デジタル・サイド
2月15日放送分:デジタルオーディオの概要「ケータイの音はなぜ悪い?」
今日のポイントは、デジタルオーディオに関する基本的な概念を、
身近な例をもとに感覚的に理解していただくことです。
特に、「音質」について考えてみたいと思います。
FMラジオとAMラジオの音質を比べてみよう。…帯域幅について
FMラジオとAMラジオでは、音質が違いますね。
FMは比較的クリアーな音、AMは比較的こもった音がします。
クリアーな音といえば、CDの音はFMラジオよりさらにクリアーで、
華やかな感じの音ですね。
逆にこもった音といえば、
電話の音はAMラジオよりさらにこもった感じがしませんか。
この「クリアーな、華やかな音」と「こもった音」の差は、
どれだけ高い音が含まれているか、
つまりどれだけ幅広い周波数の音を含むかに由来します。
この、含まれる周波数の幅のことを「帯域幅(たいいきはば)」と言います。
帯域幅を数字で表すときは、周波数の単位であるHz(ヘルツ)やkHz
(キロヘルツ)を使います。
CDの音の帯域幅は20.05kHz、電話の音の帯域幅は約4kHzです。
さて、デジタルオーディオ編集とは、音声をデジタル機器
(パソコン、サンプラー、ハードディスクレコーダーなど)
に入力して加工することです。
そのための最初のステップは、まず音声を入力することです。
これを、サンプリングといいます。
サンプリングとは、音声をデジタルデータに変換するという意味です。
で、そのサンプリングをする時に問題になるのが、帯域幅です。
- 帯域幅の広い音をサンプリングすると、データ量が大きくなります。
- 帯域幅の狭い音をサンプリングすると、データ量が小さくなります。
インターネット放送とラジオの音質を比べてみよう。…圧縮について
かつしかエフエムでは、RealAudioを使ってインターネット放送をしています。
しかし、サーバーの能力の関係で、
残念ながらラジオと同じ音質での放送は提供できていません。
でも、同じ「インターネット放送」と銘打ったサイトでも、
CD顔負けのいい音で放送しているサイトもあります。
上に書いたとおり、電話線は帯域幅が狭いので、
本来はあまり良い音質では音を送れないはずです。
ところが、インターネット放送は電話線を使っているのに、
電話よりいい音で聞けます。なぜでしょうか?
ここが、デジタルオーディオの腕の見せ所です。
音質の劣化を最小限に抑えつつ、
うまいことやってデータ量を減らす技術が使われているんです。
これを、データの圧縮といいます。
圧縮率によって、音質は異なります。
- あまり圧縮をかけない状態では、
データ量は多いままですが、音質は圧縮前とほとんど変わりません。
- 激しく圧縮をかけすぎると、
データ量は小さくなりますが、音質が悪くなります。
今日のまとめ
- デジタルオーディオの音質は、帯域幅と圧縮率で決まる。
- 一般的に、良い音質を得るためには、データ量が多く必要である。
さて、冒頭の「ケータイの音はなぜ悪い?」を考えてみます。
まず、既に書いたとおり電話の帯域幅は狭いです。
さらに、携帯電話では固定電話ほど多くのデータをやりとりできないので、
かなり激しく圧縮をかけています。
従って、帯域幅・圧縮率の両方の面から、音質が悪くなってしまう、
というわけです。