齋藤彩夏ちゃんリスト

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役名: 夏代

ストレート 『GO'JET! GO! GO! VOL.2』 (2005)

スタッフ・キャスト

主催 KM企画
脚本 藤森一朗
演出 菅谷英一
出演(役) 溝渕智洋/渡辺晃(JET)、小山英莉/岸本麻莉亜/関根香菜(あかね) 他

出演公演

公演期間 公演会場
2005-09-09 〜 2005-09-12 [東京] Air Studio

筆者の個人的な感想

急な出演

この舞台は、発表された時点でもう公演まで2週間もない状態でした。どうやら出演者たちにとっても急な出演だったみたいで、練習期間もかなり短かったようです。チケットは「ぴあ」売り等もなく、色画用紙にプリントアウトしただけのものでした。まるで学園祭の模擬店チケットみたい(笑)。当然、前売りはほとんど売れず、観客の多くは当日券で入ったようです。

暑い…

劇場はまさに小劇場で、パイプ椅子がぎっしり40脚ほど並べられただけの非常に狭い所。幕もなく、舞台は地続き(段差がない)で客席と舞台はとてつもなく近いです。舞台上でポップコーンなどが出てくると、その匂いが客席まで伝わってくるんですよね。舞台上の匂いがかげるって、どんな距離だよと思いました。

彩夏ちゃんは他の出演者に比べて、舞台ギリギリ手前(客席寄り)に立つシーンが多かったです。最前列に座った私からは本当に手を伸ばせば届く距離で演じていました。目の前60cmぐらいに彩夏ちゃんの体。近いのはいいけど、これだけ近いと目のやり場に困りますね。とか言いつつ、自由席なので、彩夏ちゃんの立ち位置の前をねらって座っているわけですが(笑)。

人が密集していたせいか、劇場内はあまり空調が効いていなくて、客席でも暑めでした。動き回っている出演者にとっては相当暑かったと思います。初日は重ね着の衣装だった彩夏ちゃんたちですが、暑過ぎたからか、2日目からはノースリーブ(タンクトップ)1枚のかなり薄着の衣装になりました。それでもまだ、汗ビッショリになって演じていました。

寒い…

さて、冒頭から彩夏ちゃんたち3人娘の歌が続けてありました。と言っても、ミュージカルのようにセリフを歌にしたものではなく、普通のポップスです。歌い方も、普通の女子高生がカラオケボックスで歌っているかのような感じ。オリジナル版のキャストから言っても、実は舞台の形を借りたアイドルイベントだったのね……とか思ってしまいました。

ずっとこんな調子で歌ばっかりが続くのかなと思っていたら、徐々にストーリーに入ります。JETがあかねに告白しようとすると次々と邪魔が入るというドタバタギャクもの。彩夏ちゃんたち3人娘は、JETを応援する側です。しかし初日は観客の反応がほとんどなく、ギャグは滑りまくりでした。暗転の多用をギャグにするというのも、なんか滑っているし。劇場の室温は暑かったが、内容は寒かった……と(笑)。

2日目以降

2日目以降は、徐々に客席に笑いが入るようになります。受けないギャグというのは、観客にとってもつらいですが(笑)、やっている出演者にとってもつらいものだったことでしょう。「ここは受けなかったから、こうしよう」とか、毎回、対策を相談していたのかもしれません。回を経るごとに演じ方やギャグがどんどん変わっていきました。最後まで試行錯誤の連続の舞台だったように思います。

同じ日でも、たくさん笑いの起こる回もあれば、そうでもない回もあるなど、回によって観客のノリがまったく違いました。ギャグなんてものは、周りが笑っていると面白く感じるという要素もありますので、この舞台は、どの回を見たかによっても評価がかなり違ってくるのではないかと思います。

ラストシーン

さて、彩夏ちゃん出演部分ではないのですが、この舞台の最大の問題はラストシーンです。告白したいけど好きな人にはうまく言えない……。邪魔が入りながらも、3人娘の応援もあって、JETはなんとか告白できました。あかねの「うん (OK)」というセリフで終わりだったら、さわやかに終われていたのに……。ラストには、どんでん返しがあります。これが超蛇足。JETとあかねのキスシーンを含め、その後全部要らないです。

私は、基本的にキスシーンが嫌いです。そして、ナンパなやつが嫌いです。そんな私だから過剰反応してしまっているだけだろうとは思います。それでもなお、ラストのJETは、私にとって許せないやつでした。3人娘はこんなクソ野郎を応援していたのか。

応援してくれている3人娘の気持ちをないがしろにして、自分の保身だけを考えていたJET。実はJETは悪人だったというオチならともかく、そんなJETをいいやつとして描いている脚本。正直言って、ムカつきました。

総括

この作品は、たぶんあのラストシーンさえなければ、私の評価はもっと高かったと思います。確かに初日は寒いギャグでしたが、3日目ぐらいになると、ギャグもそれなりに面白くなっていました。彩夏ちゃん演じる夏代も面白い役ですし、彩夏ちゃんの良さが出せていたと思います。

ただ、私にとっては、あのラストシーンの後味の悪さは致命的でした。この脚本は受け付けないです。


著者

<t-wata@dab.hi-ho.ne.jp>