神奈川県横浜の翻訳会社 D&Hセンター デンマークのホットニュース 2008年
HOME | |翻訳| |CAD設計| ||  |リサイクル| |ご依頼|  |英語ワンポイントレッスン| |会社概要

2009年 2008年

デンマークのHotNews(2009年1月〜)

 2009年3月号

 

【 デンマークの伝統料理 スマーブロド(オープンサンド) 】

 

 デンマークの伝統的な料理は何かといえば、1番に挙げられるのは、昼食ならば、スマーブロド(直訳はバターを塗ったパンの意)という名のオープンサンド、夕食ならば、フレスケスタイという名の皮つき豚肉のローストと茹でた小さいジャガイモであると言えると思います。

 今回は、オープンサンドについてご説明致します。このオープンサンドは、簡単な昼食やお弁当として日常生活に欠かせないものとなっていますが、同時に、日本でいえば元旦の朝におせち料理をいただくような意味合いを有する、クリスマスのランチを始めとする、正式なランチにもなります。

 

 

 

 日頃の昼食のオープンサンドは、非常にシンプルで、大抵、麦の粒の残っているような粗挽きの小麦粉を発酵させて焼いた、重みがあって、ちょっと酸味と湿り気のある黒パンの薄切りの上に、好みでバターを塗って、具を乗せたものとなっています。具には、様々便利なものが用意されていて、スーパーやお肉屋さんで既に完成したものが購入できる、豚のレバーペーストや、日本よりも種類が豊富で幾分安価なチーズや、ハムやサラミや、また、チキンやツナや小エビなどが野菜と共にマヨネーズベースのソースに入っているサンドイッチペーストなどがあります。また、お母さん特製のフリカデラと呼ばれるハンバーグが登場することもあります。しかし、これも、実は前日の夕食の残りだったりして、お弁当の準備の為に、日本のように火を使って朝料理をする必要がほとんどないので、主婦にとってはありがたいです。

 また、職場や学校のお弁当ではまずあり得ないですが、簡単な昼食に人を呼んだ際などは、このオープンサンドのお伴には、ほぼ必ず、デンマークが誇るカールスバーグやツボーといった銘柄のビールが提供されます。

 

 

 一方、正式なランチとして提供されるオープンサンドには、日本のおせち料理のように、いろいろな決まりがあります。

 まず、オープンサンドには、デンマーク産のビールはもちろんですが、冷たく冷やしたジャガイモの蒸留酒アクアビット(またはシュナップスとも呼ばれます。)が小さいグラスで提供されます。このアクアビットはアルコール分が40%程度とかなり強いのですが、食事中ホストの呼びかけにより、スコール!と皆で乾杯して、テーブルに付いている全員としっかりアイコンタクトして、微笑みを交わした後に、(飲める人は)何度も飲み干すこととなります。もちろん、飲めない人は、ちょっと口をつける程度で構いません。一気や飲まないと格好が悪いといったような雰囲気は一切なく、個人主義が徹底しているので、慣習は大事にしながらも、各自が自分のペースで飲みます。

 

 

 オープンサンドそのものにも、組み合わせの決まりがあります。食卓には、日本の手巻寿司のように様々な具が如何にも自由に選んで下さいと言わんばかりに、並ぶのですが、実は、伝統がかなり具材のパートナーを既に決めています。

 例えば、まずは、嫌いな人以外は(といっても、ニシンの酢漬けは国民的食品なので、嫌いという人は見たことがありません。)、黒パンの上にニシンの甘酢漬けでスタートを切ります。このニシンには、好みで生の玉ねぎの輪切りやカレー粉が入った甘酸っぱいマヨネーズのようなソースをかけて食べることもできます。

 続いて、好みの魚介類を取ります。グリーンランド産の茹でた小エビやノルウェー産のスモークサーモンが人気ですが、これらは黒パンではなく、白いパンで食べます。エビにはマヨネーズやあればアボガド、サーモンには胡椒を振って食べます。

 

 

 デンマーク人は、パーティーの席でよくスピーチをします。お腹が少し落ち着いた今頃が、ちょうどスピーチが始まるいいタイミングとなります。スピーチをする人は、宴もたけなわで話に花が咲いている皆の注意を引く為に、フォークで軽くグラスを叩いて合図の音を鳴らします。ホストがゲストに集まってくれたことへの感謝を述べたり、ゲストがホストへの招待してくれたことに対する感謝の気持ちを表したり、お誕生会などの際には、皆がお祝いの言葉を述べたり、昔の思い出話を語ったり、ユーモアを交えて、非常にいいスピーチをする人が多いです。日本人に比べて、自分の考えや気持ちを表現することやそれを聞くことに、小さい頃から慣れているのと、学校のカリキュラムの中でも繰り返し訓練されてきているのが幸いしているのだと思います。

 その次には、肉類を取ります。ここでは、ハムやサラミやハンバーグやローストビーフやローストポークが登場します。ハムにはミックスベジタブルのように小さく切った野菜を和えたマヨネーズベースのソースを付けて食べることができますが、似ているということで、前述のニシン用のカレー粉入りのソースを乗せてしまうと、「デンマーク的には間違っているのでデンマークの文化を知りたいと思っている彼女に教えてあげたいけど、彼女の自由な判断も尊重しなくてはいけないから、どうしたらいいかしら。」と周りの人を困らせてしまう結果となります。また、ローストビーフには、レモレーデと呼ばれる、刻んだ玉ねぎや香味野菜が入った、黄色くて甘めのマヨネーズ状のソースをかけて食べると美味しいのですが、ここで誤って、レモレーデとは似て非なるマヨネーズをかけてしまうと、周りの人達が困惑するといったことになります。こうした伝統的な決まりは、デンマーク人なら小さい頃から食卓で大人の様子を見て自然に学んで知っていることですが、外国人は始めのうちは戸惑う所です。

 

 

 最後に出てくるのは、デンマーク国内はもとより、ヨーロッパ各地で生産された、様々な種類のチーズと、付け合わせのパンやクラッカーです。チーズの際のパンは、好みに応じて、白いパンを取ってもいいし、黒パンを取っても構いません。チーズは、エメンタールチーズのように弾力があってほのかな甘みが香るものや、ヤギのミルクから作られていてちょっと匂いの強いもの、ブリーチーズのように中がとろけるようなクリーミーなもの、ゴルゴンゾーラチーズのように青カビ入りでかすかにツンとした発酵臭のあるものなどが、人気があります。食後に出されるこちらのチーズには濃厚な味のものが多いので、パンやクラッカーが欠かせません。この頃には、体格がよくお酒に強いデンマーク人も、アクアビットの酔いが回って、陽気におしゃべりや歌声が弾んでいるはずです。

 そして締めくくりとして、コーヒーか紅茶と共に、バターがたっぷり入ったクッキーやチョコレートを食べて、食事は終了です。デンマークでは、コーヒー愛飲者人口が非常に高いように感じられます。また、デンマークの喫煙者人口は、男性は日本と同じ位かちょっと低い印象を受けますが、特に女性の間では高いので、2007年7月にデンマークでは、公的な場所での喫煙は一切禁止という法律が発行されたということもあって、ちょっと席を立って一服という人も出る頃となります。

 

 

 

 2009年2月号

 

【 デンマークのロイヤル・ファミリー 】

 

 デンマークは王国で、世界でもっとも古い歴史を誇る王室があり、現在の国家元首は、マルグレーテ女王です。マルグレーテ女王のご主人は、元フランスの外交官、ヘンドリック王子です。

 デンマーク王室は、日本の私から見ると信じられない程開かれた王室で、例えば、住まいとなっているアメリエンボー城には塀がなく、誰でも入れる広場の中にお城が建っています。心配になるセキュリティーは、昔ながらのクマの毛皮の長い帽子を被った兵隊が、一応常時待機していますが、実質的に、観光客の写真の格好のモデルとなっています。ただ、さすがに兵隊は観光客と喋ったり、写真のポーズをとったり笑顔を作ってはいけないことになっています。また、マルグレーテ女王は、お付きの人2人だけを連れて町にショッピングに出かけたり、絵を描いたり、デンマーク刺繍の本を出版したり、ドイツ語、フランス語、英語など多数の言語に堪能だったり、気さくでクリエイティブで才能豊かということで知られており、国民から非常に親しまれています。

 

 

 日本の天皇皇后両陛下とも仲良しだそうで、両陛下がヨーロッパを訪ねる時には、英国でエリザベス女王から2回夕食に招待されたのに対して、デンマークでは8回も夕食に招待されたと、日本の新聞で、驚きと感激の感を込めて報じられていました。絵本を書かれたり創造的な才能がある日本の皇后様と、マルグレーテ女王は話が合うようだとも報じていました。

 毎年大みそかの夜6時に、マルグレーテ女王は、国民に向けて国営テレビ放送を通じてスピーチをします。このスピーチはほぼ全国民が楽しみにして毎年生放送で聞いているもので、そこでは必ず、デンマーク領のグリーンランドやフェロー島等の本土以外の人々への挨拶や、世界の被災者へのいたわりの言葉や、今後のデンマーク国やデンマーク人のあるべき姿の提示が含まれています。マルグレーテ女王は、デンマーク国民のモラルの象徴なので、政治的な発言は一切できませんが、失業率が上昇する中で、増え続ける移民に対するデンマーク人の嫌悪感が高まった時には、その態度を戒めるような厳しい言葉を国民に伝えた年もありました。

 

 

 

 マルグレーテ女王とヘンドリック王子には既に40歳を過ぎた2人の息子さんがいます。若い時には王室の一員という運命を背負って生まれたことに反発を抱いた為かディスコでお酒を飲みすぎてメディアに報道されたり、下着のモデルと付き合ったりして年配のデンマーク人を心配させた息子さん達も、もうすっかり落ち着いた年齢になっています。

 次期国王となる長男のフレデリック王子はオーストラリアのタスマニア出身の美しいメリー妃と結婚しており、2人の間には、3歳になる男の子と、今年生まれた女の子がいます。この男の子、クリスチャンがその次の国王となります。

 次男のヨアキム王子は、香港出身のお父さんが香港人でお母さんがオーストリア人のアレキサンドラ妃と9年間結婚していて、男の子を2人設けましたが、デンマーク王室で初めての離婚を経験し、アレキサンドラ妃は再婚によって多くの財産等の権利を失うことを承知で、既に12歳以上年下の、デンマーク人カメラマンと幸せな再婚を遂げています。2007年には、ヨアキム王子も、かねてからお付き合いの様子がメディアにも取り上げられていた、フランス人のマリアさんと婚約しました。

 

 2人の王子は、他のデンマーク人の離婚家庭の子供と同じように、両親の住まいを行き来しているようで、お母さんの新しい旦那さんに幼稚園に迎えに来てもらったりしている所が、ごく自然なこととして、友好的なトーンの記事で、デンマークの雑誌に取り上げられたりしていて、いかにもデンマークらしい感じがします。もちろん、子供の感情は実は複雑でもある可能性も十分にあり得ますが、もはやこうした光景はデンマークではちっとも珍しくないので、王室の人といえども何も特別なことはないという捉え方なのでしょう。

 

 

 ちなみに、日本でも女子の皇位継承の可能性が議論されておりましたが、スウェーデンでは、何年も前に王室典範を改定して、性別に関係なく、第一子が王位を継承することになっています。従って、現在の王様とお妃様には男の子も女の子もいますが、第一子であるお姉さんのビクトリアさんが次期の女王様になることが決まっています。

 デンマークでは、まだ原則的には、一番目に生まれた男子が王位を継ぎ、もし子供の中に男の兄弟がいない場合には、女の子が継ぐことになっていますが、現在のフレデリック王子も、その子供のクリスチャン王子も第一子で男の子なので、性別にかかわらず第一子が王位を継ぐべきかという議論と、これに伴う王室典範改定の機会を逸して、現在に至っています。

 

 

 写真はデンマークの王室のホームページより

 

 

 2009年1月号

 

【 デンマーク人の育児休暇と、医療従事者のストライキ 】

 


 

 デンマークの妊婦さんは、その殆どが職に就いているか、または学生をしています。職に就いている人は、出産予定日の1か月前になると、産前休暇を取ることができます。産後は、母親が14週間、父親が2週間の産後休暇を取れる上に、子供が9歳になるまでの自由なタイミングで、両親が各自最長32週間の育児休暇を取ることができます。

 上記の期間中は、所属する労働組合や市から、助成金を受け取ることができるので、経済的な負担は最少限度で済むことが多いです。しかし、デンマークでも、やはり約1年間の育児休暇を取るのは大半が母親で、父親が3ヶ月以上の育児休暇を取ることは比較的珍しいようです。

 

 

 デンマーク政府から認定を受けている教育機関に属する学生には、毎月約9万円程度(保護者の家で生活する学生はこの約半額)の生活費が支給されているのですが、こうした学生が子供を産む場合には、出産予定日の2か月前から、生活費の支給を1年間倍増してもらう申請をすることができます。親となった学生は、その1年間休学して、子供の世話に充てることが多いようです。

 デンマークの市には、6か月目からの保育保障というのがあります。これは、生まれてから6か月を過ぎた子供に対して、市が、保育機会を必ず提供しなくてはならないというものです。この保障があることによって、両親、特に母親の職場復帰が約束されています。デンマークには、失業、転職という言葉はあっても、結婚退職、出産退職という言葉は存在しません。

 

 

 

 

 しかしながら、実際には、子供が生まれてすぐにも、希望する保育施設の待ちリストに名前を書き入れていても、6か月目では、保育施設の不足から、市内ではあるものの自宅から大変遠い保育施設を提供されてしまうということが多いことなどから、6か月から1歳になるまでは、育児休暇を謳歌する母親が大半を占めているようです。

 また、デンマーク人の出産に大きく関係する、医療従事者に関するニュースで、私が心底驚いたことがありました。2008年春に、看護師と助産師が賃金引き上げと労働条件の改善を求めて全国でストライキを起こし、緊急を要する医療に必要なギリギリの職員数を提供するにとどめる決断を下した為に、およそ3ヶ月間も、出産後の妊婦と赤ちゃんが、特に問題がなければ、分娩後わずか4時間で退院させられたのです。

 

 

 

 高齢者会議施設におけるケアの質の低下等と共に、この分娩後4時間で退院問題に関しては、メディアでも取り上げられて問題視されていましたが、決して、だから看護師、助産師はストを直ちにやめるべきだという議論は全くなく、インタビューに答える高齢者や妊婦も、ストによって自分たちが被った不便や困難は訴えるものの、ストライキに関しては理解を示し、政府の早急な回答を望むといった声が一様に上がっていたのは、大変にデンマークらしいなと思ってしまいました。日本では、全国で看護師や助産師が一斉にストライキを起こすということ自体、考えられないでしょう。

 

 

 

 

 デンマークでは、妊娠、出産をする側も、また高齢者福祉の受給者も、その殆どが職に就いている、または就いていた人達なので、賃金引き上げや労働環境の改善を求めてストライキを始めることに理解が深いのだと思われます。が、正直な反応として、私にはとても、分娩後4時間で、まだ出産の痛みも治まらないうちに、自力で歩いて病院のドアを開けて退院する必要に迫られたら、一体自分に対応できるのか、想像できませんでした。

 

 

 写真は、ストライキのデモンストレーションをしている看護師さん、助産師さん達の様子です。赤い手の絵柄のあるプラケートの中には、「もっと賃金を!」「公平な賃金を!」といったスローガンが掲げられています。看護師さん、助産師さん達の要求は、その資格を得るのに教育機関が同じ年月かかる他の職種よりも、特にIT技術者のような男性の就業割合の多い職種に比べて、女性の就業割合の多い看護師、助産師の給料は低い為、将来こうした職業に就きたいと思う人が減ってしまう恐れがある、その為、他業種に比べて公平と言える額の賃金を要求する、というものでした。しかし、政府の見解では、他のOECD諸国の水準と比較した際に、デンマークの看護師、助産師の賃金は決して低くないということから、議論はしばらく平行線をたどっていましたが、看護師、助産師の労働組合が当初の要求よりは低い水準の値上げで妥協する形で、この度のストライキは終結しました。

 


HOME | |翻訳| |CAD設計| ||  |リサイクル| |ご依頼|  |英語ワンポイントレッスン| |会社概要



神奈川県横浜の翻訳会社 D&Hセンター デンマークのホットニュース 2008年