Maggie's J‐POP論
その29 私をコンサートに連れてってN
 ―spitz JAMBOREE TOUR 2009 “さざなみOTR カスタム”
 2009.1.17@さいたまスーパーアリーナ―
   
 
なぜか、2か月前のドリカムの「WINTER FANTASIA 2008」のデコレーションが残るなか、spitzのコンサートに行ってきました。時間に余裕をもってグッズ売り場に寄り、目をつけていたTシャツを買おうと思ったら、すでにソールドアウト。結局、暇を持て余して会場に入ることになりました。
 
座席は、向かって右奥にステージを観る位置。このときはいなかったですが、右隣に巨漢デブが来てしまい、やや迷惑でした(笑)。若いカップル・女性同士も多かったですが、意外に多かったのが男性同士で来ている人たち。恋愛やリゾートといった、「恋人仕様の楽曲」のイメージがあまりないspitz。結果、「曲そのものを聴く環境が整っている」「観るためのハードルが比較的低い」ということなんでしょうか?

18時過ぎ、「ルキンフォー」によりコンサートスタート。この曲も収録され、ツアータイトルにも掲げられている2007年リリースのアルバム「さざなみCD」からは、「桃」「点と点」「漣(さざなみ)」「砂漠の花」といった楽曲を披露。彼らの楽曲らしくというのか、最初から最後までノリノリとかではなく、淡々と演奏していく展開。
プラス、1996年の大ヒット曲である「チェリー」も仰々しくなくサクッと、私が個人的に好きな「スパイダー」をキュキュッと、それでも、結構スピードパンクな「メモリーズ」はギュンギュンと演奏してくれました。
メンバー全員の演奏がサイドのスクリーンに映し出されていきますが、もともと演奏力には定評のあるバンドとして有名。みなさん絵になりましたが、その中でもドラムス・崎山龍男氏の的確なドラム捌きが、実に芸術の域。見ていて結構惹きこまれましたね。

そんな彼らのMCは、バンドのイメージよろしく「ゆるい感じ」。各メンバーのそれを一言ずつで表すと、ヴォーカル・草野正宗氏は「朴訥」、ギター・三輪テツヤ氏は「悪ガキ」、ベース・田村明裕氏は「無邪気」。そして、崎山氏は「無口」(笑)。みなさん、どちらかというと上背がそれほどない方たちで、草野氏が「ステージの奥の方は、ぼくたちが小さく見えるかもしれませんが、もともと小さいんです」と言って、場内の笑いを誘っていました。
そんな彼らも、結成22年目で全員41歳。当時住んでいた東京・小平市の6畳1間のアパートでドテラを着ながら「あ〜、作らなきゃ〜」と作ったというエピソードがあったのは、今から14年前に彼らが世に出るきっかけとなった大ヒット曲「ロビンソン」。このあたりは時間を感じずにはいられませんが、見た目はその頃からほとんど変わっていないんですよね。アニメみたいに時間が止まっている感じがします。
加えて健在なのは、何といってもこのバンドのもう一つの生命線とも言える、草野氏のハイトーン・ヴォイス。草野氏いわく「この年までこんな高い声が出るとは思わなかった。30歳を過ぎたらば声が出なくなって、もっと“ブルージーな楽曲”をやっていると思った」そうですが、反面「小田和正さんが60歳を過ぎてもあんなに高い声が出ているのを見ると、自分にも何とかできるんじゃないかって思った」らしく、最後に「ボクらは、多分70歳とかまでやっているかもしれませんし、こんな大きな会場(さいたまスーパーアリーナは、1万8000人収容可能)ではできないかもしれないですが、これからもよろしくお願いします」と締めて、観客からはあたたかい拍手がありました。

そのほか、1996年のヒット曲「渚」、「この曲でももう10年前なのね」的な感傷にふけってしまった「楓」、昨年2008年リリースの「若葉」、そして、アンコールの締めにはデビュー曲であり、この日いちばんライブ感いっぱいだった「ヒバリのこころ」を披露し、20時30分、終演。(おわり)


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