クレオパトラ☆バンガロー 前編

 
今回の旅は、羽田発がゆったりめ。実は、今回のチケットはすべてJALのバーゲンフェアで取った…というか、「取れたチケットが喜界島行きだった」というのが正しいのだが(笑)、その取れたチケットの都合で時間が遅くなったということだ。
  
機内で羽田空港の空弁「しらす弁当」800円を食す。あっさりしながらも、味付けはしっかりしていた。
  
羽田出発が滑走路混雑で遅れたため、鹿児島空港着は定刻より15分遅れの12時半。でもって、喜界島行きの飛行機は沖止めだったため、連絡バスに休む間もなく乗ることになった。
 
羽田を出るとき、鹿児島以南は天候不良で“条件付き”になると言われていたが、何事もなく飛び立って……。
  
喜界空港には、定刻の14時5分着。空はしっかり晴れていた。
  
空港から50mの「深水レンタカー」にて、日産サニーを借りる。一応、レンタカー屋のおばちゃんには迎えに来てもらった。
 
まずは、空港の裏にあるというビーチを目指そうか。5分ほど車を走らせると、
  
ホントに、空港の真裏にそのビーチはあった。
  
「空港臨海公園」という堅い名前だが、別名「スギラビーチ」という名前。
  
空港の裏とは思えない静けさと美しさ……ま、空港といっても、1日5便だけしか発着しないけどね。
  
ビーチには謎のツイン銅像と、何やら同窓会モードのモニュメントがあった。
  
ビーチを後にして、空港の滑走路に沿うように北上する途中、「海軍航空基地戦没者慰霊之碑」という碑に出くわす。喜界空港は、もともと海軍の飛行場だったのだ。
  
その空港を囲むように咲いていたのがテンニンギク。またの名を「特攻花」という赤い小さい花。第二次世界大戦では、特攻隊の基地だった事実を、この花はこれからも無言で語り継いでいくことだろう。
 
特攻花の見つめる先に広がる喜界島中心部・湾(わん)地区。
  
喜界島で有名人も泊まる機会が多いという「喜界第一ホテル」の向かいには、今時めったに見ない長屋があった。
 
さて、空港付近より進路を北に取る。
  
海の玄関口・湾(わん)港は、人気がなくひっそりしていた。
  
でっかいパチンコ屋の前には、黒糖焼酎の酒造会社のでっかいタンクがある。
  
走っている道は「喜界島循環線」という一周道路。右手には広大な山…というほどではないか。“丘陵”とでも言うべき高台が広がる。
  
一周道路をちょっと入ったところにある「ウリガー」。
  
かつての飲み水用の井戸だ。らせん状に下りていくこともできるのだろうが、やめといた。
  
そのちょっと先に進むと、小さい集落用の港と、不思議なオブジェ2体。
  
里安九郎氏作成。女神様のような人魚様のようなもの。手に持っているのは花だ。
  
もう一体は腹の出たガキ。はたまた宇宙人?
  
とりあえず、ヒカゲヘゴのあるほうに行ってみるか。
  
結局、ヒカゲヘゴが見つからなかった代わりに、高台からの好眺望を1枚。
  
志戸桶(しとおけ)、小野津(おのづ)方面へ左折。いくつか観光史跡がある道だ。
  
その一つ「雁股(かりまた)の泉」。源為朝が海上から矢を放ったところに湧き出た泉だ。
  
奄美・琉球に語り継がれる平家伝説の一つだ。結構、水量が豊かだ。
  
階段を上がって、展望スペースから小野津集落を見下ろす。
  
もう一つは、きちっと整備された「ムチャ加那公園」。ちなみに、加計呂麻島にも「ムチャ加那公園」がある。
  
その脇にある「望郷の碑」は、たしかムチャ加那とは関係なかったと思う。
  
で、ムチャ加那とは、絶世の美女と言われた女性の名前。それゆえに周囲の女性の反発を買い、ある日その女性たちからアオサという海草を獲りに誘われた矢先、崖から海に突き落とされて非業の死を遂げる――それがこの歌の内容だ。
 
その前提として、ムチャ加那の母でこれまた美女だったというウラトミが流されてきたのが、この小野津であったことを付け加えよう。
 
もともと、ウラトミは加計呂麻島の出身だが、役人からのプロポーズを断ったことがきっかけで重税をかけられ、それに耐えかねた両親がたまらず島流しにした。その流れ着いた喜界島で、ウラトミは娘・ムチャ加那を産んだが、娘も母同様に嫉妬の渦に巻き込まれてしまったのだ……。
  
そんな非業のエピソードがある小野津地区は、また東経130度線が通る場所でもある。
  
モニュメントがあったので1枚。後で南側の早町も通ることになるだろうが、ひとまずはもう少し小野津集落から北に進路を取ることにする。
  
狭い道を抜け、でっかい鳥居のある神社の前を通り過ぎ、
  
松林を抜けて、荒涼とした岩場の先に、
  
なぜかあったのが「ハワイ」と呼ばれる海岸。見た感じがハワイっぽいということで、地元で以前からそう呼ばれていたらしいが、はて……。
  
それはそうと、岩場をひっかくような“ピシピシ…”って音がするな〜と思っていたら、やどかりくんが岩場の陰などあちこちでやたら多く蠢いていたのだ。久しく、南の島ではやどかりくんを見なかったが、久々の鑑賞がこんな大量な数になるってのも、いかにも極端な性格に自分らしいと言うべきなのだろうか。(中編につづく)

  
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