往復9時間、現地3時間(後編)

  
島の中心部へと下っていく坂道の途中、ガイドブックにも載る有名な「高月山展望台」に寄る。前回の旅ではもう少しのところで断念したようだ。もう4年半も前だと、記憶があいまいになるようになった(「沖縄卒業旅」第7回参照)。
  
「阿護の浦」と呼ばれる穏やかな入り江を眺める。この辺りも後で寄る予定だ。
  
ほかにも展望所があるので行ってみる。にしても、すっかり汗だくになってきた。
  
これもあとで寄る予定の古座間味ビーチ(左上)と、やや北側と思われる海辺(…ってよく分からん。右上)。
 
汗だくで高月山展望台をあとにして坂を下ってくると、集落を見下ろす好眺望が。前回の旅ではここまで上がってきて力尽き、再び集落に戻ったらしい。
  
「村長野村正次郎、助役宮里盛秀、収入役宮平正次郎以下59名、集団自決之地」。ここは前回も寄った。事件の詳細は、「沖縄卒業旅」第7回の「A嘆きのサイクリング」を参照いただきたい(手抜き!)。
  
そこから坂をわずかに下ると、「平和之塔」。これまた汗だくで階段を上がっていく。
  
立派な塔と礎と、それを遠くからじっと見つめるように小さい碑があった。
 
車は再び集落に降りてきた。島唯一の小中学校。高校は那覇に行くしかない。
  
島最大のスーパーというかコンビニ「一○五ストアー」。向かいにある赤瓦にサンゴの石垣の家が、何とも言えない趣。
   
品揃えはなかなか。汗だくでハンカチが使えなくなったため、たまらずここでカラータオルを購入した。200円。
  
さあ、急いで古座間味ビーチと“その先”に行かなくては。島随一のビーチへの道は、まさに「ここは島の幹線なので、しっかり整えました。あとは知らん」的な舗装道路が。
 
で、古座間味ビーチへはあとで行くことにして、“その先”方面に行くことにすると、
 
見事に「あとは知らん」ってことになってました(笑)。ま、これで十分なんだけどさ、島全体。
  
それでも、阿佐集落に降りるとちょっと道が広がりまして、手垢のついていない美しい海が見えた。
 
で、阿佐集落を過ぎると、道は再び山の中に。
  
途中の「チシ展望台」に立ち寄ったりもしたけど、
  
目的は“その先”がメイン。行けども行けどもなかなか終わりが見えてこず、時間も14時を過ぎたとなれば、どこかで引き返したいが、どうにもそのタイミングも見えてこない。
 
で、あげくにこんな形の「THE END」を見せつけられ、軽く落ち込んだ次第。
 
ま、それでもレンタカーの醍醐味ってやつで、島の端っこまで行けたのでよしとしよう。さあ、ダッシュで戻らないと。
  
で、古座間味ビーチに着いたのは、14時20分。
  
前回の旅では、「BEACH OF THE BEACH」といたく感動していたこのビーチ。
  
この2枚は、まさしくそれを表現すべく撮影した次第。
  
とはいえ、そんなビーチに2分しかいられない状況にした自分がアホらしい。
 
時間は14時半。これにて弾丸ドライブは終了。事務所には誰もいなかったが、ケータイで確認したら「そのまま鍵をつけっぱなしでおいといでください」だと。何とものどかな島だ。
 
そうとなれば、急いで帰りのフェリーの座席を確保しないと。
 
……結局、帰りもデッキ。ホントは2等船席の一角を確保できていたのだが、寝て場所を確保せず座ったままでいたために、後から来た乗客に周りをしっかりと囲まれてしまって、どうにも居場所を失ってしまったのだ(泣)。
  
ま、そんなでもしっかり座間味島を観られたからいいか。行きに泊港で出航を待っていたときは、あまりの混雑ぶりに辟易して、座間味島行きの選択を後悔したりしたのだ。
 
時刻は17時。不安を抱えていた行きとはまた違う、風の心地よさを感じる。
 
帰りのフェリーも、行きと同じぐらいの大混雑だったが、無事下船。
 
さあ、那覇ではまず、夕飯に寄りたい店として目星をつけといたとこに寄ることに。
  
その店とは甘味処「ぜんざいの富士家」。玄関には、那覇にアトリエを持つ俳優・中尾彬氏の写真があったが、そんなこと(失礼!)よりも、女優・国仲涼子嬢が学生時代にアルバイトしていたことのほうが有名だ(!)。
  
せせこましいスペースでまず食べたのが、「富士家風タコライス・チーズのせ」(710円)。外国人向けのメニュー説明で“SOY SAUCE”とあったので、しょうゆで食べるんだーって思ってはいたけど……見た感じといい味といい、タコライスっていうよりは、タイの「ガパオライス」に近いのかなって思った。
  
そして、こちらが正真正銘のメインその名の通り「富士家ぜんざい」のレギュラー(290円)。オリジナル(左上)の色が変わるくらい上にたっぷりかけたのが、30円のオプションでつけられる練乳(右上)。でも、行きのJALでもらった「ちゅらナビ」って冊子を見せると、このオプションがタダでできて、しかもかけ放題ときたもんさ。
なぜか、これも店で食べるとタダでつくという「塩せんべい」(両方の写真の左下にある茶色い物体)と一緒に……いただいてみたけど、やっぱりぜんざいとせんべいは別にしたほうがいい。
  
これで“今日のミッション”は完了。とりあえずは、国際通りまで出ることにして、
  
むつみ橋交差点から市場大通りを経由していって、
  
夕方ゆえに人気のない農連市場へ辿り着いた。
 
ガーブ川に沿いに立つ建物のディープな画は、もはや世界遺産の域? でも、このガーブ川では先日、鉄砲水により工事関係者が亡くなる痛ましい事故があったばかりだ。
  
このあたりに来るのは、2006年4月以来。独特のディープな雰囲気は3年経った今も、あの頃ののままだ。
  
……っていうか、それよりも何十年も前から、時計が止まっているような錯覚に陥りそうだ。
 
さあ、再び国際通りに戻るか。道路の向こうに見えるもくもくした雲が、夏の匂いをまだ残している。
  
夕暮れ空と国際通りのネオンの色が、何とも異国情緒を醸し出してくれる。
  
かれこれ久茂地交差点まで歩き切るころには、すっかり辺りは暗くなっていた。
 
「りうぼう」で冷やかしたあと、ゆいレールに乗ろうと思ったら、こんなお知らせが。不発弾除去に伴う運休だが、これもまた「美しさ」や「癒し」を想起させる沖縄のもう一つの姿なのだ。(「往復9時間、現地3時間」おわり)


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