各社からいろんなフォントが発売されていますが、きれいな字体もあるし、そうでないものもあります。「どれがきれいか」なんていうのは多分に主観的なもので、人によって感覚が違うとは思いますが、ちょっと私の感想を書いてみます。以下、手元にあった明朝体フォントを並べてみました。
これらはすべて同じ文字サイズを指定したので行の長さは同じになっていますが、字の見た目の大きさは結構差があって、リュウミンは字が少し小さめに見えるので落ち着いた印象。小塚明朝や平成明朝は原稿用紙のマス目一杯に書いたみたいな少しポップな印象ですね。
また、リュウミンやヒラギノは漢字に比べて仮名が微妙に小さめに見えます。仮名を少し小さめにデザインすると、読むときに文節ごとに大小のリズムが付くので長文を読むときに疲れないという話を聞いたことがあります。平成明朝などのように全部同じ大きさの文字だと長文を読むときに疲れるのかも……。
ところで、モリサワ基本書体の「リュウミンL」は正式には「リュウミンL-KL」と言います。LはLight (文字が細い) の意味ですが、「KL」は「仮名Large」の略でしょうか? 他に「リュウミンL-KS」というフォントがあって、「リュウミン小がな」と呼ばれています。そういう意味では、通常の「リュウミン」は決して仮名は小さくないという認識かもしれませんが、やはり平成明朝などと比べるとKLでも小さめですね。
どれが好きかというのは好みの問題でしょうが、明朝体というのはオーソドックスな本文に使う書体ですから、落ち着いた印象の字体が良いでしょう。字の大きさ云々を抜きにしても、一般的なDTP用フォントの中ではやはりリュウミンやヒラギノはきれいで、小塚や平成はなんか嫌と私は個人的に思います(笑)。
ゴシック体でも同じように比べてみました。
中ゴシックBBBが最もオーソドックスで、落ち着いた少し堅めの印象。新ゴが最もポップで現代的な印象で、他の3つはその中間的なイメージがします。
ゴシック体は書体によってかなりイメージが違うのですが、字の美しさという点では明朝体ほどは差がないように思います。どれも取り立てて美しいというわけでもないし、そんなに汚くもないという感じです。
なお、この中では平成角ゴシックが少し太めですが、よく使われる「リュウミンLと中ゴシックBBB」という組み合わせと、「平成明朝W3と平成角ゴシックW5」という組み合わせを比較すると、日本語が2書体しかなくゴシックを強調の意味で使いたいという場合は、平成書体の方がゴシックが太い分強調されて見えるかもしれません。まあ、多くの書体を使う場合は関係ない話ですが(笑)。
次に太いゴシック体を比較してみましょう。
まあ、この辺は見出し用の書体ですので、そのページ内に新ゴを使っていれば新ゴを……というように、本文書体に合わせて選ぶのが正解で、単独でどれがきれいかを議論してもしょうがないような気もします。
家庭用プリンタでは、フォントはパソコン側にインストールされたものを使うのが普通ですが、高機能なPostscriptプリンタではフォントはプリンタ側に搭載するのが普通です。標準では次のようなフォントが搭載されています。
つまり、「リュウミン」搭載というのは、高級プリンタのステータス・シンボルでもあるので、私なんぞは「やっぱり高いプリンタは字がきれいだよ」とか思ってしまって、その印象から「リュウミンはきれい」「平成明朝は汚い」と擦り込まれてしまった側面もあるのかもしれません(笑)。
ちなみに上記の高級機の5書体は「モリサワ基本五書体」とも呼ばれています。その一つの「太ミン」ですが、名前に反して太くありません(笑)。「リュウミンL」より微妙に太いかなぁというだけで、これを使うぐらいなら「リュウミンR」の方がいいでしょうし、実質上使えないフォントだと思っています(笑)。これを基本五書体に入れるぐらいなら「見出しゴ」とかを入れた方がいいんじゃないかと思ったりも。