かやまじま)を入れた写真もその1枚だ。ちなみに、左の写真は小浜港方向を撮った写真を誤って削除した代わりに残った写真である。

←島最高峰・大岳(うふだき)からの写真2枚。
  (左)東南のリゾートホテル群を見下ろす。
  (右)西南の細崎(くばさき)方面を見下ろす。

頂上から降りて出発し、まもなく最北端の道に出る。西進していくと、洋風な「小浜島ビーチリゾート」のコテージ群。ここには3年半前にも来ていて、長い下り坂を降りて砂浜を見た。下り坂を降りるということは、当然帰りには上り坂を上がらなくちゃいけないのだが、それは十分覚悟できているし、何たって風を切る快感がたまらない。
その坂道を風切って降りている途中でのこと。曇天だった空からついに雨粒が落ちてきたのだ。風を切るそのスピードで雨粒が降りかかってくる。サイクリングの弱点だ。とはいえ、ここでチャリを乗り捨てるわけにもいかない。砂浜まで降りきってしまおうとも考えたが、にわか雨とはいえ雨脚が強くなってきたので、体力温存も兼ねて泣く泣く坂の途中で引き返す。登りきったら雨脚が弱まった。あ〜、虚し。
寄り道もつかの間、西進の道に再び戻ることにした。途中、遮るものがない中で風雨にさらされたワンコ1匹を発見。ま、つないだ当初は何ともなかったんだろうけど、今は何だかかわいそうだ。
(左)小浜島ビーチリゾート内。ビーチへの道→
  (右)強風にさらされていたワンコ。