Fマチック用AT流用交換

NSX購入後、そしてホームページ開設後初めてとなる、本格的チューニングネタです。いや〜長かった!今回のメニューは通勤快速NSX号のATを、Fマチック用ATに載せ変えです。このFマチック用ATは、初期型のATと比べ、ファイナルギヤと4速ギヤのギヤ比が違います。特にファイナルギヤはローギヤ化されているので、加速力アップが見込める付加価値の高いATなんですね!今回の作業は「KSPエンジニアリング」さんのご協力で作業を行うことができました。

NSXのATスペック

NSXはATでも十分早いと思いますが、トルコンを使用しているので、どうしてもレスポンスの悪さや、ダイレクト感などに不満もあります。これを現実的に解決するには、マフラーやエキマニなどエンジンの給排気系を見直し、パワーやトルクを上げるのが一般的ですね!でもチョッと変わり者の自分は、以前からATに手を加えたいと思っていましたが、NSXのATはトルコンを使用しているものの、一般的な遊星歯車を使用したATではなく、「ホンダマチック」と言われるN360から伝統的に採用されているカウンターシャフトをもつ特殊なATです。それゆえ強化したATが作れないんですね。なのでATに手を加えることは諦めていました。

そんな折、KSPエンジニアリングTYIZさんの掲示板を拝見していると、ATに関する話題が取り上げられていました。内容は初期型のAT車とFマチック車では、ファイナルのギヤ比が違うとのこと。自分はてっきりATのファイナルは当初から4.428だと思っていたら、初期型は4.066だったのです。サービスマニュアルで確認すると確かにその通りでした。ずっと勘違いしてた・・・。(^^ゞ そうと分かれば、早速TYIZさんにメールして、流用の可能性について話をお聞きしました。

早速、KSPエンジニアリングにて打ち合わせ

いつもは慎重に事を進める自分ですが、今回は即断でKSPエンジニアリングにお邪魔して、TYIZさんと流用の可能性と、予想される問題点を洗い出し、そのことについて打ち合わせを行いました。いくつか予想される問題もありましたが、お互い「チャレンジしてみましょう!」ということで、実際に作業を進めることになりました。

当初の打ち合わせでは、Fマチック用のATは中古としては、まず出てこないだろうということで、比較的程度のいい初期型中古ATを購入し、それをKSPに持ち込んで必要と思われる部品をTYIZさんに交換して頂き、完成したところで今のATと載せ変えて制御面の検証。という手順で作業を進める予定でしたが・・・ATを探していたところ、なんとFマチック用が見つかったのです!

NSXのFマチック用AT

FマチックATが出現した時点で、TYIZさんはすでにATの内部検証を始めていたので、ここでチョッと打ち合わせ。その結果、当初手順の部品を交換後に制御の検証をして、もしどうにも解決できない問題が出てしまった場合、お互い時間的、金銭的な損失が大きいので、今回はFマチック用ATをそのまま搭載し、まずは予想される制御面での問題を検証することにしました。

以下の写真3点はKSPエンジニアリング TYIZさんからご提供頂きました。

NSXのAT内部

今回搭載したATではなく、TYIZさんが検証するために分解したATの写真ですね。メインシャフトや、カウンターシャフトが見えます。まるでMTです。シンクロがあるか、クラッチが有るかくらいの違いで、知らない人がみたらMTと見間違えるような内部構造です。

NSXのAT内部

こちらは分解を進めた写真です。左のケースの上に乗っている、アリの巣のような、細かい迷路みたいなのが油圧回路ですね。この回路に油圧が掛かり、シフトを制御しているわけです。なので、この中にチョッとしたゴミや異物が入った状態で組み立てて、もし内部のチェックバルブやスプールバルブに異物が噛み込むと、正しいタイミングで変速できなかったり、変速しなかったりトラブルの原因になります。ATの組立ては、異物の混入を絶対避けなければいけない、神経を使う作業です。

リフトアップされる通勤快速NSX号

リフトに上がり、ATが降ろされた状態の通勤快速NSX号。この車の歴史上、多分初めてのヘビー作業です。各部にオイルの滲みが有ったそうなので、そろそろエンジンのオーバーホールが必要かな?それと、ATを降ろしたついでに、ゴムにクラックが入っていたエンジンマウント(ミッションマウント?)を交換して頂きました。以前からクラックが入っているのは知っていましたが、交換する機会がなかったのでそのままでしたが、こちらが言うまでもなく点検・交換して下さいました。でも、エンジンマウントまで在庫があるなんて、さすがです!

Fマチック用AT流用交換後は、まさに激変!

NSXを引き取り、KSPを出た直後から、その違いを感じることができました。アクセルを踏み込んだ途端に低回転から今までにはない大きなトルクが発生し、しかも変速制御は変更していないので、結果的にシフトポイントも高回転側に移動。なので今までの感覚よりエンジンの回転がのびる!

体感的に一番違いを感じるのは「ゼロ」発進時。信号待ちからの発進や、路駐車を一旦停止後追い越すさいなど、グッとアクセルを踏み込むと、今までとは明らかに違う加速力を発揮し、あっという間にスピードに乗ってしまいます。街中を流れに乗って走っていると、すぐに4速までシフトアップしてしまいますが、いざアクセルを踏み込み、キックダウンした途端、強力な加速が始ります。車が軽くなった印象で、エンジンのアクセルに対する反応もよく、レスポンスも向上しています。初期型のAT車に乗っているオーナーさんだったら、この変化にきっと感動すると思いますよ。

今回の作業では、制御面には手をつけていません。初期型ATのコンピューターをそのまま使用しているので、ファイナルギヤ変更に伴い変速ポイントが高回転側に移動しています。シフトアップもダウンも、以前より高回転側で制御されます。ファイナルギヤのローギヤ化とシフトアップポイントの高回転側への移動による相乗効果で、鋭い加速とレスポンスを実現しています。シフトポイントの移動により、もしかしたら「D」レンジでは、Fマチック車よりもレスポンスがいいかもしれませんね!

変更に伴う問題点の話。一般的にチューニングや部品の変更を行うと、マイナス面がでるものです。サスペンションを変えると、乗り心地が悪くなったり、マフラーを変えると低速トルクが細くなったりするものですが、このAT変更に関してはマイナス面は感じていません。純正品を流用使用しているので当然と言えば当然ですが・・・。あえて言えば、高回転化に伴い燃費の心配がありますが、4速ギヤは初期型よりハイギヤー化しているので、問題ないかも知れませんが、HPを作っている時点では検証していないので、良く分かりません。(^^ゞ

今回のチューニングはKSPさんでも始めての作業で、当初はどんなトラブルが出るか、解説書の変速特性図を眺めながら、予想される問題点をピックアップし、一つずつ解決方法についてTYIZさんと話をしましたが、終わってみればマイナス面もなく、非常に満足のいくチューニングとなりました。チャレンジして良かったです!最後に、どのような問題の発生が予想され、実際にどんな問題が発生したのか。また問題点の解決策などは、KSPエンジニアリングのノウハウにあたりますので、ここでの公開は控えさせて頂きます。

初期型AT車オーナーの皆さん。自分が言うのも変ですが、お待たせしました!っていう感じです。絶対お薦めのチューニングメニューです。NSXが大きく変わります!運転が楽しくなること間違いなしだと思いますので、興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい!

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