ウエット・オン・ウエット |
→濡れた紙に濡れた筆で描く方法 |
背景や帽子の様子↓ |
用 途 |
空にふんわり浮かぶ雲・水辺に写り込む影・遠くの山並等、曖昧に表現したい時 |
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解 説 |
初めに紙をきれいな水で充分に濡らします。紙が乾かないうちに水分を充分に含ませた筆で絵の具をそっと流し込みます。流し込んだら、その後はあまり触らないで自然に絵の具が混ざり合うのを待ちます。必要に応じて紙を逆さまにしたり、横にしたり、息を吹いて絵の具の流れる方向を調節したりもします。また、初めに紙を濡らすのは「水」に限らず、絵の具でも同じです。水分を多めに溶いた絵の具で画面を塗らし、そこに別の絵の具を流しこんでも同様の効果が得られます。 |
ポイント |
紙と筆の水分量が同じになるように気を付けます。どちらかの水分が多いとうまくいきません。また、紙に水を引いて少しその水分が紙に染みこみ始めた頃が、絵の具の流し時(?)です。水を引いてすぐだと、水分量が多すぎて、収拾がつかなくなります。もちろん紙が乾いてしまっては何にもなりません。頃合いを見計らって手早く行うのが最大のポイントです。 |
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ドライ・オン・ウエット |
→濡れた紙に水気を切った筆で描く方法 |
落ち葉の表現も↓ |
用 途 |
いろいろなシチュエーションで活躍します |
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解 説 |
初めに紙をきれいな水で充分に濡らします。紙が乾かないうちに、水気を充分に切った筆に絵の具を付けて紙に着色します。ウエット・オン・ウエットほど絵の具が広がらず、ある程度自分でコントロールできます。画面より筆の水分が少ないので、水は画面に流れ出ていきません。絵の具のみが画面に付き、画面の水分で自然とやわらかくなじむ感じで着色されます。また、先に絵の具で色付けした部分に、それが乾かないうちに次の色を差すと水彩らしい味が出ます。 |
ポイント |
水は多い所から少ない所へと流れていきます。紙を充分に濡らしていないか、筆の水分が多すぎると全くうまくいきません。ウエット・オン・ウエットと同様に水彩画を描く上で、とても重要な画法なので是非マスターしましょう。これも、あまり触りすぎると濁りの原因になります。 |
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ドライブラシ |
→水気を充分に切った筆で色つけする方法 |
パサパサした感じに↓ |
用 途 |
硬い物質表現や乾いた・乾燥したイメージを表現します |
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解 説 |
きれいに洗った筆の水分を充分に切ります。その筆の穂先に絵の具をチョンと付け、そのまま画面に着色します。筆に水分がないので、穂先に付いた絵の具は画面上では全く流れたり滲んだりするこなく、その場に留まります。硬い岩や枯れ木などの表現に適しているのではないでしょうか。 |
ポイント |
筆の水分を充分に切ることと、画面が完全に乾いていることがポイントです。穂先に付ける絵の具もあまり薄く溶いた絵の具だと水分が多すぎて(筆が水分を吸収してしまう)、うまくいきません。筆の水分のみを抜くためには、穂先に付けた絵の具を取らないように、筆の根元にティッシュを当ててその部分から水分のみを吸い取るようにします。画面に着色する前に一度他の紙などでちょうど良いカスレ感になるように調整してから描くとうまくいきます。 |
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拭き取り画法 |
→水気を切った綺麗な筆で絵の具を拭き取ります |
日の当たっている部分↓ |
用 途 |
日の当たっている部分や明るくしたい部分の表現に使用します |
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解 説 |
色付けした絵の具が乾かないうちに、水気を切った筆でその絵の具をそっと拭き取ると、その部分の明度を上げる事ができます。また、着色部分が完全に乾いた後でも、色を抜きたい部分を水で濡らし、その部分を水気を切った筆で拭き取ります。濡れているうちにやるよりも輪郭などをはっきりと表すことができます(右の絵参照)。 |
ポイント |
画面が乾いた後から、ハイライトなどを入れる場合、水でその部分を濡らしますが、色を抜いた後はティッシュでそっと余分な水分は拭き取っておきます。そうしないと、それが乾くと滲んだような跡が残ってしまいます。また、空の雲を表現するとき、空全体をブルーなどでウォッシュした直後、まだ絵の具が乾かないうちにティッシュで部分的に絵の具を拭き取ると、まるで空にふわふわ浮かぶ白い雲のような表現ができます。 |
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こすり取り画法 |
→ナイフで絵の具をこすり取ります |
柵の網はこすり取りました↓ |
用 途 |
草の表現・柵などの細い線など鋭い線を表現します |
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解 説 |
絵の具が完全に乾いてから、ナイフのような先の尖ったもので絵の具を引っ掻いてこすり取ります。つまり、暗い部分に細く明るい線を入れる場合に利用します。また、サンドペーパ(紙やすり)で擦るという方法もあります。これは、海やきらきら輝く湖の水面などの表現に最適です。しかし、これはあまり多用すると画面がうるさくなってしまいますので、狭い部分に限定して行いましょう。よ〜く見なければ分からない程度が良いでしょう。 |
ポイント |
絵の具のみをこすり取るようにしましょう。紙を傷つけやすいので注意が必要です。 |
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拭き取り&重ね塗り |
→何度も拭き取りと重ね塗りを繰り返し、色の深みを強めます |
木々の微妙な感じを表現↓ |
用 途 |
何とも言えない深みのある色合いを表現します |
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解 説 |
単なる重ね塗りでは出せない味のある(深みのある)色合いを表現できます。木々の生い茂った様子や海や静かな湖面などの表現に効果があります。ウエット・オン・ウエットやドライ・オン・ウエットなどで色付けした部分で、特に威力?を発揮します。色付けした部分が完全に乾いた後、もう一度その部分全体をきれいな水で濡らし、すぐにティッシュで浮いてきた絵の具を拭き取ります。その水分が完全に乾かないうちに別の色を彩色します。その後完全に乾くのを待って、再度水で濡らし絵の具を拭き取ります。その後また着色・・・乾燥・・・拭き取り・・・・っと繰り返します。 |
ポイント |
何度も繰り返すので紙が傷まないように気をつけます。ティッシュで拭き取る時は紙を擦らないようにしましょう。また水だけを何度も塗り重ねても、味わいが増します。 |
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重ね塗り |
→透明水彩の「大」基本。薄いセロハンを幾重にも重ねるように! |
徐々に濃い色を ↓ |
用 途 |
透明水彩絵の具の持ち味は重ね塗りで発揮できます。一度にベタッと塗ってしまうのではなく、薄く塗った絵の具の上に、更に何度か色を重ねて塗っていきます。そうすることで、濁りの少ない透明感のある作品に仕上がっていきます。 |
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解 説 |
水彩画の多くは、重ね塗りにより描かれています。私の場合、混色してできた色を一度塗っただけで、表現しようとすると、濁りの原因になってしまいます(何色も絵の具を混ぜるため)。これを避けるには、最初に下地となる色を薄く塗ります。例えば「木」を描く場合、その「木」全体をイメージした色(グリーンなど)を混色で作り、その部分全体を形取るイメージで薄く塗ります。次に、その絵の具が乾かないうちに、ドライ・オン・ウエットなどで光の射している方向などに気をつけながら、先に色つけをした「グリーン」にブルー系などの絵の具を混ぜて作った、「少し暗いグリーン」を影になる部分に馴染ませます。またアクセントにオーカー系の色をチョン・チョンと差したりもします。そこで一度完全に絵の具を乾かして、最後にこの「重ね塗り」をします。重ね塗りは、ほとんど「黒」に近い濃いグリーンを作り、光が全く当たっていない部分などに、重ねていきます。こうする事によって、立体感が増していきます。 |
ポイント |
絵の具が完全に乾くのを待ちましょう。完全に乾く前に色を付けようとすると、思うようなシャープなタッチが出ません。 |
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マスキング |
→塗り残しの難しい細かな部分に! |
建物はテープで羽はマスキング液↓ |
用 途 |
塗り残したい部分を作るときにマスキングをします |
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解 説 |
マスキング液を利用します。マスキング液を使用するのは”邪道”だという意見もありますが、気にすることはありません。私の場合、空を広くウォッシュする場合、そこに障害物(例えば、屋根から突き出る煙突など)があると、その部分を避けてムラなく空を塗ることは非常に難しくなります。空などの広い面積をムラなく塗るためには、筆を休めずに一気に塗らなくてはなりませんから・・・。そこでこの障害物全体をマスキングします。そうすればその部分には絵の具が付きませんので、その上を筆が通過しても問題ありません。筆を休めることなく一気にウォッシュすることができます。また、建物の屋根全体などのある程度広い面積をマスキングする場合には、マスキングテープを利用します。画材屋さんで数百円程度で購入できます。 |
ポイント |
マスキング液は通常「筆」を使って塗りますが、その場合筆がすぐに硬くなってしまうので、石鹸水などに浸しながら使用します。しかし、私の場合それも面倒なので、最近では「爪楊枝」の先を少し歯で噛んで、それを筆代わりに使用しています。これなら使い終わったら捨てればいいだけですし、とても細かい部分も簡単にマスキングすることができます。言い方を変えれば、爪楊枝でマスキングするには時間がかかりすぎるような広い面積の場合、マスキングテープを使うか、単純に塗り残しをした方が良いという事になります。 |