建築物の耐震改修の促進に関する法律の概要(耐震改修促進法)  

 

●阪神大震災以来、地震に関する建築物の耐震性や現状の基準に関する見直しが行われておりますが、ここでは、現在、住んでいる(または使用している)古い建築物に関する改修や耐震診断に関する助成制度を紹介します。

■概要

●特定建築物の所有者の努力

多数の人が利用する病院、劇場、百貨店、事務所等一定の建築物(特定建築物)の所有者は、現行の耐震基準に適合するよう建築物の耐震診断、耐震改修を行うよう努めなければなりません

●耐震診断・耐震改修の指針

耐震診断・耐震改修の指針は建設大臣が定めています

●耐震改修計画の認定

耐震診断の結果を踏まえ、現行の耐震基準が求める耐震性を満たすように耐震改修を行おうとする建築物の所有者は、耐震改修計画について所管行政庁の認定を受けることができます。認定を受けると、建築基準法の既存不適格建築物に係る制限の緩和、耐火建築物に係る制限の緩和、政府系金融機関による融資を受けることができます。また、認定手続きを行うことにより、建築確認の手続きが不要になるなど、所有者の負担を軽くする措置が定められています。

■耐震診断の実施が必要な建築物

昭和56年(1981年)以前の建築物

老朽化が著しい建築物

バランスの悪い建築物(1Fにピロティがある建築物や大きな吹き抜けがある建築物、壁、窓の配置が偏っている建築物等)

多数の人が利用する建築物(階数が3階建て以上で、述べ面積1000平方メートル以上の建築物)

■相談窓口

 

 

(財)日本建築防災協会のホームページで全国の相談窓口を公開しています

 

■耐震診断を受けたい

●補助制度

地方公共団体(市役所や区役所)によっては、住宅などの耐震診断費用などを補助する独自の制度制度があります。この場合は、国は地方公共団体に対してその費用の一部を補助し、地方公共団体の取り組みを支援しています。また、地方公共団体が行う市街地総合再生基本計画の作成調査において耐震診断を受けることができます。

■地震に強い建物に改修したい

● 補助制度

地方公共団体(市役所や区役所)によっては、耐震改修促進法に基づく認定を受け一定の要件を満たす建築物の耐震改修費用などを補助する制度制度があります。この場合は、国は地方公共団体に対してその費用の一部を補助し、地方公共団体の取り組みを支援しています。なお、この制度は適用可能範囲が大きく拡大されました。

● 融資制度

耐震改修工事を行う場合、政府系金融機関から長期低利の融資を受けることができます。

融資を行う金融機関次の通りです。融資の要件は金融機関ごとに異なります。

・ 住宅金融公庫
日本政策投資銀行
沖縄振興開発公庫
中小企業金融公庫
国民生活金融公庫

● その他

地方公共団体(市役所や区役所)によっては、耐震改修に対して独自に補助や融資の制度を設けている場合があります。

■崖崩れの危険があるため移転したい

● 補助制度

崖崩れ、地すべり、津波、高潮、出水等による危険があるため、地方公共団体が条例で建築を制限している区域にある危険住宅の居住者が安全な場所に移転する場合、次のような補助を受けることができます。

・ 危険住宅の除去等に要する費用

補助限度額78万円/戸

・ 危険住宅に代わる住宅の建設、購入に要する借入金の利子相当額

補助限度額 一般地域    406万円/戸

      特殊土壌地帯等 708万円/戸

*特殊土壌地域等とは、特殊土壌地帯、地域防災対策強化地域、保全人家10戸未満の急傾斜地崩壊危険区域、出水による災害危険区域の4種類です。

 


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東京都や神奈川県、愛知県、静岡県、大阪府、兵庫県などを中心に200近い自治体が耐震診断費用の一部や全額を、また耐震改修費用の一部を補助する制度を設けています。

 

参考 東京都台東区の場合(各市町村により耐震診断や住宅補強工事助成金額や内容は異なります)

 

■耐震診断

耐震診断には予備調査と耐震診断があります。

・ 予備調査−耐震診断を行う前に現地で、耐震診断の必要性などについて行う調査をいいます。

・ 耐震診断−予想される大地震に対して、建物が必要な耐震性能を持っているか判断するための調査をいいます。

■耐震診断をする機関

1. 財団法人 東京建築防災センター

2. 財団法人 日本建築防災協会

3. 社団法人 東京都建築士事務所協会 台東支部

*原則として上記の診断機関で調査した場合のみ、助成金が受けられます

■耐震診断助成の内容

・ 昭和56年(1981年)以前設計で建てられた建物が対象です。

・ 対象建築物 

対象者  助成金の内容

木造住宅

 

建物所有者

 

耐震診断の費用×80%。ただし6万円を限度とする。(予備調査で終了の場合3万円です)

高齢者または障害者の方が居住する木造住宅

 

65歳以上の高齢者・障害者(身体障害者手帳3級、愛の手帳3度以上)の方が居住 耐震診断の費用×80%。ただし6万円を限度とする。(予備調査で終了の場合3万円です)
* 耐震診断後、補強工事が必要な時、補強工事費用×
50%です。ただし50万円が限度額です

鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造(非木造)

建物所有者(用途の指定はなし) 耐震診断の助成は10万円です。(予備調査で終了の場合3万円です)

■補強工事

高齢者の木造住宅が対象

耐震診断を受けた結果、報告書に耐震補強工事が必要と記載された建物

申請に必要な書類

1. 耐震診断の報告書の写し(補強工事設計図とも)

2. 補強工事の見積書の写し

3. 借地の場合は土地所有者の承諾書

参考 横浜市の場合 
■耐震診断 無料
■補強工事の補助 工事費の1/3を補助 (限度額200万円)
 

参考資料 国土交通省・建築物防災推進協議会パンフレット

 

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最終更新日 : 2001/09/06