好きまでの距離感〜第十七話〜


疑問符だらけの頭を抱えたままでたどり着いた、剣道部室の裏手側。
校舎の外れにあって、直ぐ側に剣道部の部室が有るはずなんだけどさ。人気が少なく、密会にはちょうど良い場所かも?とか思っちゃった。

こんなところに俺を呼び出した理由って何なんだろう。
親しくもない俺に用って?話ってどゆこと?
そういえば…。
俺は、ふいに有ることに気が付いた。
「ねぇ、そっちは部活はいかなくていいわけ?もう、練習とか始まってたりするんじゃないの?」
剣道部の方から、練習の声が微かに聞こえてきたんだ。
俺がその事に気づいて問いただすと、彼女が硬い表情のままで、こう答えたんだ。
「あ…今日はちょっと遅れますって、言付けてもらってるから。だから大丈夫なんです」
「あ、そう…なんだ」
それで、またお互いに言葉が途切れちゃう。

いったい俺に何を言いたいんだろう。
こう、緊張されまくるとさ。こっちも堅くなってきそうだもんな。
これで相手が男とか、危ない野郎とかだったら、別な意味で俺も緊張していたかもしんない。
ホラ、ヤキを入れられるとかのさ。そーいうの。
でも、相手は普通の女子高生じゃん。
間違っても暴力絡みじゃあ、なさそうだしね。
となれば、いったい何だ?
別に親しくしてる覚えもないから、俺をこんな所にまで呼び出して話したい用事なんて分からない。
分からないなりにおとなしく彼女の後をついて来たんだけどさ…。

「ねぇ、俺に話しって何?」
彼女に言われるままにここに来たには来たけど、彼女はなかなか話を切り出そうとはしなかった。
言いたくない…とかじゃなくて、どう話し出せばいいのか、みたいな様子だったんだ。
さすがに俺もこんな曖昧な状態に焦れて、つい急かすような物言いをしてしまった。
そんな俺の状態が声に出ちゃったんだろうな。
彼女が俺を見上げ、両手を堅く握りしめてこう、切り出したんだ。
「中西君…野間君とは、小さい頃からの仲だって聞いたんだけど…。すっごく仲、良いって。幼なじみだって…」
「そう…だけど?」

…なんだ。そう言うことか。
彼女のその物言いだけで、俺は何故ここまで連れてこられたのか。彼女が何を言いたいのか、分かってしまったんだ。
ようするにアレ、ね。
彼女は俺に用がある訳じゃなくて、桂一郎と仲が良い俺に話しが有るって事なんだ。
俺、当て馬ってやつ?
なんだかなーもう。
つまりは崎谷かおりちゃんはだ。桂一郎が好き…なんだって事か。

まいったなぁ。
力抜けちまうって。マジで。





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