好きまでの距離感〜バレンタイン編、十三〜

二階の自分の部屋に入り、ベッドへと体を投げ出した。
「たまんねぇ」
ついついぼやきが口から出ていた。
ベッドへ俯せに横たわり目を閉じてみた。

桂一郎とこーいう関係になってからというものの、俺は割り切って考えることにするようにしていた。だってそうでも思わなければやっていけないんじゃないかなって気がするからさ。
何しろ普通の男女関係じゃないし。
俺達男同士だし。
相手は桂一郎だし。

出発点がそもそも普通と違うんだから、一般論は当てにならないだろーってのが、多分頭のどっかにあるんだろうな。後、あんまり深く考えるのは止めよっかな〜って、安直な考えもちらほら。

だってさ、俺は根本的なところで桂一郎が好きなのは確かだから。
あいつが俺のことを友達以上に好きだと、恋愛感情を持っていると聞かされても、それに衝撃を受けてはいたけど、嫌悪感を感じなかったのは事実なんだ。
うん、そうなんだ。
男に好きだと言われて、気持ち悪いとも思わずに、ただ戸惑っていただけなんだもの。

多分相手が桂一郎だからなんだろうと思う。
これが他の相手なら、悩むまでもなく拒否していただろう。俺、その手の趣味はないと今も確信してるから。
でもね。
桂一郎は別なんだ。特別だといってもいいだろう。

ずっと一緒にいた相手。
小さかった頃からずっと俺の側にいてくれた。
辛いとき、寂しかった時に俺の側に変わらずにいてくれたあいつ。殊更に言葉や態度で俺を慰めてくれた訳じゃないけれど。
あいつはただ側にいてくれたんだ。どんなときでも変わらない態度で。真っ直ぐな瞳で俺を見てくれた。
あいつの温もりがどれだけ俺を救ってくれたのかと、今なら分かるから。

好きだとか嫌いとかなんて簡単な感情では推し量れないくらいに。俺は桂一郎を失いたくないんだと思う。
だからあいつの告白に驚いたものの、それに拒否反応は不思議なくらいに出なかったんだろうと。
それもこれも好き…なんだろうけど。

でも俺は自分の感情がどこまでなのかよく分からない。
好きなのは確かなんだけどな〜。

桂一郎のキスを拒めなくなっているのも事実だし。
キス…。
あ、ヤバイ。
さっきのキスを思いだしたら、また顔が熱くなってきそうだ。
もうこれ以上考えるのは止めよう。
ただでさえ桂一郎との関係を考えると頭が煮詰まってきそうなんだからさ。それでなくてもあんまりたいしたことのない脳みそなんだから。
自分を追いつめるのは止めようとと思う。

とにかう今日は寝よう。
寝て、頭をすっきりさせようと思う。

チョコの事も明日どうにかすべぇかなってね。
そうやって、俺は強制的に目をつぶったんだ。


翌日。
外は快晴。
目覚めもすっきり。夕べあんな事があったにもかかわらずに、元気な自分が大好きです。
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