定期借地権・建物譲渡特約付借地権・事業用借地権
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■定期借地権の概要 |
●旧法では一度借地契約を結ぶと、連続的に借地恵契約が更新され、返却してもらうためには、高額の立退き料を支払う必要が生じ、土地所有者の貸ししぶりが生じ、土地が有効に活用されない状況にあった。
●それに対し新法は、前述の貸主側の返還や高額の立退き料に対する不安を解消できるとともに、権利金などの契約締結時に支払われる金額を抑える作用が期待されている。この法律の成立により都市基盤整備公団、住宅供給公社や民間の手によって賃貸や分譲マンション、一戸建て住宅等を建設するために利用することが期待される。 |
■定期借地権
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(借地法 22条)
1. 借地期間 :契約期間50年以上
(50年未満の約定をすると普通の借地権として扱わ
れる。)
2. 契約の更新 :契約は更新されない。
3. 建物の再築 :建物の再築(建替え)による借地期間の延長が無い。
4. 建物買取り請求権:借地人に借地上建物の買取り請求権を認めない。
5.2 〜4の特約は公正証書などの書面でしなければならない。
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建物用途の規定は無し
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契約期間満了後、基本的には借りた人の費用で更地ににして返還する。
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ちなみに借地権の消滅時に建物があり、双方の合意により有償又は無償で譲り受けることは可能。(建物買取り請求権を認めることには当たらない。) |
■建物譲渡特約付借地権の概要 |
●
一般の借地権に借地権を消滅させるための建物譲渡特約を付加したもの。借地人が借地上の建物を土地所有者に譲渡すれば、借地権も土地所有者に移転し借地権は必然的に消滅する。
● 借地権を設定後 30年以上経過した日に借地上建物を借地権設定者(土地所有者)に譲渡することをあらかじめ特約する。 |
■建物譲渡特約付借地権 |
(借地法 23条)
1. 借地期間 :契約期間30年以上
(30年未満の約定をすると30年の存続期間が法定される)
2. 契約の更新 :契約は基本的には更新されない。
3. 建物の再築 :建物の再築(建替え)による借地期間の延長が無い。
4. 建物譲渡特約 :借地期間満了時に借地上建物の売買契約が成立する旨の特約をつける。
5. 契約書式の規約:無し
*建物用途の規定は無し |
■事業用借地権の概要 |
●
契約の更新及び建物の再築による借地期間の延長がない。
●
借地人に借地上建物の買取り請求権を認めない期間
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どちらかというと貸地人に有利な契約方法であるが、短期間で一定の利益を上げることを目的とする事業に於いては、権利金等の額を抑えることが可能。 |
■事業用借地権 |
(借地法 24条)
1. 借地期間 :契約期間10年以上20年以下
(これ以外の約定をすると普通の借地権として扱われる。)
2. 契約の更新 :契約は更新されない。
3. 建物の再築 :建物の再築(建替え)による借地期間の延長が無い。
4. 建物買取り請求権:借地人に借地上建物の買取り請求権を認めない。
5. 契約書式の規約:公正証書により設定しなければならない。
*建物用途の規定 :事業専用建物(居住用のものは設定できない)
*契約期間満了後、借りた人の費用で更地ににして返還する。 |
■参考 |
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土地所有者(特に農地等の所有者)にとって興味深いのが前述の 建物譲渡特約付借地権である。土地所有者はこれを宅地に転用(農地転用)し、マンション建設を目的とする借地権を設定し、借地権者がマンションを建設する。当初30年間は地代が収入として見込め、30年経過後は、マンションを「相当価格」で譲渡され、その後は賃料が収入として見込める。
● 建物譲渡特約付借地権における借地権者(建物を建てた人)のメリットとしては、建設当初は土地代金が賃料のみとなり、総事業費抑えることが可能となる。また、借地権が消滅すると同時に請求すれば期間の定めのない賃貸借が成立する。建物を建てた人はそのまま建物を使用することができ、同時に建物を譲渡することにより、収入を見込むことが可能になる。借地権消滅後は、一般の建物の賃料を支払っていくことになる。
● この考えを更に推し進めた考え方が スケルトン定借(通称つくば方式)と呼ばれる制度で、前述の建物の譲渡価格を土地所有者が一括で支払う変わりに、借地権消滅後の建物賃料と相殺する「家賃相殺制度」が導入される。土地所有者は譲渡の際の負担が無く、居住者は低額の家賃(通常、当初支払っていた土地の賃料なみ)で住み続けることができる。 |
参考文献 新借地借家法 二瓶 五郎著 |
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