萌えるエスペラント語っ!

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『萌えるエスペラント語っ!』(19)
第13課 「間接話法と従属節」

(注) この物語に登場する人物・団体などはすべて架空のものです。

今回の学習項目 (ページ内リンク)


直接話法と間接話法

【沢渡さん】「今日はまず会話文の表し方です。会話文には、言った言葉をそのまま伝える『直接話法』と、自分の言葉に直して伝える『間接話法』がありますよ」

Ŝi diris al mi: "Mia amiko atendas vin."
彼女は私に「私の友達があなたを待っています」と言いました。
Ŝi diris al mi, ke ŝia amiko atendas min.
彼女は私に、彼女の友達が私を待っていることを言いました。
atendi [aténdi] (アンディ)
[他動詞] 待っている
ke [ke] (ケ)
[従属接続詞] 〜ということ

【美音先輩の補足】「『ke』の前のコンマは省略する人もいるけど、エスペラントでは従属節の切れ目にはコンマを入れるのがふつうよ」

【沢渡さん】「間接話法では従属接続詞『ke』を使うんです。代名詞が変わってることに注意してくださいね。彼女が私に『あなた』って言ったってことは、その『あなた』とは私のことです」

【俺】「話し手 (私) から見た言い方に置き換えるわけだな」

【沢渡さん】「うん。でも、英語と違って、時制の一致はしないんです。つまり、動詞は話された形 (現在形なら現在形) のままですよ。これは日本語の感覚に近いですね。この接続詞『ke』の省略もしないですよ」

Oni diras, ke ŝi ne interesiĝas pri homoj ordinaraj.
彼女はふつうの人間に興味がないといううわさです。
interesi [interéːsi] (インテ*スィ)
[他動詞] (事物が人に) 興味を感じさせる
ordinara [ordináːra] (オ*ディナー*)
[形容詞] ふつうの
homo [hóːmo] (ホーモ)
[名詞] 人間、人

【美音先輩の補足】「この文は『ordinaraj』をめだつ文末に置いて強調してるね。もちろん、形容詞は名詞の前でもいいよ」

【沢渡さん】「これは『oni』(不特定の人) が言ってるから『うわさ』を表しますよ。英語と違って、『ili』を使ったら特定の『彼ら』が言ってることになりますからね」

【美音先輩】「この動詞は『(A) interesas (B)-n.=(B) interesas pri (A).』って関係ね。両方、(B)(A)に興味を感じてるよ。きっと『(A) estas interesa.』ね」

命令文の間接話法

【沢渡さん】「命令文では、省略されてた主語 (vi) を復活させてから、それを話し手から見た言い方に変えますよ。これも動詞は話された形のままです」

Ŝi ordonis min: "Sidiĝu!"
Ŝi ordonis min, ke mi sidiĝu.
彼女は私に「座れ」と命令しました。
彼女は私に、私が座るように命令しました。
ordoni [ordóːni] (オ*ドーニ)
[他動詞] 命令する
sidi [síːdi] (スィーディ)
[自動詞] 座っている

【美音先輩の補足】「『sidi』は座ったままでいること。『sidiĝi』は立ってる状態から座るという変化。『立ってる ←→ 立つ』のときと同じ使い分けね」

【俺】「へぇ。間接話法にしても動詞は命令形のままなのか」

peti [péːti] (ペーティ)
[他動詞] 頼む (依頼相手は目的語)

【美音先輩の補足】「命令文の後ろに『, mi petas. (頼みます)』を付けて、命令をやわらげるという用法もあるよ」

【美音先輩】「もう少していねいな命令だった場合は、こんなふうに主節の動詞を変えるといいよ。『ke』以下は命令口調の場合と同じね」

疑問文の間接話法

【沢渡さん】「疑問文のときは『ke』を使わずに、疑問詞をそのまま従属接続詞として使うんです。『ĉu』や『前置詞+疑問詞』も従属接続詞として使えますよ。これも代名詞は置き換えるけど、動詞や語順はそのままです」

Ŝi lin demandis: "Ĉu vi aŭdas min?"
Ŝi lin demandis, ĉu li aŭdas ŝin.
彼女は彼に「私の声が聞こえていますか?」と尋ねました。
彼女は彼に、彼女の声が聞こえているかどうかを尋ねました。
Li demandis la knabinon: "Kion vi faras?"
Li demandis la knabinon, kion ŝi faras.
彼はその少女に「あなたは何をしているのですか?」と尋ねました。
彼はその少女に、彼女が何をしているかを尋ねました。
demandi [demándi] (デンディ)
[他動詞] 質問する (質問相手は目的語)
aŭdi [áwdi] (ゥディ)
[他動詞] 聞こえている (対象は目的語)
fari [fáːri] (ファー*)
[他動詞] する、作る

【美音先輩の補足】「『demandi』みたいに、英単語とつづりが似てるのにぜんぜん意味が違うってのもあるから注意してね」

【俺】「あれっ、この『fari』って動詞は『する』と『作る』の意味があるのか。でも、『する』と『作る』が同じって、なんだ、それ。……やるとできる?

【美音先輩】「な、なんの話よ!! ……これは、結果を作るってことでつながるみたい。ちょっと変な感じかもしれないけど、どっちの意味かは文脈で判断するよ」

【美音先輩の補足】「『Ĝi estas farita el fero. (それは鉄から作られた = 鉄でできてる)』のように、原材料には、抽出を表す『el』を使うよ」

【沢渡さん】「接尾辞を付けた『fariĝi』は『なる』の意味で、補語を持ちますよ。もちろん『instruisti (教師になる)』って、動詞一語でも言えるんですけどね」

…………。

respondi [respóndi] (レ*ンディ)
[自動詞/他動詞] 答える、対応する

【沢渡さん】「答えのほうは単純ですね」

名詞節 (目的語)

【沢渡さん】「間接話法の『ke / ĉu / 疑問詞』は会話文じゃなくても使えますよ。従属節を名詞のように主語や目的語や補語にできるから『名詞節』とも言います」

Mi pensas, ke li ne venos.
彼は来ないと思います。 (「彼は来ない」ということ思っている)
Mi ne sciis, ĉu ĝi estas manĝaĵo.
私はそれが食べ物かどうか知りませんでした。
Ĉu vi memoras, kie vi aĉetis la vortaron?
あなたはその辞書をどこで買ったのか覚えていますか?
pensi [pénsi] (ンスィ)
[自動詞/他動詞] 考える、(ある程度根拠があって) 思う
memori [memóːri] (メモー*)
[他動詞] 覚えている
vorto [vórto] (ヴォ*ト)
[名詞] 単語、言葉

【沢渡さん】「目的語になっても接続詞は変化しないですよ。否定の位置は『来ないと思う』でも『来ると思わない』でも、どっちの形も自由です。これも時制の一致をしないから、主節が過去形になっても従属節の動詞はそのままですよ」

【美音先輩】「心の中のセリフを間接話法にした感じね。この二つの違いも注意してね」

【俺】「ああ。『ke』だと(A)という事実があって、その事実を彼が知らない。『ĉu』だと(A)が事実かそうじゃないか、どっちなのかを知らないって感じか」

Mi ne scias, kiel uzi ĝin.
私はそれをどのように使うのか知りません。 (使い方がわかりません)

【沢渡さん】「こんなふうに、疑問詞の後ろは不定詞でもいいですよ。この形は『どのように使ったらいいか』って感じで『〜したらいいか』を付けて考えるといいです。『kiam』に変えたら『いつ使ったらいいか』ですね」

名詞節 (主語・補語)

【沢渡さん】「名詞節を主語や補語にしたらこんな感じですよ。従属節 (名詞節) が主語のときも補語の形容詞は副詞形になります」

Estas certe, ke la knabino povas paroli la japanan (lingvon).
その少女が日本語を話せることは確かです。
La demando estas, ĉu ŝi tion scias.
問題は彼女がそのことを知っているかどうかです。
certa [ʦérta] (ツェ*タ)
[形容詞] 確かな、確信した
japano [japáːno] (ヤパーノ)
[名詞] 日本人
lingvo [línɡvo] (ヴォ)
[名詞] 言語

【美音先輩の補足】「固有名詞は大文字で始めるから、『日本』なら大文字で始めるけど、『日本人』や『日本の』は小文字で書くことが多いよ」

【俺】「これも副詞形か。『日本語』は『日本の言語』って言い方なんだな。この括弧(かっこ)は省略できるってこと?

【沢渡さん】「うん。実はエスペラントでは『冠詞+形容詞+名詞』の形は、文脈から明らかなときは名詞を省略することもできるんです」

【美音先輩の補足】「前にやった最上級『Ŝi estas la plej juna. (彼女は一番若い)』とかも、この名詞省略の形と考えられるかな」

【俺】「名詞を省略しても、形容詞の対格語尾とかは残るんだな。じゃあ、さっきの文は『言語』なのが明らかだから省略できるってことか」

【美音先輩の補足】「『paroli (話す)』の目的語はほぼ言語名で、話題の場合は『pri (〜について)』を付けるからね」

…………。

Ŝajnas al mi, ke ŝi nun estas libera.
私には、いま彼女はひまなように思えます。
ŝajni [ʃájni] (シャィニ)
[自動詞] 〜のように思われる、〜みたいに見える
libera [libéːra] (リベー*)
[形容詞] 自由な、ひまな

【美音先輩の補足】「『Ŝi ŝajnas libera. (彼女はひまそうに見える)』って感じで、この動詞は『主語+動詞+補語』の形にもできるよ」

【沢渡さん】「『Ŝajnas al mi, ke 〜』の形ですけど、ちょっと変わった構文ですね。これは『Mi pensas, ke 〜 (私は思う)』って言うよりも、ちょっと根拠があいまいな感じになりますよ。……こんな合成語もあります」

【俺】「じゃあ、『Verŝajne li venos.』で『たぶん彼は来ます (= 彼は来るだろう)』になる?

【美音先輩】「そう。十中八九って感じね。もっと可能性が低いときは『verŝajne』の代わりに『eble (かもしれない)』を使うよ。これは接尾辞『-ebl- (可能)』の副詞形で『ありえる』って意味合いね」

従属節と命令形

【沢渡さん】「実は、エスペラントでは、提案・要求・必要・意向などを表す文では、従属節の動詞が命令形 (-u) になるんです」

Li deziras, ke ŝi venu.
彼は、彼女に来てもらいたがっています。 (彼女が来ることを欲している)

【俺】「えっ。これって、命令? 心の中のセリフの間接話法?

【美音先輩】「実は、エスペラントの命令形は命令のための形じゃないのよ。『こうなってほしい (なるべきだ)』っていう意志を表すための形で、それが命令文にも使われてたってだけ。もちろん、従属節の命令形は話し手 (私) の意志とは限らないよ」

【美音先輩の補足】「この命令形を使った文は『意志法』とも言うよ。現実を表す直説法、非現実 (実現困難) を表す仮定法に対して、積極的な実現への思いを表す意志法って感じね」

【俺】「仮定法で遠慮しながら命令形か……。命令的な意味じゃないんですね」

前置詞と従属節

【沢渡さん】「前置詞の後ろに従属節を置きたいときは、間に『tio』を置くのがふつうですよ」

Li parolis pri tio, ke lin vizitis juna knabino.
彼は、幼い少女が彼を訪ねてきたことについて話しました。

【沢渡さん】「この従属節は、新情報の主語を後ろに置いてますけど、語順は違っててもいいですよ。『彼はそのことについて話しました』って文の後ろに、『幼い少女が彼を訪ねたこと』って文がある形ですね」

【俺】「ってことは、指示語『tio』の指してる内容が後ろにあるって形なのか」

Li levis la manon, por ke ŝi lin rimarku.
彼は、彼女が気が付くように手を挙げました。
(「彼女が彼に気が付くこと」のために)
levi [léːvi] (レーヴィ)
[他動詞] 持ち上げる、上げる
rimarki [rimárki] (リ**キ)
[他動詞] (目的語に) 気が付く

【沢渡さん】「『por (〜のために)』の後ろに『ke』節を置くときは、間の『tio』を省略するのがふつうですよ。この文の二つの主語が同じときは『por + 不定詞』で言うこともできるけど、主語が違うときはこの形ですね」

【美音先輩】「『por ke』節には命令形を使うよ。目的のために何かをするって文だから、これも実現への意志を表す感じね」

その他の従属節の用法

【沢渡さん】「名詞節じゃないけど、相関詞『tia (そんな)』『tiel (それほど)』なども、指してる内容を後ろに置く用法がありますよ。『tia』は名詞を、『tiel』は形容詞や副詞を修飾します」

La tablo estas tiel peza, ke mi ne povas levi ĝin.
そのテーブルはとても重いので、私には持ち上げられません。
(私が持ち上げられないほど重いです)

【俺】「『そのテーブルはそれほど重いです』の後ろに『私がそれを持ち上げられないこと』か。指示語『それほど』の指してる内容が後ろにあるわけだな」

【美音先輩の補足】「『povas levi ĝin』の部分は『povas ĝin levi』みたいな語順もありよ。重要でない人称代名詞をめだつ文末から避けた形ね」

Mi ricevis de ŝi la sciigon, ke li venis.
私は彼女から、彼が来たという知らせを受け取りました。
ricevi [riʦéːvi] (リ*ツェーヴィ)
[他動詞] 受け取る、もらう、得る

【美音先輩の補足】「『知らせ』は『scii (知ってる)』に『-ig- (〜にさせる)』が付いた『sciigi (知らせる)』の名詞形よ」

【美音先輩】「これは『知らせ = 彼が来たこと』って感じで、従属節が前の名詞の内容説明になってるよ。つまり、同じ意味合いの語句を並べて言ってる『同格』の形ね。『〜したという〜』の形は、抽象名詞の直後に従属節を置くよ」

【俺】「これ、前にやった『抽象名詞+不定詞』の従属節版って感じですね」

目的語と補語

【沢渡さん】「話は変わって、ここで補語の話です。動詞の中には目的語と補語の両方を持つものもありますよ」

Mi trovis la libron perditan. (= Mi trovis la perditan libron.)
私はなくした本を見つけました。
Mi trovis la libron perdita. (= Mi trovis, ke la libro estas perdita.)
私は本がなくなっているとわかりました。
trovi [tróːvi] (*ヴィ)
[他動詞] 見つける、〜とわかる
perdi [pérdi] (*ディ)
[他動詞] 失う

【沢渡さん】「『trovi』は、『(目的語を) 見つける』って意味と、『(目的語が補語のような状態だと) わかる』って意味がありますよ。目的語が複数なら補語も複数形です。語順は、補語を目的語の前に置くこともありですよ」

【美音先輩の補足】「『Mi trovis interesaj la librojn. (それらの本がおもしろいとわかった)』とかね。強調したいほうを文末に置くといいかも」

【俺】「この『perdita』は受動完了分詞か。本から見て『失われた』だな。……この二つの文って、違いは最後の形容詞が対格になってるかどうかだけ?

【沢渡さん】「うん。エスペラントでは、形容詞を名詞の後ろに置いてもよかったですよね。だから、対格にすると前の対格の名詞を修飾してしまうんです。主格だと目的語の一部じゃなくなるから、補語ってことになりますよ。補語は対格にしないです」

【俺】「対格一つでこんなに意味が変わるとは……」

…………。

Mi vidis alian knabinon eniri en la ĉambron.
私は、別の少女がその部屋に入るのを見ました。
alia [alíːa] (アリーア)
[形容詞] ほかの、別の

【沢渡さん】「補語が不定詞のこともありますよ。これは『(目的語が補語をするのが) 見える』みたいな意味になります。『聞こえる』とかでも同じ形で言えますよ」

【俺】「そうか。『目的語+補語』って『主語+述語』の関係になってるんだな」

【美音先輩】「そう。従属節で言うはずだった部分を従属節の外に出した形って感じね。『Mi vidis lin kuri. = Mi vidis, ke li kuras. (彼が走るのを見た)』とかね」

【美音先輩】「ちなみに、さっきの『alia』って単語は『そのほか全部』って言うときには冠詞が付くよ。いっぱいある中の『どれかほかの』だったら不特定だけど、残り全部なら選び方が一通りしかないから特定って感じかな」

【美音先輩の補足】「『la alia + 名詞』は、文脈から名詞が明らかなことが多いから、名詞が省略されることも多いよ」

…………。

Mi nomis ĝin "Hoge". Ĝi nomiĝas Hoge.
私はそれを「ほげ」と名づけました。それは「ほげ」という名です。
Kiel oni ĝin nomas en via lando?
あなたの国ではそれはなんと呼ばれていますか?
(人はそれをどのように名づけていますか …… (補語部分が疑問))
nomo [nóːmo] (ノーモ)
[名詞] 名前

【沢渡さん】「これも、目的語と補語を持つ動詞ですね。……じゃあ、ここで問題です」

エスペラントに直そう。

…………。

【沢渡さん】「えっと、正解はこうですね」

【俺】「主語が従属節だから、補語は副詞形だな」

【美音先輩】「そう。名詞・代名詞には形容詞形。それ以外には副詞形ってことね」

(つづく)


今回の要点

次回は…

次回は第14課「関係詞」の予定です。お楽しみに。

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