萌えるエスペラント語っ!

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『萌えるエスペラント語っ!』(20)
第14課 「関係詞」

(注) この物語に登場する人物・団体などはすべて架空のものです。

今回の学習項目 (ページ内リンク)


関係代名詞

【沢渡さん】「今日は関係詞についてやりますよ。これを見てください」

【沢渡さん】「『本を読んでる少女』って言いたかったら、まず『少女』って言ってからコンマを置きます。その後ろに、その少女のことを聞く疑問文『だれが本を読んでますか』って文を置くんです」

【俺】「これで『本を読んでる少女』の意味になるのか」

【美音先輩】「『だれが本を読んでますか』って疑問の答えになるような『少女』って感じね。分詞形容詞でも同じ内容を言えたけど、これは疑問文で修飾する形よ」

【沢渡さん】「こんなふうに、ほかの語を修飾してる疑問詞は『関係詞』って言いますよ。修飾されてる語 (この場合 knabino) は『先行詞』とも言います」

【沢渡さん】「これも同じで、『少女はどれ読んでますか』って疑問の答えになるような『本』って感じです。対格に注意してくださいね。特定なら冠詞も付けますよ」

【美音先輩の補足】「もちろん、疑問詞の後ろは語順自由だから『knabino』と『legas』は入れ替わっててもいいよ。目的語は対格で判別ね。実際は、後ろから訳さずにそのままの順序で理解するのが上達の早道よ」

【俺】「後ろの疑問文で修飾するわけだな。じゃあ、『少女は何を読んでますか』で『kion (何を)』にしてもいいのか?

【沢渡さん】「それがダメで、『kio』はあとで言う特別な場合にしか使わないんです。だから『kiu (だれ/どれ)』で疑問文を作るんですよ」

【美音先輩】「そう。最初に『本』って言ってるんだから、『何』を読んでるかなら答えは『本』って、もうわかってるって感覚かな。次にほしい情報は『どの』本かよね」

【俺】「そうか。本を特定したいんだから、個別に特定する『kiu (どれ)』か」

【美音先輩】「そう。それから、英語と違って関係詞は省略できないよ。エスペラントは語順自由だから、関係詞を省略したら文の構造が決まらなくなるのよ」

関係詞の文例

【沢渡さん】「文にするときは、そのまま文の中に入れればいいですよ。目的語にするときは先行詞を対格にして、関係詞の文 (従属節) はそのまま変えないですよ」

La libro, kiun la knabino nun legas, estas mia.
その少女がいま読んでいる本は私のです。
Mi konas la knabinon, kiu nun legas libron.
私は、いま本を読んでいるその少女を知っています。 (面識があります)

【俺】「関係詞の文はコンマでくくられるのか」

【美音先輩の補足】「英語みたいにコンマを省略する人もいるけど、エスペラントではふつう、従属節はコンマで区切るよ」

【沢渡さん】「もちろん、『前置詞+疑問詞』も関係詞にできるし、関係詞が複数のものを指すなら複数形ですよ。相関詞 (tiu/iu/ĉiu/neniu とか) も先行詞にできます」

Mi aĉetis la libron, pri kiu vi parolis.
私は、あなたが話していた本を買いました。
Preskaŭ ĉiuj, kiujn vi vidis tiam, estas miaj fratinoj.
あなたがそのとき会った人たちのほとんどは、私の妹たちです。
preskaŭ [préskaw] (*カゥ)
[本来副詞] ほとんど〜、〜同然

【沢渡さん】「一つ目の文は『あなたはどれについて話してましたか』の答えになるような『本』ですね」

【俺】「それじゃあ、二つ目の文は『あなたはそのとき、だれ (たち) に会いましたか』の答えになる『ほとんど全員 (preskaŭ ĉiuj)』か」

【美音先輩の補足】「『preskaŭ』は直後の語にかかるから置く位置で意味が変わるよ。『ほとんど全員 が妹』≠『全員が ほとんど妹 (妹同然)』」

【美音先輩】「関係詞の文は、分詞とかとは違って、ふつうに現在から見て過去だったら過去形って考えたらいいよ」

事物を指す関係詞

【沢渡さん】「先行詞が単独の tio / io / ĉio / nenio のときは関係詞は『kio』を使うんです」

Tio, kion mi diris, estas vera.
私が言ったことは本当です。
Montru al mi (tion), kion vi havas en la mano!
あなたが手の中に持っているものを私に見せなさい!
montri [móntri] (*)
[他動詞] 示す、見せる

【沢渡さん】「これも『私は何を言いましたか?』の答えになる『そのこと』って感じですね。この形は『〜なこと』『〜なもの』って感じの意味になりますよ」

【俺】「じゃあ、二つ目の文は『あなたは手の中に何を持ってますか』の答えになる『それ』だな。この括弧(かっこ)は省略できる?

【美音先輩】「そう。実は、『kio』の先行詞が『tio』で、この二つが同じ格 (主格どうしか対格どうし。『tio, kio』か『tion, kion』の形) なら先行詞が省略できるのよ。どっちかにでも前置詞が付いてるときは、ふつう省略しないけどね」

【俺】「へぇ。関係詞は省略しないけど、先行詞は省略することがあるんですね」

継続用法

【沢渡さん】「今までは、関係詞の文が後ろから先行詞を修飾してるって考えましたよね。でも、こんなふうに、先行詞に関するつづきの話をするって用法もありますよ」

Ŝi donis al li panon, kiun li tuj manĝis.
彼女は彼にパンを与えて、彼はそれをすぐに食べました。
pano [páːno] (パーノ)
[名詞] パン
tuj [tuj] (トゥィ)
[本来副詞] ただちに、すぐ

【美音先輩】「『彼がすぐに食べたパンを彼に与えた』じゃ変だもんね。エスペラントでは、どっちの意味になるのかは文脈で判断するよ」

Ŝi legis libron, kio min interesis.
彼女は本を読んでいて、そのことが私の興味をひきました。
Ŝi legis libron, kiu min interesis.
彼女は本を読んでいて、その本が私の興味をひきました。

【沢渡さん】「『kio』は前の文全体を指すことができますよ。『tio』の持つ『そのこと』っていう意味と対応してますね。『kiu』は文を指すことはできないです」

【俺】「読んでたことに興味を感じたのか、本に興味を感じたのかって違いか」

関係形容詞

【沢渡さん】「形容詞の疑問詞『kia (どんな)』も関係詞になりますよ」

bildo [bíldo] (ド)
[名詞] 絵、画像
serĉi [sérʧi] (*)
[他動詞] 探す

【沢渡さん】「今までと同じで、『あなたはどんな絵探してましたか』の答えになる『そんな絵』って考えてつなげます。でもこれだと『絵』っていう単語が二重に出てきますよね。そこで、先行詞と重なる単語は取り除いて、できあがりです」

【俺】「これで『あなたが探してたような絵』か。後ろの『bildon』を取り除いても『kia』は対格のままなんだな」

【美音先輩】「『kiu』は特定の絵を指して、『kia』は絵のタイプを指す感じね」

【俺】「元の疑問詞の『どれ (kiu)』『どんな (kia)』に対応してるんですね」

所有を表す関係詞

【沢渡さん】「関係詞『kiu』を『〜の』の形にしたいときは『kies』を使いますよ」

Mi havas amikon, kies fratino estas kantisto.
私には、姉が歌手である友達がいます。 (友達の姉が歌手)

【俺】「これも『だれの姉が歌手ですか』の答えになるような『友達』を持ってるってわけか」

関係副詞 (場所)

【沢渡さん】「副詞の疑問詞『kie (どこで)』も関係詞として使えますよ。先行詞は場所を表す言葉です」

Mi vizitis la urbon, kie naskiĝis la knabino.
私はその少女が生まれた街を訪ねました。

【沢渡さん】「これも『少女はどこで生まれましたか?』の答えになる『街』ですね」

【俺】「先行詞が場所なら関係詞は『kie?

【美音先輩】「ううん、そうとは限らないよ。これを見て」

【沢渡さん】「二つ目は『どこで愛してますか?』の答えの『街』じゃないですね」

【俺】「そうか。その街愛してるんじゃなくて、その街愛してるんだ」

【美音先輩】「そう。目的語だから『kiun』ってわけ。『kie』は副詞だから目的語にはならないし、その行為が行われてる (行われた) 場所を指す感じね」

Mi nun laboras (tie), kie vi antaŭe laboris.
私はいま、あなたが以前に働いていたところで働いています。
Mi volas iri tien, kie ŝi nun estas.
私は、いま彼女がいるところ行きたいです。

【俺】「『あなたは以前どこで働いてましたか』の答えになる『そこで』か」

【沢渡さん】「うん。これも『kie』の先行詞が『tie』で同じ格 (両方とも主格か両方とも方向対格) なら、先行詞を省略することができますよ」

関係副詞 (時間)

【沢渡さん】「疑問詞『kiam (いつ)』も同じで、先行詞は時間を表す言葉です」

【沢渡さん】「『kiam』の先行詞が『tiam』なら、ふつう先行詞を省略しますよ」

Ŝi televidis (tiam), kiam mi ŝin vizitis.
私が彼女を訪ねたとき、彼女はテレビを見ていました。
televidi [televíːdi] (テレヴィーディ)
[自動詞/他動詞] テレビを見る、テレビで見る

【俺】「これ、『テレビを見る』で一つの動詞なのか」

【沢渡さん】「品詞変換が自由だから、いろんな動詞ができるんですよね。……ってことで、『私はいつ彼女を訪ねましたか』の答えの『そのとき』です。先行詞を省略した形は『(A)したとき(B)』が『(B), kiam (A).』って言えるわけですね」

【美音先輩】「『Kiam (A), (B).』の形にもなるよ。『tiam』を文頭に置いてから省略したって考えたらいいね。つまり、『kiam』は『〜したときに』って意味の従属接続詞としても使えるってことね」

Mi amas vin, de kiam mi unuafoje vidis vin.
初めてあなたに会ったときから、私はあなたを愛しています。

【美音先輩】「『〜して以来』の言い方ね。これもいちおうは『de tiam, kiam 〜』の省略とも考えられるかな。『初めて会ったのはいつ』の答えの『そのときから』ね。『unuafoje』は前にやったね。『fojo (回)』の合成語よ」

同等比較

【沢渡さん】「次は『kiel (どのように/どれほど)』を関係詞にした文です」

【沢渡さん】「『私はどれほど速く走りますか』の答えになる『それほど速く』って感じですね。とても速いって意味じゃなくて、それぐらいの速さって意味ですよ。これも先行詞と重なってる語を取り除いて、できあがりです」

【俺】「これ、さっきやった『kia (どんな)』の副詞版って感じだな」

【沢渡さん】「うん、そんな感じですね。……で、関係詞が『kiel』のときは、主節と同じ動詞は省略できますよ。そしたら間のコンマも省略できて……」

Ŝi kuras tiel rapide(,) kiel mi (kuras).
彼女は私と同じぐらいの速さで走ります。
Mi vidas ŝin tiel ofte(,) kiel (mi vidas) vin.
私は、あなたに会うのと同じぐらいの頻度で彼女に会っています。
Liaj haroj estas tiel longaj kiel tiuj de via fratino.
彼の髪の毛はあなたの妹 (の髪の毛) と同じぐらいの長さです。
haro [háːro] (ハー*)
[名詞] 毛、髪の毛 (二本以上は複数形)
longa [lónɡa] (ンガ)
[形容詞] 長い (寸法・時間・距離など)

【美音先輩の補足】「『longa』は時間にも使えるよ。『antaŭ longa tempo (ずいぶん前に)』とか、『Kiel longe? (どれほど長く)』とかね」

【俺】「あれっ、これは比較の言い方?

【美音先輩】「そう。『kiel』の後ろが対格なら目的語との比較になるとこも『ol』と同じね。これはいちおう関係詞なんだけど、もう『tielkiel』の形で『同じぐらい〜』っていう熟語として覚えてもいいと思うよ」

【美音先輩の補足】「『ne tielkiel』にしたら、『tiel (それほど)』が否定されて『〜ほど〜ではない』になるよ」

…………。

Faru (tiel), kiel mi diris al vi!
私が言ったようにやれ!
Ŝi kantas (tiel)(,) kiel birdo (kantas).
彼女は鳥のように歌います。
birdo [bírdo] (*ド)
[名詞] 鳥

【美音先輩の補足】「さっきやった『bildo (絵)』と発音の違いに注意してね」

【沢渡さん】「『kiel』は動詞にかかるときは『どのように』の意味でしたね。『私はあなたにどのように言いましたか』の答えになる『そのように』って感じです。先行詞が単独の『tiel』なら省略できますよ。同じ動詞も省略できるから……」

【俺】「『kiel 〜』だけで『〜のように』って意味になる?

【美音先輩】「そう。ここまで来たら関係詞っていうより、ただの従属接続詞って感じだけどね。『kiel』はさらに『〜として』の意味もあるよ」

【美音先輩の補足】「英語では、『いつ → 〜したときに』は両方『when』なのに『どのように → 〜したように』は『howas』って違うよね。エスペラントはこれがそろってる感じね」

Mi loĝas en la sama urbo kiel ŝi.
私は彼女と同じ街に住んでいます。
sama [sáːma] (サーマ)
[形容詞] 同じ (同一・同種)

【沢渡さん】「完全に同じっていう文でも『kiel』を使いますよ。同一の場合は特定って考えて冠詞も付きます」

【美音先輩の補足】「反対語だと『malsama ol 〜 (〜と違う)』になるよ。つまり同じを表す『kiel』と違いを表す『ol』って感じね」

その他の関係詞

【沢渡さん】「『kiom (どれだけ/いくつ)』も関係詞になりますよ。これも先行詞が単独の『tiom』のときは、先行詞を省略できます」

Prenu (tiom), kiom vi bezonas!
必要なだけ取れ!
preni [préːni] (*ニ)
[他動詞] 手に取る、自分のものにする

【俺】「『どれだけ必要としてますか』の答えになる『それだけ』だな」

譲歩と任意

【沢渡さん】「疑問詞で従属節を作る文には、ほかにこんな表現がありますよ」

Kion ajn vi diros, mi iros.
たとえあなたが何を言おうとも、私は行きます。
ajn [ajn] (アィン)
[本来副詞] (相関詞が無差別であることを表す)

【沢渡さん】「疑問の相関詞の後ろに『ajn』を置くと『たとえ〜しようとも』っていう譲歩を表す従属接続詞になるんです。そして、不定の相関詞の後ろに置いたら『任意 (無差別)』を表す言葉になりますよ。こっちは従属節にはならないです」

【沢渡さん】「ほかの疑問詞でも全部同じですよ。『任意』と『普遍』(ĉi- で始まる相関詞) は別だから注意してくださいね」

【俺】「そうか。どれでもいいってのは全部ってことじゃないもんな」

感嘆文

【沢渡さん】「疑問詞を使った表現には感嘆文もあります。名詞があるときは『kia』、形容詞や副詞には『kiel』を使いますよ。主語や動詞は省略していいです」

Ho! Kia knabino (ŝi estas) !
ああ、なんて少女だ! (彼女はなんて少女だ!)
Kiel rapide (ŝi kuras) !
なんて速いんだ! (彼女はなんて速く走るんだ!)
ho [hoː] (ホー)
[間投詞] ああ!、おお!

【俺】「あれ? これって、疑問文と同じ形じゃないか。『彼女はどんな少女ですか?』でも『Kia knabino ŝi estas?』なんじゃ……」

【沢渡さん】「うん。感嘆文のときは『kia / kiel』の部分をふつうより強く長めに伸ばすみたいですけど、イントネーションだけの違いですね」

【美音先輩】「ほら。日本語だって、『なんて子?』と『なんて子っ!!』ってイントネーションだけで意味が変わるよ。それと同じ感覚かな」

【俺】「そうか。疑問文も言い方次第で疑問じゃなくなるのか……」

【沢渡さん】「じゃあ、ここで問題です」

エスペラントに直そう。

…………。

【沢渡さん】「えっと、正解はこうですね」

【俺】「全部だから複数形だな」

感謝など

【沢渡さん】「最後に、会話で使う表現を紹介しますね」

Pardonon.
ごめんなさい。
(Koran) dankon.Ne dankinde.
(どうも) ありがとう。 ― どういたしまして。
pardoni [pardóːni] (パ*ドーニ)
[他動詞] (罪やあやまちを) 許す
koro [kóːro] (コー*)
[名詞] 心、心臓
danki [dánki] (ンキ)
[自動詞/他動詞] 感謝する

【美音先輩の補足】「『Mi dankas al vi.=Mi dankas vin.』で『あなたに感謝してる』。こんなふうに、エスペラントでは前置詞で言っても目的語で言ってもどっちでもいいって動詞も多いよ」

【俺】「直訳したら『お許し』『(心からの) 感謝』か。もう一つは……」

【沢渡さん】「接尾辞『-ind- (価値)』が付いてますよ。『感謝に値するものじゃないです』って謙遜(けんそん)ですね。……ってことで、これで文法は一通り終わりました」

【俺】「おお。まさに、ここまで『どうもありがとう』って感じだな」

(つづく)


今回の要点

次回は…

今回でいちおう本編の学習部分は終わりです。次回はいよいよ物語の最終回。エピローグ「俺たちの文化祭」をお送りします。お楽しみに。

制作・著作

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