好きまでの距離感〜第十八話〜


正直な話、こーゆう相談事を持ちかけられたのは初めてじゃないんだ。
確かに桂一郎はパッと見、強面っぽい印象ではあるけれど、あれで結構顔立ちは整っていたりする。
ぶっきらぼうで無表情な奴ではあるけれど、背は高いし(今は177センチだったっけ?)小さい頃から剣道をやっているせいか、体つきだってしっかりしている。
頭も…そこそこかな。
さすがに学年トップとまではいかないけれど、コツコツ努力するタイプなんで、常に上位の方にいるんだ。
あの無口さだって、ある一部の女子からはクールだとか、大人びているとか言われているみたいで、密かに人気はあるみたいだ。

でも…あの性格だろう?
人気があっても本人に直接告白するのは勇気がいるらしくて、そこで俺の出番って訳みたい。

実を言えば、中学生の時に二回。
高校に入ってからは、既に三回ほど、この手の頼まれごとをされている。
みんな必死なんだろうけどさ〜〜〜。
でも、俺はこーいうのってマジ、勘弁してよって気分なのよね。
はっきり言って好き嫌いの感情ごとほど曖昧で、プライベートなものってないじゃない?
そーいうのってさ、やっぱ第三者が介入してちゃいけないんじゃないのかなぁって。
本人同士ってのが基本だと思うんだけどね。

部外者の俺を巻き込むなって言いたいわけよ。
実際、巻き込まれて嫌な目にあったこともあるしさ。

何より俺は知ってるんだ。
桂一郎の奴がこの手の話題を殊の外、嫌うって事を。
あいつってば、地道に努力するタイプじゃん?
だからなのかな。他人の力を借りて自分の気持ちを伝えるのって、よく思っていないみたいなんだ。

だから直接思いを伝える相手には誠意を持って接しているみたいなんだけど、今みたいな他力本願な告白には、割と冷淡。
「興味無い」の一言で、あっさりと切り捨てちゃう。

で、俺はあいつのそんな性格を熟知しているわけなのよ。
だって付き合い長いしね〜。

彼女が本気モードなのは薄々感じるけどさ、こればっかりは本人に言ってよねって気分なの。
だから俺はため息一つ吐いて、こう切り出したんだ。
「あのさ崎谷さん。桂の事はあいつ自身に聞いてくんない?俺、悪いけどこーゆうのってあんま好きくないんだ。言いたいことがあるんなら、あいつに直で聞けばいいんだし。君、桂と同じ部活なんだしさ。その気になれば、話す機会なんていくらでもあるでしょ?」
我ながら冷たい言い方だとは思うけど、ここで優しい態度を取れば絶対お願い事、断れなくなっちゃうってのは、今までの経験から知ってるんだよね。
だからわざと冷たく突き放した言い方をした自覚はある。

俺が彼女の頼み事をやんわりと拒否しかけているってのを、暗に示唆したつもりなんだけどさ…。
「ま、待って中西君。あ、あの…ちょっとでいいの。ほんの少しでもいいから聞いて欲しいの。あ、ううん。一言でもいいから伝えて欲しくって…。それだけでもいいから…」
必死の告白。思い詰めた瞳。
真剣なんだろうってのは痛いほど伝わるけど………。

でも、それを言う相手は俺じゃないかって思うんだけどね。
「ねぇ、俺はそーいうのさ…」
「ずっと野間君の事、見ていたの!」





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