水彩画の描き方  水彩画 基本の「き」


水彩画をはじめたばかりの方のために、水彩画の描き方や技法の解説ページです。画材の選び方や絵の具の使い方、遠近法などをご紹介します。
 

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 画材の準備・・・1万円を持って画材屋さんへ!

まず始めに、画材を準備しなくてはなりません。「画材」と聞くと、なんだか最初は大げさな感じがしますよネ!でも大丈夫です。予算もだいたい1万円もあれば充分おつりがきます。最低揃えなくてはならないのは、(1)紙 (2)絵の具 (3)筆 の3つだけです。この中で一番「絵の仕上がり」に影響するのは「紙」です。紙だけにはお金をケチらず、良質なものを買いましょう。絵の具と筆は決して高価な物は必要ありません。あとは、家にある物を利用しましょう(例えば、筆洗いなんかはコップでも充分ですよネ)。あとは描き方を学べば誰でもすぐに水彩画を描けます。

  


4,000円程度
メーカー名 ARCHES(アルシュと読みます。コットン100%で、多くの画家が愛用)
紙   肌 粗目(細目・極細などがありますが、粗目が一番ムラなく塗れます)
サ イ ズ F4(23×31cm)のブロックタイプ(四方が糊付けしてあるもの)がベスト。 ブロックタイプは面倒な※1.水貼りの必要もなく手軽に扱えます
絵の具
2,500円程度
メーカー名
入り数など
HOLBEIN ( 24色セットだと、多すぎるかもしれませんが・・・)のチューブ。 予算に余裕があれば「 ウインザー&ニュートン」がよさそうです

1本数百円
メーカー名
素材など
NOUVEL(私はこれを使っていますが、特にメーカーにはこだわりません)。 高価な素材もありますがナイロン製が手入れも簡単で充分です!
サ イ ズ 6号の丸筆をメインにその前後の太さの丸筆を2〜3本と、※2.ウォッシュ用に大きめの平らな筆(平筆)  が1本が必要です。後は適宜揃えます
他・備品
家にある物を利用すればOK パレットだけは、買いましょう(500円位)。 ・筆洗い(3層に分かれている物)は100円ショップ で。鉛筆・消しゴム・ティッシュなどは家にありますよネ!

※1.水貼り・・・・・紙は濡らすと延びるので、これが紙を波立たせます。この波立ちを事前に防止するのが「水貼り」といいます
           詳しくは http://mizusino.c.fiw-web.net/sasara/yakudati/mizubari.html
をご覧下さい。
※2.ウォッシュ・・・広い面積を水や絵の具で塗ること。空を塗ったり、ウエット・オン・ウエット(後述)する前に水を紙に引いたりすること

私の使用している画材は、こちら でご覧になれます。参考にしてください

モテ女100の秘訣 | モテる方法と女子力アップ術


 焦る気持ちを抑えてちょっとだけ勉強です!・・最低限知っておきたい水彩画法


私も水彩を始めたばかりの頃、何も知らずにただ漠然とデッサンをして、色付けをしていました。当然結果は歴然です。絵に空気というか、空間が全く無いのです。なんか、「ベター」っとしてとても水彩画という感じの絵ではありませんでした。そこで「これは、何か違うゾ!」と思って、本屋さんに出かけていき色々と水彩画に関するテキスト本などを読んでみました。すると、ちゃんとした水彩画「技法」が沢山あるではありませんか・・・・。自分でいくら試行錯誤しても、普段サラリーマンとして仕事をしている以上、絵ばっかりに没頭できませんし、自分は「天才」ではないのでこういう技法を自ら”創造する”なんて事はできません。ですから、既に完成している「技法」を最初から頭に入れて描き始めた方が、はるかに「絵らしい絵」になると思います。ここでは、それらのうち最低限知っておきたい技法(というか、私は殆どこれだけで描いてます)を、紹介しますので是非参考にしてみて下さい。
 
絵の具の扱い方 ウエット・オン・ウエット技法
滲み・ぼかし
濡れた紙に濡れた筆で描く方法。紙の上で絵の具が自然に広がり、非常にソフトで曖昧な表現ができます(水辺の表現・空に広がる雲)・・・・作品「柳橋」を観て下さい。また、筆の水分を控えれば適度に絵の具をぼかすことが出来ます
質感の出し方 ツルツル・ゴツゴツなど ツルツル・・・筆は垂直(紙の凹凸全てに絵の具をのせる)
ゴツゴツ・・・筆は寝かせる(紙の凸部分に絵の具をのせる)
ふんわり・・・紙に水を引いておく(タッチはソフトに)
その他の技法 色を落とす 拭き取り・・・乾いた筆で拭き取る(水面の反射スジなど)
擦り取り・・・カミソリ刃などで削ぎ取る(細く明るい線を入れる)
空間の演出 遠近法 空気遠近法・・遠くの物ほど青く・薄く・ソフトに描く
線遠近法・・・・直線はやがて遠くで1点に交わる
              
水彩画 基本の「ほ」”ではもっと詳しく解説しています
           

              
「柳 橋」
水彩画(柳橋)
拡大図
 少々わかりずらいと思いますが、空の雲の様子をウエット・オン・ウエットで描いています。空を薄いグレーで塗ってから、まだその絵の具が乾かないうちに、少し濃いグレーをそっと滲ませています。自然な感じに広がっていると思います
拡大図
 水に写り込む舟影の様子も、ウエット・オン・ウエットです。水全体を薄いブルーで塗ってから、一度よく乾かし、再度綺麗な水で水面全体を濡らし、濃いグレーで舟影を描き込んでいます2本のスジは乾いた筆で拭き取りました
ウエット・オン・ウエットのポイント
はじめに、綺麗な水を筆に含ませ、色付けする部分に輪郭を避けて水を引きます

濡れた紙に濡れた筆で絵の具を自然に滲ませるんですが、はっきり言ってどの位絵の具が滲むのか初めのうちは、予測できません。
コツといえば、私の場合、筆の水分をあまり多くしないということと、紙を水で濡らした後、すぐに絵の具を乗せるのではなく、しばらく乾かしてから絵の具を乗せた方がうまくというくらいです。滲みすぎたら水を切った筆でですぐに拭き取りましょう
 

風車 拡大図 [空気遠近法] 線遠近法
水彩画(木橋と風車)
遠近法を多く取り入れた作品です。空気遠近法と線遠近法がこの絵で分かると思います。 画面の右側の山と左側の山(屋根の向こう側の山)を比較すると明らかに左側の山の方が奥に見えませんか?これは、左側の山をブルー系のグリーンで着色しているからです。タッチも右側の手前に見える山よりもソフトにしてありますので、そのぶん空気の層により少しかすんだ感じが出ていると思います(これもわかりにくいかな?)。 この家の絵で、線Aより線Bの方が短いため、線Bの方が遠くに見えます。線Bより線Cの方が更に短いため線Cの方がもっと遠くにあるように見えます。この様に線の長さで遠近感を表現する事ができます。次に、消失点についてですが、左右にそれぞれの線が交わる点がありますが、これを消失点といいます。この角度で屋根を描くことで自然にこの家を斜めから眺めているように見えるわけです。もし、デッサンの途中で、位置関係が不自然だったり、奥行が感じない場合はこれを思いだして下さい。

                 私が、始めた頃に読んでいた本を こちら で紹介しています
                 水彩画に関するいろいろなアドバイス集はこちらでご覧になれます

                                               


 色について・・・重色と混色


水彩絵の具には透明水彩不透明水彩があります。私をはじめとする多くの水彩画家が使用しているのは透明水彩です。  ”透明”なんですから、着色してもその下の色が透けて見えます。つまり着色して一度乾かし、その上に更に着色(重色)すると最初の色と2番目の色が重なって一つの色に見えます(黄色の上に青を重ねると緑に見える・・・・これ極端な話です!)。
次に、一つの色にもう一つの色を混ぜる(混色)と・・・・(赤+青=紫)・・・これはだれでも知ってますネ!でもこれがとっても難しいんです。それぞれの絵の具の量や、その時の水の量により色が微妙に違ってくるのです。たぶんベテランの画家でも全く同じ色を再現するのはとても困難な事だと思います。ですから、混色で色を作るときは絵の具が足りなくならないように少し多めに色を作りましょう。

                    
重色による色の再現 [メリット]濁らなく透明感を損ねない [デメリット]重ねてみないとどんな色かわからない
混色による色の再現 [メリット]予め試し描きができる [デメリット]濁りやすい(3色以上はなるべく混ぜない)

普通は、重色と混色の両方を使います。具体的には、一番始めに一番薄い色を画面の全体に着色します(これにより全体の雰囲気をつかめます)。次にその上にやや濃い色を重ね塗りします(だんだん立体感がでてきます)。最後に一番濃い色を重ね塗りします。全体の流れとしてはこの「重色」をメインに描き進めます。この時、重ねる色自体を「混色」で作り、この「混色」で作った色を 薄い色→やや濃い色→一番濃い色 と塗り進めていくのです(これはあくまでもShiro流ですけど・・・)。
もう少し補足すると、完全に乾いた色の上に次の色を重ねる重色ばかりではなく、当然、先述のウエット・オン・ウエットや滲みやぼかしといった水彩画特有の画法を駆使して、タッチやトーンに変化を持たせていきます。

次に色について少し難しい話を・・・・別に覚える必要はありませんが、「こういうことがあるんだ」と知っておいてください。
  色には・・・・色相(色の名前)・明度(色の明るさ)・彩度(色の鮮やかさ)の3つの要素があります。この中で重要と私が思うのは彩度です。どんな絵の具でもチューブから出したそのものが最高に鮮やかです。しかし混色するにしたがい、彩度は低下します。花など一部の物は彩度が高いですが、地球上にある自然界の「色」で絵の具より高い彩度のものはありません。ですから通常は、混色をしたり、水を混ぜたりして彩度を少し落として使用します。
 <色はこんな具合に配列されます>
色相

私はほとんどこだわっていませんが・・・一応書いておきます
 基本となる色は「赤」・「青」・「黄」の3色です。サークル上にある色の反対側にある色が「補色」といわれ、この「補色同士」を混ぜると彩度が低下します。

 私の場合、「少し暗いグリーンを作りたい!」とブルー系の色を少し混ぜます。暗い赤 の場合だと茶系やグリーン系を混ぜたりしています(これが正しいかはわかりません)。

 私がいつも使用する絵の具のレギュラーメンバーはほんの10色程度です。基本の赤・青・黄に茶系の色と緑(混色でも作れますが、sapgreenという色が好きでよく使用します)です。それに、その時の気分(?)でそれらの色に近い色をチョコチョコと使ったりしています。

 もう一つ。「暖色」「寒色」という考え方があります。文字通り「暖かく感じる色」「冷たく 感じる色」という意味です。これは、結構重要で、先述の空気遠近法にも応用できます。遠くの物は「寒色」近くの物は「暖色」で塗ると雰囲気がでます!

では次で少しお勉強です→スケッチの仕方と光と影の表現方法


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