好きまでの距離感〜第五話〜



「ホントに?」と尋ねた。
「うん」とあいつが答える。
他の人が来ても、僕の側にいてくれる?とも言った。
そう俺が尋ねると、律儀に返してくれる桂一郎。

それが何だかとっても嬉しくて、面はゆくて、俺は馬鹿みたいに何度も何度も桂一郎に尋ねてしまったんだ。
「桂君はお父さんみたいに、僕を一人にしない?」って。
それにもあいつは答えてくれた。
和君の側にいるからと。

嬉しかった。嬉しくて嬉しくて、俺はあいつの手をしっかりと握りしめたんだ。
触れた手から伝わる温もりが、堪らなく俺を安心させてくれたから。
桂一郎の言葉と温もりに癒された。
だから俺もここにいることを自分に納得させようと思ったんだ。父さんの事も何もかも…だ。

あ〜〜〜〜それにしても。

今思いだしても、ハズカシー記憶。
俺ってば只の甘ったれじゃん。
家の家庭の事情とか、桂一郎には全然まるっきり関係ないのにさ。
殆ど八つ当たり気味にぶちまけていたんだものな。
俺の理不尽とも言える絡みにもさ、面倒くさそうな素振りも見せずに、一生懸命になって慰めてくれたんだものな。

うん…言い奴だよね。
無表情の鉄仮面野郎だけど。

だけど俺はあいつのあの言葉に救われたんだからさ。

………にしてもだ。
何でいきなりこれを思いだしたんだっけ?
えっ〜〜〜〜と?
昨日、言われた事があった…な。
あれ…のせい…か?

「ちょっと、いつまで鏡占領してんのよ!」





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