Maggie's J‐POP論

その17 私をコンサートに連れてってC―米米CLUB「再会感激祭」―

米米CLUBのコンサートの特徴の一つとして,毎回ステージのセットが違うってのがありましたけど,今回の9年ぶりの再結成&コンサートツアーは,各会場2ステージずつで「マエノマツリ」「アトノマツリ」と題して,それぞれ別内容のコンサートをやるというものです。チケットをプレオーダーで取ろうと躍起になったけど,ことごとく外されて,それでもあきらめずにいろいろ探っていたら,Aのほうがまずゲットできました。ただし,位置は立ち見。ま,観られるだけでもよしとしましょうということで,あとは小さい携帯用のイスでも持っていけばいいやという感じになりました。
当初は,プロ野球パ・リーグのプレーオフ第2ステージを西武ドームへ10月14日に観に行きたいと思っていたため,スケジュールが空いているAのほうのみを観に行く予定だったのですが,西武がソフトバンクにプレーオフ第1ステージで敗れて西武ドームでの試合がなくなったために,急遽@のほうを追加。こちらも場所がステージサイドで全貌が観られないという条件つきだったので,当初そこまでして…とも思ったのですが,せっかくなのでステージセットはムリでも,音楽ぐらいはしっかり聴きに行きたいと思い,結果2種類とも観に行くことにしました。
※米米CLUBの個人的コラムについて「その13」に書いていますので,よろしければご参照を。

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@「アトノマツリ@さいたまスーパーアリーナ」2006.10.15
実際座った座席は,赤を基調にしたステージから見て真右下。前から2列目で私の左横は黒いシートで覆われており,別の意味で端っこではありました。そばからはひたすら煙がシューシュー出ていましたね。ステージも人間も結構大きく見えたので,座席としてはひょっとしたらアリーナの前方の次くらいにいい座席だったのではないかと思います。たしかに全貌は見えない位置でしたが,ステージの左端が見えないだけですし,そんなところに誰かがわざわざいたわけでもなく,全貌はほぼ見えたと言っていいでしょう。ちょうど私の真横にスクリーンがあって,正面からのショットもよく映されたので,鑑賞するには全然問題はなかったです。
そのスクリーンには最近のシングルのPVが流されていて,前に座っていた小学校中学年の子供連れのお母さんが,女性ダンサー・シュークリームシュの振り付けを必死に真似していました。結構あちこちで最終確認みたいに振り付けをやっている客――ほとんどが女性客でした――が見られ,なるほど本番ではしっかり一体となっていました。ちなみに,前のお母さんの子供はというと,お母さんをよそに途中で寝てしまっていました(笑)。ま,また起きて踊ったりしていましたけどね。

16時8分,開演。黒づくめのサポートダンサー「バグス・アンダー・グルーヴ」によるダンスアクトがあって,オープニング。どういうアップテンポで賑やかな曲で始まるのかと思ったら,名スローバラード『TIME STOP』でスタート。カールスモーキー石井氏,サビのところで声を高く張り上げて拍手を浴びていましたが,キーが原曲よりも二つぐらい下がっていたのは誰もが分かっていたでしょう。「多分,原曲のキーだったら出なかったから,仕方なく落としたんじゃないの?」と邪推してしまいましたが,次の『愛 Know マジック』は原曲のキーだっただけに,何となく間違いないような気がして……その2曲目『愛 Know マジック』,ライブでも結構盛り上がると聞いていましたけど,なるほど1曲目のしっとりした感じとは180°代わって明るく華やかに一気になりましたね。
2曲目が終わってMC。メンバーの自己紹介&一言コメント。シュークリームシュのMINAKO氏の「盛り上がってますかー!?」には「ほら,これだけやってて盛り上がってるに決まってるでしょ」,同MARI氏の「元気ですかー!?」には「そりゃあ,元気に決まってるでしょ」などと突っ込む石井氏。ギターのジョプリン得能氏のところでは,座ってクールにギターを弾くイメージをガラガラッと崩すかのごとく「トクリンリン♪」と得能氏。初めはよかったけど,だんだん恥ずかしくなってきたのかトーンが落ち出すと,「ほら,お客さんがこのままじゃ可哀想でしょ!」と石井氏。「隣とか見ないでいいですよ。誰も見てませんからね!」と「トクリンリン♪」の振りまねをしっかりみんなにさせる辺りは,さすが石井氏。

その後は大ヒット曲『君がいるだけで』などを歌い,計5曲で一時中断…といっても,バックのホーンセクション「BIG HORNS BEE」による楽曲演奏コーナーになったと言うべきでしょう。『パレード』をテーマにジャズの本場・ニューオリンズ風のジャジーな曲をいくつか。ここでのMCはサックス&キーボードのフラッシュ金子氏。石井氏はその間は後ろで加齢によりバテた身体を必死で元に戻していたのかもしれません(笑)。もっとも,バンドの方々はしっかり演奏していましたけどね。コーナー自体は結構盛り上がりました。やはり,単独でもライブをしているだけにしっかりしていました。
その次はシュークリームシュによるダンス&お歌のパフォーマンス。いわく「27歳」のお2人ですが,最近はジムで鍛えたりはしつつも,加齢による身体への負担はしっかり感じられているみたい。曲自体は何というのか(笑)……元々コミカルな楽曲なだけに,20代のころに歌っていたらそれなりにマシだったかもしれないけど,その年で歌われるとちょいと……あ,いま27歳なのか(笑)。もっとも,「10年経っても27歳」とはMINAKO氏。もちろん,米米本体ではしっかり客席の振り付けをリードして盛り上げていただいていました。お疲れ様です。あ,そういえばまだ出てきていない人が1人……。
この後でまた米米本体に戻るかと思いきや,石井氏扮する65歳のじーさん「鳥居氏」(下の名前は忘れた)によるコントというか寸劇。若い世代に譲れと言われたとか,ちょいと酒が過ぎたとかで,5年間務めた町会長を追われた鳥居氏。ハチマキに腹巻にステテコでワンカップを持ち,酔っていないと言いながら千鳥足という姿で「祭とは何か?」をクドクド説くというベタな設定。ワンカップを斜めに傾いたスピーカーに置こうとしても滑ってなかなか置けず,結局床に置いて「ま,これは芸だから」と言ってみたり,クライマックスで登場する若い2人(バグス・アンダー・グルーヴの誰か2人)から鳥居氏言うところの「これを纏うとやる気が出る」というハッピと腕章を渡されると,そのハッピを見て「これは位が一番下のだ」と言ってみたり,随所に細かい笑いをちりばめて,しかもセリフも噛むことなくしっかり言えるものだから,観ていて結構引き込まれました。おそらく台本があるんだと思いますが,それにしてはどっかアドリブですべてやっているような気もするし……いずれにせよ,途中で可哀想になるということはまるでなく,完全に劇になってはいました――あ,まだ“彼”が出てきてないな。いつになったら出てくるのか。ま,出てこなくても成立するっちゃするけど,せっかくだから多分どっかで出てくるはずだろうけど,それにしても引っ張るなぁ。

その1人,その“彼”ことジェームス小野田氏はコンサートが始まって30分以上1時間未満ぐらいのところで,ようやっと登場。でっかい身体に豪華な衣装を身に纏っているイメージが強かったので,腹のすっかり突き出たランニングっぽい衣装で出てこられたときは,寄る年波みたいなものを感じずにはいられませんでした。ま,元々そーゆー身体ではあったのでしょうが……『あ,あぶない!』なんて,CDで聴く分には間違いなくコミカルなほうに入るんだろうけど,こーゆーコンサートではなぜか立派にファンクな曲として成立してしまう。個人的には『かっちょいい!』辺りをやってほしかったですが,これはひょっとして「マエノマツリ」のほうとかでやるのかな?……ま,それはいいとして,小野田氏リードヴォーカル以外にも米米にはいわゆるコミカルな楽曲がありますけど,それらは言わばコンサート用に作られた楽曲なんでしょうね。こーゆー満座の前で盛り上がるために作られたのであって,CDで1人じっくり聴くためではないのだと。前後はしますが,『WELL COME 2』『Eーヨ』など今年復活して出された曲を演奏しましたが,CDで聴いちゃうと「なんじゃこりゃ?」と思っても,いざコンサートの場でやられると,結構グルーヴしちゃったりしてね。しかも振り付きで(笑)。
小野田氏が一通り暴れた後は,再び石井氏に戻って数曲。最後に「やっぱりこれをやってくれないと」って感じで『Shake Hip!』で場内は最高に盛り上がり,〆にジャーンプ!……と思って8回ぐらいジラされて,最後に予定通りジャンプ&ステージ消灯。

消灯されたステージに向かって「アンコール」「ボーナス」など入り乱れた場内からの掛け声。再び出てきたメンバー。そしてすかさず石井氏。「米米のコンサートでは“アンコール”の代わりに“ボーナス”って言うんですよね。両方が混じって“アンボーナス”ってなったときは…」などと話して場内爆笑。なるほど,これは私も初耳でした。“独特の言い方”ってのはどこの世界にもあるもんなんですねぇ。
さて,アンコール…もとい「ボーナス@」は,いわくファンからリクエストが多かった楽曲のメドレー。『愛はふしぎさ』『浪漫飛行』『シュールダンス』『Simple Mind』など,懐かしくてたまらない曲ばかり演奏してくれてどうもご馳走様でした。最後は今年か去年かは忘れたけど,最近コラボした「HOME MADE 家族」が登場。『アイコトバはア・ブラ・カダ・ブラ』を披露。個人的には米米単独の『ア・ブラ・カダ・ブラ』が聴きたかったけど,まあこーゆーコラボもまたコンサートでは有効だったりするのでOKでしょう。〆には米米定番『どうにもとまらない』を小野田氏が絶唱。全員でこれまたジャンプして,再度の1人1人のメンバー紹介の後で消灯。

ここで終わりかなと思いきや,またもボーナス。しっとりと『愛してる』のアコースティックバージョン。最後に演奏に加わらないメンバーが薄暗くなったステージにそれぞれ座ったりなんかして,これが終わったら次何をやるのかなと思ったら,この曲のみで終了。BIG HORNS BEEのメンバーあたりが楽器を持ったときにはまた何かやるんだろうなとすっかり思っていたら,単に楽器を持ってそのまま袖にはけていったというオチ。うーん,もう1曲『Just U』あたりやってくれたら最高だったんだけどな。ま,こーゆー終わり方なんでしょうな。

米米のコンサート自体は初めて見るので,いろんな噂でしかその素晴らしいと評判の中身は知ることができなかったのですが,トータルで観て噂通りの素晴らしさ。2時間45分と,今まで観た中では1番長かったですけど,全然飽きのこない中身でしたね。「なるほど,これは米米にしかできないエンターテイメントだな」と思わせるとともに,“オンタイム”で観られなかったことを後悔している自分がいました。こんなに楽しいならば,それこそもっと若いときからたくさん味わいたかったなーと。
米米のファンになったのは1987年ごろ。ちょうどこれからブレイクするって時であり,それから『浪漫飛行』『君がいるだけで』でブレイクして解散するまで10年間,多少の波はあるとはいえ,ずっとCDを買うなど一定程度はファンであり続けただけに,その10年間に一度でも観ておけばよかったなーと,つくづく思わされました。簡単に言えば「面白ければ何でもあり」な彼らのコンサートなのですが,8888円という語呂のよさだけではない高い金を払って観るだけの価値はあると思います。これならば,もう一方の「マエノマツリ」が改めて楽しみになってきました。

A「マエノマツリ@横浜アリーナ」2006.10.21
横浜アリーナに到着すると,「←立見入口」という看板。それがいざなう方向は正面の入口とは逆方向の模様。道中,閉鎖されたドアのガラスに向かっておそろいの黒装束の女性10人が,コンサートの必須アイテムの一つ,扇子を持って振りの確認中。その姿は「喩えが古すぎる」と言われそうですが,まるで“竹の子族”のようでしたね(笑)。私はあの頃,たしか“なめ猫”の免許証か何かを持っていたような……もう四半世紀前のことですね。
そんな確認を見つつどんどん進んでいくと,「750〜」という看板が見えてきました。数字は整理番号。この番号順に入場するらしく,さらに進んでいくと「1〜250」という看板の下,通用口のような入口に向かって伸びる階段のところに集団ができていました。ちなみに,私のそれは「177」。階段からこちらに向かって一様に座っている様は見様によっては滑稽でしたね。無論,上のほうが順番が早いとか,そういうことではなく,入場開始から順次「○番までの方〜」と呼ばれてそれに従っての入場ですから,慌てなくてもいいわけですが……入場開始は15時20分。特に何時に来るようにと書かれていませんでしたけど,前のほうの整理番号の人がたまにかなり後ろの番号のところで入っていたりしましたね。ここいらはもう少し配慮があってもよかったような。いずれにせよ,入場時刻の15時には並んでおかないとと思っていたのは,ほぼ間違いなかったでしょう。しかも,階段の上で拡声器使って番号呼んでも,階段の下のほうにいた人には聞こえづらかったようだし,その辺りも含めて。
ま,そんなこんなで「180番までの方〜」と言われて入場すると,そこで一旦停止。3列に並ばされてそのままどっかの入場口から入っていくと,途中で列が止まってズズッと少しばかり後ずさり。その止まった位置がすなわち私の場所。1階席両サイドの座席最後部の上にある通路が立ち見席で,ステージから見ると,またも右側で位置的にはやや上のほうといったところ。家から持ってきた座布団を早速場所取り代わりに置いて,少し錆び付いた感じの鉄柵によっかかって,開演までしばし読書タイム。
もっとも,それほどのページを読めませんでしたけどね。そこは狭い通路で,私がいたすぐそばで通路の幅がさらに半分に縮まっていたりするから,そこで出入りする人がどうしたってつまっちゃう。間違ったって足を伸ばして…なんてことはできませんし,しませんでしたけど,コンサートが始まってからも結構人の出入りがあったりして,隣にいた女性2人は,せっかく曲に合わせて一生懸命踊っていても,後ろから邪魔されちゃったりしてね(無論,ホントに邪魔されたわけではないですが…)。

16時10分過ぎ,開演。白を基調としたステージの上から石井氏が現れ,まずは『あそぼう』というミディアムテンポのナンバーでオープニング。オープニングにスローナンバーやミディアムテンポを持ってくるのは,後への体力温存?――そして次は『抱きしめたい』。シュークリームシュも登場し,女性比率の高い場内のあちこちで,振り付けで踊る姿が今回も見られました。衣装は「アトノマツリ」が赤が基調だったのに対し,こちらはベージュ色で麻っぽい感じの衣装でした。2曲目が終わると最初のMC。
10月21日と聞いて私もピンと来ていましたけど,早速それが話題に――そう,今から遡ること21年前のことです。1985年10月21日は,このスーパービッグエンターテイメントバンドがデビューした日なのです。何という偶然! ボーナス@のMCでもデビュー当時のことを振り返っていましたが,当時は「こんなバンド売れねーよ」という視線で見られ,「“ヨネヨネクラブさん”とか“マイマイクラブさん”とか,中には“アメリカアメリカクラブ”なんて呼ばれたりしてね…」とは石井氏。私は当時,12歳。もちろん,米米のことなどつゆにも知らず,ひたすら中学受験に勤しんでいたころですね。考えてみたら,あれから21年も経っていたんだ……ま,そんな感傷はいいか。この「デビュー日」というキーワード,今回のコンサートで重要なキーワードとなりますが,それは後述。
「一生懸命やってますかー!?」「イェー!」の掛け合いの後で,「アトノマツリ」においても3曲目に演奏された『イッショケンメ・ソング』(掛け合いも「アトノマツリ」と同じでした),次いで「もうここで!?」とばかりに『浪漫飛行』を披露。これが終わると石井氏がそでに引っ込んで,シュークリームシュのコーナー。「私たち,変わりましたかー!?」というMINAKO氏に「変わってなーい!」と女子比率の高い掛け合いは「アトノマツリ」と共通。自己紹介で一気に喋れず一呼吸置いたMINAKO氏に寄る年波を感じた後で,リーダーのBON氏やパーカッションの三沢またろう氏あたりに変わったかどうかと振るのも共通。1曲披露してコーナー終了。

一旦ステージが消灯して,次いで石井氏扮するパイロットの「青空トビオ」氏による寸劇。「青空トビオと呼んでください」という石井氏に「青空トビオー!」と場内からコールが起こると,すかさず「青空トビオ“さん”ですね。私,機長ですから」と1発かましたことぐらいしかギャグは今回覚えていませんが,あいかわらずの面白い寸劇でしたね。
いわく「リオデジャネイロ・ハワイ経由で上海」まで行った後はどーでもよくなっていましたけど,「パーイ・パーイ・パーイ・パイロット♪」と軽く歌って「次のフライトがあるので」と引き揚げる石井氏…もとい青空氏に,金属製の打楽器で“コンコンコン♪”と三沢またろう氏が鳴らし,ジョプリン得能氏がギターを奏でると,再び「パーイ・パーイ・パーイ・パイロット♪」と歌うこと3〜4回。こうなってくるとノッている青空氏はバンドが「ドドドドジャカジャカジャカ……ジャーン!」と〆てくれるように望むけど,そううまくは行かずに,自分で声に出して1人「ジャカジャカジャカ……ジャーン!」とやったりするけど,バンドはあいかわらず無反応。で,しまいには「もういい。勝手にしろよ! 別にパイロットじゃなくたっていいんだよ!」などと,ジャケットと腕に持った飛行機のバルーンを叩きつけて逆ギレして,これに場内爆笑。
そして「もうこれでホントにいいから」と引き揚げる青空氏に“コンコンコン♪”と三沢またろう氏が鳴らし,青空氏が「しょーがねーな。もうこれが最後だ」とばかりにステージの中央に戻ってくると,ようやっとお望みの「ドドドドジャカジャカジャカ…」という流れに。BON氏らに「こちらへどうぞ」とばかりに1段高くなったドラムセットの前に連れられる青空氏。どうやらジャンプして〆るらしいということで,俄然意気揚揚となる青空氏。「さーて,飛ぶぞ」とばかりに膝を曲げた瞬間に「ドン!」とドラムに〆られてしまった。ガッカリする青空氏に爆笑する場内。もちろん,これで終わるわけではない。
ワンス・モアとばかりにもう1回音を盛り上げるバンドに,再びドラムセットの前に上がる青空氏。いよいよジャーンプと,そのジャンプしている空中で今度は「ドン!」と〆られてしまった。またも爆笑の場内。納得行かない様子のまま袖に引き揚げていく青空氏,いわく「どっかで見たことのあるオチだな」――もちろん,その答えは誰だか私には分かります。ま,あえてここには書きません。万が一間違っていると恥ずかしいので(笑)。

この寸劇が終わって,次いでバグス・アンダー・グルーヴとBIG HORNS BEEとバンドメンバーによるセッション。これが終わると,いよいよあの人の登場――そう,ジェームス小野田氏ですね。頭文字の「J!O!」など何度か小野田氏を呼ぶコールの掛け合いがあった後で,小野田氏が今回は白い鎧を纏っての登場。前のほうに降りてくると,ダンサーチームとギター・ベースがフロントに一斉に集まった後,「チュクチュクチュクチュク♪」というタイトル通りのカッティングギターの音で,待ち望んでいた『かっちょいい!』。うーん,お望み通りの演奏。見事にファンクしていましたね。そのまま小野田氏による軽いMCの後で新曲らしい曲を一つ歌うと,石井氏にバトンタッチ。
ここから先は記憶が少し曖昧ですが,メロウなスローナンバー『君を離さない』の後で石井氏によるメロウだけどクサイMC。いわく「Hの後にIがある」などと少しエロネタを入れると,「Iの後にJがあって,Jの後にO…あ,違った。Jの後にO」なんて言っていると,後方から「“JO”って呼んだー?」とひょっこり現れる小野田氏。ムードは瞬く間にブチ壊れ,あっという間に2人による掛け合い漫才に。詳細は忘れましたけど,センターで「みんな歌っていいかー?」という石井氏に「いいよー!」と場内が応え『Eーヨ』の演奏。何度も同じところを繰り返していい加減に疲れてきたのか,「そろそろ終わらせていい?」という石井氏に「ダーメ」とバッテンを掲げるアリーナ席その他もろもろ。ま,このあたりはお約束。「ってことは,もっとやれってことか…」――そのペースを保ったまま,次の『WELL COME 2』へと一気に盛り上がる展開。2曲続けて今ツアーでの振り付けの定番ソングになっているだけに,場内もやはり盛り上がりました。そして,この曲にて消灯。第1部終了。

「ボーナスコール」(@参照)の後,再び灯りが点灯すると,黒いスーツで登場の石井氏およびメンバー。「アンボーナス」の話がまた出ると思ったので,よほど「アンボーナス!」ってコールしようかと思ったけど……石井氏いわく「今回が一番そろっていました。100点!」だそうです。「マエノマツリ」同様,ここからはヒットメドレー。これまた石井氏いわく「リクエストを中心にメドレー作ろうと思ったら……メドレーができなくなってしまいました。ナンで『愛の歯ブラシセット』が1位なの!? もっといい曲とかあるでしょうよ!」の叫びに場内爆笑。みんな,笑いのツボがしっかり分かっていたりして。
「我々サイドで選ばせてもらった」というメドレーは,いわゆる正統派な曲のメドレーでした。まずは今日のよき日にちなんで,まずはデビュー曲『I・CAN・BE』からスタート。デビュー曲のポップなアレンジがかかったほうではなく,セルフカバーベスト『K2C』のバージョンでした。たしか,本人たちはポップなアレンジのほうが気にいらなかったんですよね(MJP「その13」参照)……大ヒット曲『ひとすじになれない』『君がいるだけで』などもあれば,4thアルバム『GO FUNK』から『Sexy Power』を盛り込むなど,なかなか秀逸でしたね。…あ,石井氏が「いまあちこちで見る“ハンカチ回し”はウチが最初ですから」と言っていた『ごきげんよう!Party Night』では,白い米米仕様のハンカチによるハンカチ回しがありましたけど,それはそれはキレイでした。へー,でも,そうなんだね。
セカンドアルバム『E・B・I・S』から『アジテーション』も披露されると,ここでまず最初のスペシャルゲスト――それは,まさしくこの日にピッタリな人物。デビュー当時のメンバーであったサトミ氏(元シュークリームシュの真ん中で踊っていた),博多めぐみ氏(ギター),MARU氏(パーカッション)の3人でした……1997年の解散前夜に発売された過去のプロモーションビデオ中心に構成のビデオ『RICISM』を持っていて,何度も観ましたけど,そこには3人の若い姿が度々登場します。このビデオ,デビューして間もない頃のコンサートで演奏された『I・CAN・BE』(こちらはポップなバージョンでした)とか,上記『かっちょいい!』のプロモとか,CMの裏側の映像など,結構お宝の映像が満載です。あるいはDVDも出てるのかな?
ま,それはいいとして,今回そのビデオの映像から約20年経っての登場なわけですが(厳密には,解散コンサート「ラスト・シンポジウム」のときにも3人が出ています),サトミ氏はすっかりふくよかなお母様のようになられ,博多氏はあまり当時と変わらずブッ飛んでいたし,一番変わったのがすっかりオッサン臭くなったMARU氏かな。彼らを交えてボーナス@のラストは,何度聴いてもテンションがアゲアゲになりまくる『Shake Hip!』。サトミ氏は現メンバーほど激しくはないですが,要所ではしっかりダンスしていましたし,博多氏はあんまり関係なさそうにギターを弾き,MARU氏は後ろで小さいポンゴを叩いていました。〆にジャーンプ!…をまた例のごとく6回ほどジラされて,最後に全員でジャンプ&メンバー紹介。そして消灯。

再びアン…もとい「ボーナスコール」の後で,ボーナスAは,デビュー当時に自分の事務所を間借りさせてくれたなど,メンバーにとって“命の恩人”というChar氏がギターを持って,スペシャルゲストAとして登場(Char氏は一時,米米でドラム叩いていたんですよね)。ついでに…というか,そのChar氏のご子息であるRIZEのJESSE氏も現れ,ラップをしながらみんなで『Just U』のニューバージョンを演奏。個人的には@での『ア・ブラ・カダ・ブラ』同様,コラボしないバージョンを聴きたかったですが,まあ今回の再結成のキーマンになっている2人ですから,そこはまあ2人をリスペクトするという意味でしょーがないか。ボーナスAはこの曲のみで終了。@の「アトノマツリ」よりやや短めな2時間半のショータイム。ふと手の臭いをかぐと,ずっと握っていたせいでか,少しサビの臭いがしていました……。

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今回の米米の復活祭で他のコンサートと私の行動が違った点は,コンサート鑑賞記には書きませんでしたが,グッズを買ってしまったことでしょうか。「マエノマツリ」「アトノマツリ」と二つがセットになったプログラムを5000円出して買ってしまったり,はたまた横浜アリーナからの帰り,すでに向かうときに目をつけていた米米のライヴ写真集を本屋で買ってしまったり……扇子は買わなかったけど,やっぱり買いたくなるくらいに惹きつけられる何かがあるんですよね。千葉ロッテマリーンズのグッズをいろいろと買ってしまったがごとく……ま,一緒くたにしちゃうのはいけないかもしれませんが,こんな楽しい一時を過ごせるのならば,いくつ“ハシゴ”してもいいかなーなんて思ったりしました。
少なくとも,今回のコンサートは2種類観て大正解。中身が大きく違ってそれぞれに“お楽しみ”がしっかり盛り込まれているし,全然我々を飽きさせることないし,確信的に我々を楽しませようとしてくれている……ひょっとして,言葉は適切じゃないかもしれませんが,あの空間にいた人たちって,ある種の“トランス状態”だと思うんですよね。もちろん,この私も含めてになるでしょうが。
一方では,私自身が「米米を楽しめる年齢になった」とも言えるかもしれませんね。CDで聴く彼らのうち,おちゃらけた曲を今でもあまり好まない私ですけど,こういうライヴでは「構わないからどんどんやってくれー」みたいな気持ちになれました。「もうナンでもアリでいいぞー」みたいなね。オンタイムで聴いていたころにライヴに行っていたら,そのころの私って美意識の強いトコがあったりしたので(今もあるにはあるけど),もしかして彼らのナンでもアリな部分を好まなかったかもしれない。時間が解決してくれたのは,あるいは彼らをどうこう言う以前に,私の彼らに対する見方だと思います。“偏見”と言っては極端かもしれませんが,いろんな意味で潔癖で美意識が強くて時に尖っていた部分がだんだんと氷解して,ある種「許せるようになった」のかな…いや「許す」ではなくて,それをさらに突き抜けて,「もうどんどんOK」みたいになったのかなと。

最後。メンバーを観ていると,みんな年齢を重ねたのもあるでしょうけど,丸くなったなのかなという印象を持ちましたね。オンタイムのときはそれこそ彼らだって“尖っていた”かもしれない部分が,今回角が取れていい感じで楽しんでいるのかなと。ドラムのRYO‐J氏とギターのジョプリン得能氏は,最後のほうで突如脱退して,それが結構解散まで尾を引いたような印象を個人的に持っていたりするんですが,こうしてまた一緒にできるというのも,ある意味時間が解決してくれたりするんでしょう。その時間が“角”を徐々に丸くしていくんでしょうね……ま,元々米米のコンサートというのは,いつだって我々以前に彼らが楽しむためにあるようなものでしょうけどね。(おわり)

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