「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が平成1241日より施行されました。(住宅性能表示制度の施行は平成12年10月3日から)

●この法律の柱として「基本構造部の10年間の瑕疵担保責任の義務化」「住宅性能表示制度の2つがあります。

●「住宅性能表示制度」は住宅の性能を第3者機関(指定住宅性能評価機関)が客観的な基準(日本住宅性能表示基準)に基づいて評価し、その結果を表示する制度です。

●この制度を利用することにより、住宅を建てたり購入する際に、その住宅の性能の水準を客観的に知ることができ、また他の住宅との比較もしやすくなります。「住宅性能表示制度」と「基本構造部の10年間の瑕疵担保責任の義務化」について簡単に紹介します。

住宅の性能が表示される9つの項目(概略)

(平成12年7月19日 建設省告示第1652号より抜粋) 1戸建て住宅関連のみ記載

項目

概要

等級

基準

 

1.構造の安定

地震に対する倒壊のしにくさ

(構造躯体の倒壊防止)

(構造躯体の損傷防止)

その他、耐風等級や耐積雪等級もあり

1

建築基準法の1.5倍の地震力に対して倒壊しない

建築基準法の1.25倍の地震力に対して倒壊しない

建築基準法のレベル(普通のレベル)

2.火災時の安全性

延焼のおそれのある外壁の耐火時間

(その他、外壁の開口部、火災の感知気を設置しているか否か等の基準があります)

1

 

耐火時間60分相当以上

耐火時間45分相当以上

  耐火時間20分相当以上

その他

3.構造躯体の劣化の軽減

大規模修繕までの期間の目安


1

 

概ね75年〜90年の対策(3世代ぐらい)

概ね50年〜60年の対策(2世代ぐらい)「住宅金融公庫の基準金利適用の耐久性仕様程度」

建築基準法のレベル

4.維持管理への配慮

配管の維持管理を容易にするための対策(給排水管やガス管のメンテナンス)

 


1

 

掃除口や点検口が設けられている等維持管理を行うための余裕のある対策を講じる(躯体や仕上げに影響を及ぼさないレベル)

維持管理を行うための基本的な対策が講じられている(躯体に影響を及ぼさない)

その他それ以下

5.温熱環境

省エネルギー対策等級




1

 

特に大きな削減が得られる(住宅金融公庫の割増融資工事の次世代型省エネルギータイプ程度)

大きな削減が得られる(住宅金融公庫の基準金利適用住宅の省エネルギータイプ程度)

軽微な削減が得られる(住宅金融公庫の基礎基準事項の断熱工事程度)

その他(それ以下)

6.空気環境

内装材のホルムアルデヒドの放出量

 

(その他、換気設備についての対策についての対策の基準もあります)

 




1

 

ホルムアルデヒドの放出量が少ない(日本工業規格「JIS」の0等級、日本農林規格「JAS」の0等級相当以上)

ホルムアルデヒドの放出量が少ない(日本工業規格「JIS」の1等級、日本農林規格「JAS」の1等級相当以上)

ホルムアルデヒドの放出量がやや少ない(「JIS」の2等級、「JAS」のc2等級相当以上)

その他

7.光・視環境

居室窓面積の方位ごとの比率

 

単純開口率を明示(%表示)<開口部の床面積に対する割合>

方位別開口比を明示(%表示)<開口部の床面積に対する各方位ごとの割合>

8.音環境

外壁の開口部に使用するサッシュに関する空気伝播音遮断程度

 

詳しくは遮音ついてまで



1

 

特に優れた空気伝播音の遮断を可能とする程度「JIS」のRm−25以上(平均音響透過損失25db以上)

優れた空気伝播音の遮断を可能とする程度「JIS」のRm−20以上(平均音響透過損失20db以上)

その他

9.高齢者等への配慮

高齢者等配慮対策等級(安全な移動と車椅子使用者への対策)

 

 

 


 

 


1

 

身体機能の低下に対して移動時の転倒や転落を防止するための特に余裕のある対策が講じられている。(改造をせずに介助式車椅子使用者が基本的な生活のために必要な措置が講じられている)「建設省の長寿社会対応設計指針の推奨項目程度」

身体機能の低下に対して移動時の転倒や転落を防止するための余裕のある対策が講じられている。(改造をせずに介助式車椅子使用者が基本的な生活のために必要な措置が講じることが可能な程度)「建設省の長寿社会対応設計指針の必須項目程度」

身体機能の低下に対して移動時の転倒や転落を防止するための余裕のある対策が講じられている。(軽微な改造で介助式車椅子使用者が基本的な生活のために必要な措置が講じることが可能な程度)「住宅金融公庫の基準金利適用住宅のバリアフリータイプ程度」

身体機能の低下に対して移動時の転倒や転落を防止するための基本的な措置が講じられている程度

建築基準法に定める移動時の安全性を確保する対策を講じている程度       

*等級は数字が大きくなるほど高性能となります。

*共同住宅の場合項目が増え、基準も一部では若干ことなります。

    

住宅性能評価の制度を利用するためには

 

 

備考

新築建売住宅の場合はこの制度を利用しているかどうか確認しましょう

*この制度を利用している場合は比較検討が容易になります

自分で家を建てる場合「指定住宅性能評価機関」に申請が必要となります。(申請者は建築主、設計事務所、施工会社のいずれでも可能です)

「指定住宅性能評価機関」
(財)日本建築センター
(財)東京都防災・建築まちづくりセンター(財)ベターリビング
 その他各都道府県の建築住宅センターなど

*どの程度の性能にするか検討・要求する(高性能にすることは金額的にもUPします)

*この制度の利用には評価料が必要となります

*現場審査は
基礎の工程時期

屋根の工程時期
内装の工程時期
竣工時となります

評価費用<第3者評価> 評価手数料として10〜15万円(評価機関により異なる)

提出する設計図書や申請書類の作成に10〜50万程度、合計で平均40万程度かかると予想される

万一トラブルが生じた場合は

住宅性能表示を受けた住宅に、万一トラブルが生じた場合には、弁護士、建築士などによって構成される「指定住宅処理機関」の斡旋・調停・仲裁を利用しましょう。(性能表示に関する内容だけでなく当事者間のすべての紛争について取り扱われます)

紛争処理申請料 1万円

「自己評価」と

「第3者公的評価」

  (設計住宅性能評価書)

  (建設住宅性能評価書)

性能表示制度の利用には「自己評価」「第3者評価」「請負契約における評価の具現化」の3段階あります。
任意制度なのでどこまでやるかは自由です。自己評価はあくまで自身の評価であり公的機関によるお墨付きの評価とはことなりますが、当初はこの「自己評価」が多く見られるとこが予想されます

 

10年間の瑕疵担保責任について

申請者

申請は不要

対象となる住宅

新築住宅

対象となる内容

瑕疵担保責任の対象部分

責任期間

構造耐力上主要な部分(基礎、柱、梁等)

雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、開口部等)

10

10

備考最大20年までの長期保証契約が可能

 

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空間工房イアニス 一級建築士事務所  
                                                                      

最終更新日 : 2001/08/08