競馬場の謎の人物

 競馬の出走前には旗を持った人間が二人馬場内にいる。一人は白い旗を持ちスタート地点
の前方200メートル付近に、もう一人は黄色い旗を持ちスターターの横あたりにいる。
 白い旗の方はスタートをやり直す(カンパイ)の際に騎手に旗を振って知らせる役目だと知っ
ていたが黄色い旗の方は何をする人なのか。15年以上競馬を見てきてずっと謎だったがよう
やく謎が解けた。とりあえず写真から。


 上の写真が発走直前で下が発走直後(馬がゲートを出ている)だが目の前を馬が通り過ぎた
際に上にあげた旗を振り下ろしている。つまりこの旗をもった人の前が本当のスタートラインで
発走ゲートはスタートラインの約5メートル後方にある。そして最初の馬がスタートラインを通り
過ぎるとレースタイムの計測開始となり旗を振り下ろして合図していたのである。
 こんな重要なことを手動でやっていたのか・・・と思っていたら実際にはスタートラインには赤
外線のセンサーがあり計測は自動開始されるそうな。ということで現在は全く意味がなく地方
競馬ではいないほうが多いようです。

 さてこれで生じた疑問がスタート直後に落馬した場合はスタートラインを超える前なのですか
らスタートしていない=返還の対象ではないのかと思うのですがJRAはきちんと説明してもらい
たいものです。


入り待ち、出待ち

 公営競技の場合ファンと選手はある程度距離のあるほうがいいと私は思っているのですが
最近では舟券を離れて選手自体のファンも多くあまり神経質にならない方がいいのかもしれま
せん。主催者や選手側もファンサービスということでふれあいの機会を作っているところが多い
ようです。そんなファンを苦々しく見ている古来からのファンも本音を言えば一度あの選手にお
礼を言いたい、あるいは文句を言いたいという気持ちは持っているわけでうらやましそうに選
手とともに写真におさまる若い女性を見ている人も多く見かけます。
 私の場合レースの前後に、というのはあまりありませんが練習している競輪選手を見かける
と声をかけてしまいます。例えA級下位の知らない選手でもそうです。もっとも競輪場で一生懸
命走っていても野次るわけですから練習中くらい応援しようという罪滅ぼしかもしれません。
 
ファンサービスする長嶺豊選手。(住之江競艇場にて)

人動主義

 公営競技場は地元に仕事をつくるという目的もあった為やたら人が多かった。売上がうなぎ
上りの時代ならそれでもよかったものの低迷しさらに赤字とまでなるとそんなことはやってられ
ない。私が公営競技を始めた頃はどこか懐かしさを感じてしまうような、そんな人動主義が大
いに巾を利かせていた。その一例を。
 まず入場券売り場に行きおばさんに50円を出し入場券を買い入場口で昔のお姉ちゃんに出
す。警備員から出走表をもらいとりあえずお茶を飲もうと湯茶接待所へ。ここでは大きなやか
んとメラミンのコップが置いてあり奥の方でおばさんがやかんに水を入れたりコップを洗ってい
た。
 投票券を買う前にまず両替窓口で両替。1万円を出すと輪ゴムでくくった1000円札の束が
ぱっと出てきた。一番上の札にはたいてい赤ペンや鉛筆で何かが書いていた。落書なのか、
必要があって書かれたものなのかは知らない。
 発売窓口に移動し口頭で買い目を伝えていく。「2−5を500円、2−6も500円・・・」買い目
の数だけ投票券があり4点買うと4枚になった。もっとも(枠番)2連勝式しかなかったから多く
点数を買うことはまずなかった。
 的中したら払戻窓口へ。的中券をおばさんに出すと奥のおばさんに渡され何やらチェックし
台帳みたいなのと照合し投票券に赤鉛筆でチェックを入れ次のおばさんへ。次のおばさんは
そろばんで計算し銀行なんかで出てくる円いお盆みたいなのに払戻金を入れ窓口のおばさん
へ。そしてようやく窓口のおばさんから私に払戻金が渡される。もっともこの間にかかる時間は
現在の払戻機とそう変わりはない。
 15年ほど前の話で世間は殆ど機械化されていた時代である。公営競技界は10年以上遅れ
ていることになる。ついでに付け加えるとこの「おばさん」の殆どが愛想がなく二度と来るか、と
いう感じだった。


冠レース

 最近地方競馬や競艇で個人の協賛を受けての冠レースを行うところが多くなった。確か上山
競馬あたりが発祥だったと思うが地方競馬の生き残り策の一環としてのサービスかと思ってい
たのだが競艇で大々的にやられると「そこまでせんでも」という感じになってきた。せめてもの
救いは個人的な記念、誕生日や結婚などが多く企業の宣伝なんかは殆どないことだろう。だい
たい個人も企業もそう金額に大差がないというのが不思議である。企業の場合は場内のファ
ンに何らかのおまけ、その会社の商品でもクオカードでも配るのが筋だろう。福山競馬のよう
に賞品を出すことと決められているところもあるようだ。
 さてこのように私は冠レースにあまり興味はなかったのだが先日大いに心を動かされてしま
った。ある人の結婚祝いに友人達が戸田競艇で冠レースを申し込み本人には内緒で連れてい
った。出走表に「結婚記念」と書かれているのを見て本人は「あっ」と感激のあまり泣き出したと
いう。それほど喜んでもらえるものならばやはり企画としては成功だろう、そんなふうに私は今
は思う。
 とはいえ私なんかに冠レースにされると気恥ずかしくてレース場には行けないだろう。ただピ
ットの見学や勝利選手との記念撮影といった特典を考えると申し込んでやろうかという気にも
なる。1万円なら安いものである。


口語調

 競輪や競艇では各選手の並びやコース取りが予想の大きなファクターとなり選手コメントは
重要である。ところが専門紙やスポーツ紙の記者が各紙とも全選手に話を聞くことは決勝や優
勝戦以外ありえずたいてい手分けしてインタビューしそれを他の記者は教えたり教えられたり
しているという。
 確かに選手も同じ話を新聞社ごとに何回も話すのは面倒だし時間もかかる。しかし伝言ゲー
ムのみならず何人も人を介して話を聞いていけば内容が変わってくることもあるだろう。「調子
はまあまあです」が「まあ調子がいいよ」→「調子は最高です」→「優勝をねらえます」などとなる
ことはありえそうである。新聞のコメントにはその社が実際に聞いたのか又聞きなのか書いて
おくべきだろう。公営競技の場合ファンが直接聞くことが出来ないだけに。
 一部の新聞ではそれを示すためかどうかは知らないが口語調で書いてあるが関東の選手が
九州弁で話していたりしており無茶苦茶なことも多い。信頼を失いかねない行為だと思うのだ
が。

九州日刊スポーツの記事より。東京出身の熊谷選手が「出とった」「いいかもしれん」なんて言うわけねえだろ。


のみ行為

 のみ行為が一般に馴染みになる言葉となった元は25年位前になろうか、ドリフターズの志村
けん、仲本工事らが逮捕されたことだろう。もちろんそれ以前からこの言葉はあったしお役所
も例の如く「のみ行為は犯罪です」みたいなポスターを作って公営競技場内や交番の横なんか
に貼っていたが「のみ行為って何?」という人のほうが多かったと思う。
 現在のようにパソコンはもちろん電話投票もないそんな時代に私の地元の駅の売店では競
馬ブックや競馬ニホン、馬が置かれていた。一番近い場外馬券売場(ウインズなんていう言葉
もなかった)まで電車で1時間かけて行く人がそんなにいたとは思えないのに売られていた。ど
こで馬券を買っていたかは言うまでもないしそれが普通だった。だから誰も犯罪とは思ってい
なかったのだろう。
 当時からこの逮捕は見せしめであると言われていたがのみ行為を知らしめたということでは
警察の思惑は大成功だったといえよう。但しこのことでのみ行為そのものが減少したわけでは
なかろう。最近は昔ほどの元気はなさそうだがその理由として全体の売り上げ減と3連単・複で
十万円単位の払戻金が出ることだろう。ノミ屋ではたいてい払戻金上限が決まっているので当
たってもうまみはない。


再入場券

 JRA以外の公営競技場ではたいてい途中出場が出来るようになっている。退場時に券を貰
うか出走表などにスタンプを押してもらうことで何度でも入れるようになっている。そう高い金額
でもないのだから2回くらい払ってもいいのだがタダでくれるものを断る人はいないから二度と
入場する意思はなくとも途中で退場するときは必ず貰うようにするのが普通だろう。たまに「兄
ちゃん、券やるわ」と駅から場に歩いていく途中で帰る人に再入場券を貰うことがあるが下手
に偽物をつかまされたらやっかいなので使ったことはない。
 もっとも主催者もたかだか100円や50円に目くじらをたてるとは思えない。法律で「入場料を
取るように」と決まっているからとっているだけでもしかしたら券売機のリース料も出ていないか
もしれない。だいたい場外だと無料で本開催だと有料というのはどう考えてもわからない。

大井競馬場の再入場券。「緊急の場合等、一時的に」なときにしか使用できないとは知らなか
った。何も言わずに貰ったけど。


ヤクルト

 ギャンブルにヤクルトはつきものである。一番ほど遠い存在と思えながら雀荘にはタフマンが
置いてあるしパチンコ屋にもヤクルトの自販機が置いてあることが多い。そして公営競技のお
けら街道やバス乗り場には最終レース終了後どこからともなくヤクルトおばさんが現れヤクルト
やジョアを売る。街中では一番多いはずのコカコーラの自販機はパチンコ屋では何故かめっ
たに見ない。
 ギャンブルをしない会社の同僚が「100円もしないものを人件費を使って売って採算取れる
のか」と会社にやってくるヤクルトおばさんを見て言っていたがヤクルトの本来の収入源はこう
いうところにあるよという話をするとびっくりしていた。
 そういえばかってヤクルトスワローズで活躍していた杉浦亨選手は現在ヤクルト本社でサラ
リーマンをしているらしい。夜な夜な雀荘やパチンコ屋を回るような営業をしているのだろうか。


雨が降っても槍が降っても

 この話は「川の流れる如く」の「臨時休校」を書いているときに思い出した話です。ギャンブル
がらみなのでこちらに入れます。

 高校生の頃のある日、朝から雨は降っていたもののそう激しくはなくテレビで警報発令などは
確認せずに電車に乗り神戸市内の学校に向かった。最寄り駅で降り坂道を登っていくと同級
生が降りてきて「警報出たから休みだと」と告げた。テレビを見てから来ればよかった、それに
してもこれくらいの雨で・・・思いつつ家に帰った。帰った頃には晴れ上がっており遊びに行くか
と付き合っていた彼女の家に電話した。するとお母さんが出て「学校行っているけど?」という
返事。彼女の学校は近隣だったが休みにならなかったらしい。当時は今のように細かい区分
で警報が出ることはなく私の住まいも神戸市も同じ区分だったのだが。
 仕方なく(どこが)園田競馬、甲子園競輪のテレホンサービスに電話するといずれも開催中止
で尼崎競艇だけがやっていたので再び電車に乗り尼崎に向かった。
 帰りに夕刊紙を買うと今朝方阪神地区で集中豪雨があり神戸市内では川が氾濫したりJRの
路盤が流されたりとかなり大きな被害が出たらしい。知らずとはいえのんきに競艇に行った私
も私だがそんな日に開催した尼崎競艇もすごい。どうりでがらがらだった筈である。


まもなく締め切ります

 JRA以外の各場では発売締め切りの5分〜3分前になると音楽を流す。要は早く買えと催促
しているのだがかっては同時にオッズ表示も票数に切り替えられた。オヤジたちはぶつくさ言
いながらモニターの前を離れ窓口に向かっていったものである。
 この締め切り前の音楽であるがどういう基準で選んでいるのだろうか。尼崎競艇は「野ばら」
だが3分前、1分前となるごとにテンポが速くなる。ほかにもそういうところはあると思うが「早く
買え」と催促しているようでもあるが列の進みが遅いとイライラしてくるものである。
 逆に住之江競艇の「ジャンピーラブ」、多摩川競艇の「ほほえみのバネッサ」のような「癒し
系」音楽はそういう殺伐とした締め切り前の雰囲気を和ませようとする目的があるのかもしれ
ない。競輪ではかって「ジェンカ」が多かった。フォークダンスの曲だけに列を並んでいると前の
人の肩を持って踊りだしたくなったものである。誰もが知っている曲だけにこれも「癒し系」に入
るかもしれない。園田競馬の「チャールストン」、琵琶湖競艇の「線路は続くよ」も同じ系統だろ
う。ただ琵琶湖競艇は3分前になるとテンポが速くなるが。
 そんな中全く意味不明なのが奈良競輪の「ヤマトナデシコ七変化」ではなかろうか。別に悪く
はないのだがつい笑ってしまう。


こんなこともあるんだ

 JRAに行って私がまずするのが誕生日馬券、12−2−9の3連単を買うことである。いつか
100万馬券が当たるかも、と思ってやっているのだが一度も当たったことが無い。その日も新
聞も見ずにまず各場の9〜12レースのマークシートを塗りつぶし1200円を機械に投入しマー
クカードを入れた。
 すると3レースで「この馬番は発売していません(11頭立て以下)」と戻ってきた。とりあえず
買えなかったレースから検討するかと中山の10レースを見るとなんと4番に「ホシノプレゼン
ト」、2番に「トゥーエニワン」という名前の馬がいるではないか。前日に巨人監督就任が噂され
ていた星野SDが阪神残留を表明し、阪神は21点をあげて勝っている。
 一緒に行った人と「これ、絶対決まりやで」と半分冗談で言い合い馬複と単勝を買ってみるこ
とにする。もちろん当たるとは思っておらずネタにしようというつもりしかなかった。
 結果は1着4番、2着2番。こんなこともあるんだなぁ。



手動スタート

 競艇において大時計が壊れた場合予備の時計を使用するという。予備の時計なんてどこに
あるのかといえば普段目にしている大時計の裏側がそれで表側が故障した場合ぐるっと回転
させて使用するらしい。両方とも故障した場合は開催中止となるわけで実際数年前に宮島競
艇で大時計が水没して故障し開催できなくなったことがある。
 同じように大時計を使うオートレースは裏側に予備の時計はなくどうするのかと思っていたら
なんと手動スタートでレースを行うらしい。創設時のオートレースは時計を使用せず手旗信号で
スタートしていたので(昭和40年ごろの映像で見たことがある)そんな規則になっているのだろ
う。 2005年7月28日行われた飯塚オートで第5レース以降大時計が故障し手旗信号で残り
のレースが行われた。規則として残されているだけで実際には開催中止にしてしまうのかなと
思っていただけに思いっきり意外だったがそう大きな混乱はなかった模様である。一番混乱し
ていたのは名物アナウンサーの宮本氏だろう。時計がゼロを指すと同時に「ギャオーッ!」と叫
ぶ(どうやらGear onと言っているらしい)のが恒例だが手旗だけにタイミングがつかめず「ギ
ャ、ギャオーッ!」となかなか笑える実況になっている。
 しかしアナウンサーがタイミングをつかめないのに選手はよく大きな出遅れなくスタートできる
ものである。


西山の馬

 私は西山牧場の馬(名義は西山茂行、西山牧場、大宮国際)が3歳クラシックやそのトライア
ルに出ているとつい買ってしまう。儲かったことはニシノサムタイムとセイウンスカイくらいしか
覚えはないのだが。
 西山牧場の現社長西山茂行氏はかって新聞にコラムを持ちまた本も書いていた。その著作
を読んでいた○校生の私は巻末の「どうぞ競馬場で見かけたら気軽に声をかけてください」と
いう社交辞令で書かれたに過ぎない言葉にひかれ阪神競馬場の馬主席で見かけた(当時の
阪神競馬場は指定席と馬主席は同じところにあった)西山氏に「本を読ませていただきました」
と挨拶したのである。礼儀を知らない○校生だからできたのであって今ならとてもできない。そ
んな生意気な私に西山氏は「ありがとうございます」と答えられ、生産馬からクラシックホースを
絶対に出すんだと強い意気込みを語っていた。そんなことがあって以来応援しているのだが結
果が出たのはだいぶ後である。
 西山牧場では八百長疑惑やその他の事件などで騎手をクビになった人を雇い育成担当につ
けている。中学を出ただけで騎手になった人間にほかのことが出来るはずがない、ならばウチ
がという心意気は赤字だからやめます、と競馬を廃止する自治体の首長どもに聞かせてやり
たいものである。
 私が西山牧場の馬を応援するのは「穴のシロー(かって西山牧場は万馬券をよく出しこう呼
ばれていた)」の期待ではなく西山社長の人柄と心意気であることは間違いない。


思いたったら乗ってみよう

 5月のある日、住之江に繰り出したのだが見事に箕面市に多大な税金を払う結果となり(大
阪市にもこんなに払ってないぞ)途中であきらめ写真の練習のみすることにしたが舟券を売っ
ている以上買ってしまう。そして負けるという悪循環。
 とインフォメの前を通りかかるとペアボート募集中の札が出したままになっていた。お姉さん
(をとっくに通り過ぎていたが)に聞いたらまだ空きがあるというので乗ってみることにする。か
っては開門と同時に申し込まないと乗れなかったものだが。
 そんなわけで最終レースまで一度も払い戻しを受けることなく終わりいよいよペアボートに乗
る。訓練では湯川浩司選手も水面に出ていたのでもしかしたらと思ったがペアボートには登場
しなかった。ま、8人くらいしかいなかったからか。私は石野の息子(貴之選手)のボートに乗っ
た。
 実を言うと競艇歴18年になるがペアボートに乗ったことは初めてだったりする。選手を野次
れなくなってしまうからだと言い訳していたがまあ正直ヘタレである。とはいえファンサービスに
ついていろいろ書いているのに乗ったこと無いでは話にならないだろう。そんなわけで思いたっ
たら乗ってみよう、となったのである。
 水面が硬いといわれる住之江だがそんな感覚は無かった。コーナーのGのかかり方とかも想
像レベルだった。ただレバーを放った瞬間のブレーキの効きは強烈だった。

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