千葉在住のため、私のホームグラウンドは外房ですが、満潮時は隠れてしまうような低い磯が多く、高波の影響をモロに受けてしまいます。チャランボと胴長は必携で、潮の干満をタイドグラフで確認して入磯する訳ですが、これまで3回ほどドーンと体もろともヨタ波に押し流されたことがあります。幸い後ろが遠浅になった磯が多かったため事なきを得ましたが、一度はもうほんの少しで海中に放り投げられるところでした。
 自分だけでなく、釣り仲間や他の釣り人が押し流されるところも見ましたが、何の抵抗もできず横になったまま磯の上を海水にもまれながら滑降するという凄まじい光景です。私も時々入る小湊の広瀬台という低い磯では夜釣りをしていた二人組がどちらも押し流されて亡くなったそうで、新聞に死亡事故の記事が掲載されていました。

 渡船での撤収時にも南九州の佐多岬や男女群島で危ない目に合いました。天候が急変し、渡船が舳先を磯に押し付けられないほど大変なシケになったのです。4〜5メートルは舳先が上下するかと思われるような渡船に命からがら飛び移りましたが、男女群島ではこのあと大変な惨事が発生しました。
 それは海難事故です。当初、渡船は我々一行で貸切状態のところに、広島の方がぜひ同乗させて欲しいと飛び入りしてきたのですが、あまりのシケで一人で磯に乗っていたこの方の回収ができなくなってしまいました。船長は「明朝また迎えに来るから」と伝えましたが、翌朝迎えに行くと釣道具は磯の上にあるものの、本人の姿が消えていたのです。
 僚船も数隻駆けつけて捜索しましたが、結局見つからず、それから何と2ヶ月ほども経ってから遺体が宮崎県の都井岬沖で発見されたそうです。この方は初めてのお子さんが生まれたばかりで、駆けつけた奥さんは悲嘆に暮れていたそうです。私は今でも思い出すとお悔やみの気持ちで一杯です。
 命あってこその釣りです。家族を悲しませないよう、くれぐれも安全釣行を心がけたいものです。 

 釣れづれ随想録(その1)

 ウキの浮力をうまく調整できたかをチェックするにはオモリが必要ですが、重量が正確なオモリを見つけるのに苦労します。一例を挙げれば、B(0.55g)のオモリなのに、G7(0.09g)分やG6(0.12g)分ぐらいは軽かったり重かったりすることがあります。勿論、かなり正確なメーカーもありますが、極小なのでオモリの重量を全て均一に正確に製造することは非常に難しい作業なのでしょう。0.01g単位まで計測できる精密な計量器が身近におありなら、お手持ちのオモリで試してみてください。
 また、数年前の或るハンドブックには、00のウキなどをヨウジで固定にすると、遊動のときよりも沈み易いように記載されていましたが、実際には下からヨウジで固定すると、上の孔に気泡ができて孔の中に空気を閉じ込めてしまうので浮力が結構増し、遊動の時よりも沈みにくくなります。ウキをシモらせたり沈めたりするときに試してみてください。

  私は1990年代前半に、甑島、宇治・草垣群島、屋久島、トカラ列島などの薩南諸島や男女群島への釣りツアーを企画したことがあり、或る旅行代理店と交渉して主催者になってもらい、数年間にわたってこのツアーは実施され、数百名を集客しました。(私的都合により、1996年に中止)
 パンフレット請求者や参加者には、今をときめく平和卓也さんや横井公一さん、それに大御所・藤原義雄さんらが名を連ねていました。(残念ながら、藤原さんご一行の男女群島コースへのツアーは船のエンジン・トラブルで中止になり、今でも誠に申し訳なく思っています)
 
 ある時、甑島コースへのツアー客に同行してガイドしたことがありましたが、その中に、当時は30歳代前半と若くまだ無名のNOBUこと鈴木伸行氏が参加していました。キャップはかぶらず、バンダナを巻いており、よく良型のグレやシマアジを釣る若者だなと思っていましたが、その後、1997年のフィッシング・ショーでこのノブさんに再会しました。彼はシーガー・インストラクターになっており、クレハのブースにいました。
 以後、小社のインストラクターもお願いすることになった訳ですが、それにしても1999年のジャパンカップで彼が優勝した時には皆大興奮しました。(’00年は3位入賞、’02年は準優勝)

オモリの重さや浮力のお話

危なかった怖い体験談

by モリさん

ツアー作りとNOBUさんとの出会い

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