好きまでの距離感〜第十五話〜



このメシを食い終わったら言わなくちゃならない。

その為に教室からわざわざこの屋上にまで来たのだから。
あることを言う為に。

でも…そう思っているそばから、どう切り出せばいいものかと迷ってもいる。
おかげで、いつもは饒舌なこの俺が、どうにも口が重くなってしまっていた。
元から桂一郎は喋る奴じゃないし、何だかお通夜みたいに静かな昼食となりはてていた。

お互いにメシを食い終わり、話をするでなく、俺は桂一郎が買ってきてくれたウーロン茶を飲んでいた。
話の切り出しをどうしようかと思い悩みながら。

そんな俺を桂一郎が見ていた。
真っ直ぐな瞳。
口が重い桂一郎だけど、瞳はそれとは違って雄弁だ。
俺を見詰めながら、あいつはいきなり言い出したんだ。
「…で、俺をここへ誘った理由は?」

ぶはっ!!!

桂一郎の言葉に、俺は口に含んでいたウーロン茶を思いっきり吹き出していた。
ひとしきり咳き込んで、マジマジとあいつの顔を覗き込む。
「あ…あの…桂?」
「話があるんだろう?」
静かな声。穏やかな瞳が俺を見詰めている。

えっ…と、もしかして俺が何か言いたがっているの、分かった?
悟られちゃったってこと?
「和」
桂一郎が真っ直ぐに俺を見ている。
う…。
なんか、変なプレッシャー感じるんですけど…。
「あ…あのさ。お前のとこの部の崎谷かおりについてなんだけど…」
「?」

事の起こりは昨日の放課後の事だったんだ。





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