こんな旅行記を作ってみたかった
(4)「黒みつスペシャル」リベンジ?〜エピローグ
飛び乗った高速船はほぼ満席。一番前の席にかけるや出発。竹富島経由とのことで、ほとんどの客が竹富島で下船していた。
15時10分、石垣港に到着。石垣島は今回で10回目の訪問。いろいろ見ているから、いまさら特別にどっかを見たいというわけでもないし、帰りは19時半の飛行機だから、レンタカーを借りてドライブするにも中途半端である。
時間的にはおやつの時間だから、黒みつスペシャルが食えなかったリベンジを何となく果たしたくなってきた。とりあえず、あやぱにモール方面へ向かう。どっか適当に喫茶店で休息も兼ねようと思っていたら、モールの中心部にある「石垣市特産品販売センター」の下で「石垣島ぜんざい」の看板を発見。なるほど、いろいろなものが入っていて面白そうだから、入ってみようか。

←(左)離島桟橋近くで見つけた御嶽。
  (右)石垣島の中心部のアーケード街「あやぱにモール」。
     手前「〜食堂」の看板左にある建物の2階に「しまちゃや」がある。

店名は「しまちゃや」。石垣市特産品販売センターとつながっていた。改めてメニューを見ると、いろんなものが入っているようだ。実物は小豆のかき氷に見えたが、中をほじくっていくと、いろんな豆がざっくざくと出てくる。それらと氷を一緒に食べると、“シャリモチッ”と不思議な食感がする。黒糖の甘さが疲労した身体に染み入るように気持ちよかった。「黒みつスペシャル」とは違うものであるが、リベンジどころか得した気分になれた。

←(左)「石垣島ぜんざい」の全容。
  (右)「石垣島ぜんざい」の実物。盛りがよくてこぼれそうだったので、
    手前から奥へと刻むように食べた。

ぜんざいを食い終わり、近くの書店「タウンパルやまだ」で30分ほど立ち読みをした後、結局プラプラ歩きながら徒歩で空港まで向かうことにした。いつもタクシーかバスで効率的に移動してしまっているが、歩こうと思えば歩けそうな距離だと前々から思っていたので、一度歩いて行ってみたいと思っていた。時間はまだ16時半。夕飯の時間も込みで、2時間もあれば十分着くだろう。
通った集落は「真栄里(まえさと)」「平得(ひらえ)」の二つ。ともに通り過ぎていた場所だ。「大阿母御嶽(おおあもおん)」は住宅街の中にあった。「大阿母」とは琉球王朝時代の上級女神官の名称。八重山にも1人いて各地の神官を統括する位置にあった。この御嶽は、元々八重山の初代大阿母である多田屋遠那理(ただやおなり)の墓があった場所で、地元民の信仰で御嶽になったそうだ。御嶽の前はちょっとしたスペースがあり、豊年祭などが毎年開かれるそうである。
平得では五差路の一角で「3番アコウの木」なんてのを見つつ、空港には18時半に到着。空はすっかり暗くなっていた。

↑沖縄名木100選の一つ「3番アコウの木」

←市街地のあちこちに点在する
  沖縄独特の聖域 「御嶽」。
  “うたき”とも“おん”とも読む。
  (左)大阿母御嶽(おおあもおん)
  (中)天川御嶽(あまかわおん)
  (右)宇部御嶽(うべおん)

 

夕飯を食べた真栄里にある「パーラーとんとん」→
こういうどこにでもありそうな食堂がもっぱら好みの私。

↑「パーラーとんとん」で食べた「ちゃんぽん」600円。
ここのちゃんぽんは“つゆだく”だった。

前後するが、夕飯は真栄里にある「パーラーとんとん」で「ちゃんぽん」を食べた。650円。“邦訳”すれば「野菜炒めの卵とじかけごはん」だが、店によって個性があるメニューだ。ここのそれは、かつて食べた中で一番“つゆだく”だった。だからか、そのつゆで結構腹がいっぱいになる。
店は何の変哲もない食堂であるが、こういう場所ほど地元の人が来る可能性が高い。別に地元の方と交流を持とうなんて高尚な目的は持っちゃいないが、なまじ観光客用に作られた沖縄料理店で、沖縄の人間ですら普段食わないような沖縄料理を食わされるより、こういう店でB級グルメを食したほうが自分には合っている。これからも私にとっての「沖縄グルメ」は、街の食堂のB級グルメであり続けるだろうことを再確認して、この旅行記を締めよう…って、なんのこっちゃ。(「こんな旅行記を作ってみたかった」おわり)

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