●高齢化とともに、視力や感覚機能が衰えてくることは、しかたのないことです。設備関係の操作のしやすさ、安全性、表示の見易さ、メンテナンスや消耗品の交換等を考慮して設備を選定しましょう。
●1.給排水、衛生設備
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水栓金具:台所や洗面所、浴室の水栓金具はレバーハンドル式のものを使用する。また、温度調整も容易に行えるものが望ましい。
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水栓金具は、できる限り、温度調整が可能で安全制御されたものを使用する。
■「サーモスタット式水栓」:温度設定が容易、給湯温度の変化によって湯温が左右されにくく、安全性が最も高い。
■「シングルレバー式水栓」:レバーにより吐水・止水を及び温度調整が可能。操作性がよい。
■「ミキシング式水栓」:水とお湯の混合割合をハンドルで操作し、湯温調整する。
■「 2バルブ式水栓」:お湯と水の吐水量をそれぞれ設定する必要があり、他の方式に比べ湯温調整が簡単に行えない。(高齢者対応としては向かない。)
● 2.電気設備
■ 照明のメンテナンス
照明器具は、掃除や電球の交換などのメンテナンスが、安全かつ容易にできるものが望ましい。
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住戸内照明設備は十分な照度を確保する。
○できるかぎり、JIS照度基準の中間値の2倍程度の照度を確保できるようにする。
■ 視力が低下した場合の適正照度
■ 非居室:玄関 200
lx(足元は450lx)、廊下:100
lx、階段100
lx、収納■
(大型の収納■ 、ウォークインクロゼット)70
lx
■ 居室:寝室 40
lx、(読書をする場合1000
lx)、居間100
lx、食堂150
lx、(食卓、700
lx)
■ 水廻り:台所、 150
lx(調理台、700
lx)洗面・脱衣室、200
lx(洗面、化粧、髭剃り等700
lx)洗濯,450
lx、便所、150
lx、浴室、200
lx
■ 外部専有部:玄関・バルコニー、 100
lx(バルコニーや外部の庭にも照明の設置または配管等の設置準備をしましょう。)
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*( )内の個所については、局部照明により照度を確保する。ただし、全般照明を局部照明の 1/10以上は確保する。または、将来対応で、照度が確保できるように対応する。
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推奨:照度の調整が可能な照明器具の使用
▲推奨:足元が暗がりにならないよう、補助照明として、足元灯やダウンライトなどを使用する。
●スイッチ・コンセント
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スイッチ・コンセントは使いやすい高さに設置する。
■ コンセント:床仕上げ面から 400ミリ以上(冷蔵庫<通常1850ミリ>、テレビなど日常頻繁に抜き差ししないものは除くが、少なくとも各部屋に一箇所はこの位置に設ける。(ただし設置する平面的な位置によっては、足を引っ掛ける場合もあるので、使い勝手を考慮し高さを決定する。足腰が弱くなった場合のことを考慮しあまりかがまなくても、コンセントが使える位置に設けるということです)
■ スイッチ:床仕上げ面から 900〜1200ミリ(中心)
■ インターホン:床仕上げ面から 1250ミリ(中心)
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できる限り、明かり付スイッチ(蛍スイッチ)やワイドスイッチを使用する。
● 3.調理設備
○調理器具は点火が容易で火力調整がわかりやすいものとする。
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ガス調理器具は立ち消え安全装置付のものにする。
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*消し忘れ防止タイマー付、天ぷら火災防止付、焦げ付き消化機能付きのものもあります。
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電気調理器具は衣類等に着火する可能性は無いですが、電源を切っても加熱面は高温余熱があるので注意が必要です。電磁調理器具は通電状態がわかりにくいので使用にあたっては注意を要します。
● 4.安全設備
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推奨:台所には、自動消化設備または住宅用スプリンクラ−設備を設置する。
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*自動消化設備には下方放出型簡易自動消化装置などがあり、一般火災用と台所火災用がある。
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*住宅用スプリンクラーは、水道管直結型があり、この型は水道管直結配管のため工事費が安い。
● 5.通報装置
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台所には、ガス漏れ検知器及び火災報知器を設置する。
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ガス会社によっては、マイコンメーターで対応している場合もある。「
マイコンメーター」とは、ガスの消し忘れや地震に対してセンサーが働き、ガスを遮断する仕組みを持つもの。
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便所・浴室には非常の際に通報できる通報装置を操作しやすい位置にもうける。(現在ではリモコンにママコールが設置されているものが多い。又インターホン親機や住宅情報盤に組み込みも可能。通報装置には配線不要なタイプもある。)
▲推奨:高齢者などの寝室には、通報装置を設置する |