眠りについて


Webを眺めていたら、「短眠」というフレーズが目に入りました。「睡眠時間を少なくし、自由に使える時間(可処分時間)を増やして 学習効果や作業効率を上げよう」ということらしい。

「圧縮睡眠」とか「ショートスリーパー」などの別名もありました。

「10日で短眠体質になる」プログラムや、短眠に適したサプリメントなど関連する物販も盛んなようです。

私も10代、20代の頃は夜中までテレビやら遊びやら、はたまた仕事やらで夜更かし、寝不足が慢性化していた頃がありました。

今は極力10時前には床に着き、早朝に起きるサイクルを心がけています。子供の都合に合わせている面もありますが、早寝早起きの方が体調に良いと体験的に感じるようになったというのが大きな理由でしょうか

また、当院にお越しになる方で「特に怪我や転倒した訳でなく、重労働でもないが、疲労が抜けない、だるい」という症状を訴える方の生活習慣を伺うと多くの方が就寝する時刻が遅く、また眠りが浅いとお答えになります。

睡眠には
・体力の回復
・内臓の回復
・血液の生成(就寝後、一定時間経過して骨髄で造血作用がはじまるとされます)
・記憶、感情の整理(睡眠によって、新たな情報を遮断するから記憶、感情の情報を整理できるのです)
・成長ホルモンの分泌
・免疫系の活発化(寝ている間は自己治癒が活発になる) というしっかりとした役割があります。

ですから「寝るのがもったいない」「睡眠を削って時間を確保したい」といって睡眠時間を減少させるのは日中の活動量は増やせても活動の質を下げてしまうことになります

睡眠不足は「マイクロスリープ」という現象も招きます。

「昼食後、2時くらいになると眠気がやってきて、頭がガクっとなる」あの現象です。

この時、数秒間の瞬間的な眠りが発生しています。非常に短い時間ですので、眠っているという自覚がありません。しかし、意識、集中力、思考力、判断力は激しく低下しています。

デスクワークでならちょっと恥ずかしい思いをするだけですみますが工場などで重機や機械を操作する方、ドライバーの方などはその数秒で重大な結果を招きかねません。

どうしても必要に迫られたり、とても興味がわいて夢中になれることだったりすればある程度の夜更かしや徹夜も可能かもしれませんが、結局どこかでそのツケを払うことになります。

「寝るのはもったいないことだ」と考えてしまう方。もう一度睡眠にはきちんとした意味と役割があることを思い出してみてください。