概要と要件(ER図とDFDを元にしたファンクションポイントの算出)

はじめに

データモデルとアプリケーションルールを元ネタにファンクションポイント法を使って見積りを行う.データモデル(ER図)からデータファンクションを,アプリケーションルール(DFD)からトランザクショナルファンクションを算出する.

業務概要

例として,以下の要件を持つシステムの見積りを考える.

見積り対象は「オンライン書店システム」である.アマゾンのような本の通販ではなく,青空文庫のようなファイルをダウンロードするタイプの書店である.

ダウンロードできるファイルフォーマットはテキスト・HTML・PDFの3種類である.例を単純にするため,ダウンロードは全て無料とする.ダウンロードにユーザ登録は不要だが,ユーザ登録を行うと自分のダウンロード履歴や“お勧め”を見ることができる.

検索文字列を入力し検索が可能である.検索対象は著者名と書名である.

分類毎に著作を検索できる.分類は例えば“コンピュータ初心者向け”,“恋愛小説”,“ビジネス”といったものである.

ユーザにはダウンロードランキングも提供する.昨日のダウンロードランキング,先週のランキング,先月のランキング,昨年のランキングの4種類である.

運用担当者は以下の作業を行う.

  • 著者の登録・変更・削除
  • 著作の登録・変更・削除
  • ファイルの登録・変更・削除
  • 分類の追加・変更・削除,分類への著作の登録

ファイルや分類には公開開始日・終了日を指定できる.開始日から終了日の間のみユーザの閲覧,ダウンロードが可能となる.

以下のデータは自動で削除を行う.削除対象となる期間は設定ファイルに記述する.

  • 指定期間以上ダウンロードのない登録ユーザ
  • 指定期間以上経過したランキングデータ
  • 指定期間以上経過したダウンロード履歴

参考文献

株式会社アレア著,失敗のないファンクションポイント法,日経BP社,2002
一番最初に読むのだったら,この本はお勧め.前半は説明で,後半は演習.
David Garmus・David Herron著,坂田勇夫訳,ソフトウェア機能性の計測 ファンクションポイント技法の実践的入門,トッパン,1999
構成は前述した「失敗のないファンクションポイント法」とほぼ同じ.出版年が古いためか,あるいは訳書であるためか表現が少々硬い.
Caper Jones著,鶴保征城・富野壽監訳,ソフトウェア開発の定量化手法第2版,共立出版
見積りだけでなくもっと範囲を広げた「定量化」の解説.ファンクションポイント法の説明は少ない.