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TVチャンピオン「第2回ファッションリフォーム王」奮戦記


99年9月下旬、いつものようにメールチェックをすると
そこに出場者募集のメールが・・・。
お返事を出したところからはじまり、あれよあれよというまの決勝進出まで

メイプルハウス 小宮 仁悠美の
「ファッションリフォーム王」どたばた奮戦記です。

  

ロケは10月某日たったの2日間!
他の出場者はどちらもこの業界で有名な方ばかり・・・ここは場違い?
などと思っていては始まりません、
私も選ばれてここに居るのですから頑張らなければ!

競技内容は
第1ラウンド :仲良し3人組の子供服を2万円以内の古着から作成。制限時間は3時間。
第2ラウンド :ネクタイとベストだけを使ってトイレをディスプレイ。制限時間は3時間。
決勝ラウンド:カップルの着ている服を男→女、女→男へ作り変える。制限時間は6時間。


東京都杉並区・上井草スポーツセンター朝8時入り。
朝6時すぎにアシスタントのBawくんとアトリエのある大和市中央林間を出発。
東名横浜インターからすぐなので用賀から環8で楽チン♪なんて思っていたらとんでもない!
出てすぐ、しっかり通勤渋滞につかまってしまいました。
そういえばOL時代、毎朝渋滞につかまりながら車通勤してたじゃないか、小宮!

アクセルを踏みまくってギリギリの時間に現地入り。
選手の控室に到着すると当然の事ながらもう皆さんしっかり落ち着いていらっしゃる・・・。
「ハラが減っては戦はできぬ」のでBawくんとひとまずお握りをパクつく。

この先どうなることやら〜。


第1ラウンド :
仲良し3人組の子供服を2万円以内の古着から作成。制限時間は3時間。


ロケ司会の中村有志さん(大好きで昔から舞台とか見に行ってました)も到着し、いよいよ本番!
どこまで通用するだろう?
そんな軽い気持ちで出演依頼を受けたのを一番後悔したのがこの瞬間です。

緊張と後悔・・・とにもかくにも始まってしまいました。

制限時間は3時間、つまり3時間で3着の洋服を古着から作らなくてはなりません。

1着1時間!!!

通常の仕事では考えられないペースなので型紙などひいている時間は有りません。

出来あがりをBawくんに指示しながら古着に直接ハサミをいれていきます。
他の方はどんな作品になるんだろう?と気になり、ちょっと気が散ったその瞬間・・・。

「ジョリッ!・・・。」

ハサミから伝わる感触が急に重くなりました。

「!!!」

この日の為にフランフランで買ったオニューの超可愛いメジャー(¥500)を、
トレーナーの袖と一緒に切り落としてしまったのです!
しかもバッサリ!!!

しかし、この失敗で何だか吹っ切れてしまい、緊張も解けました。

時間の制限もあったので普段の仕事からは比べようもない雑な仕事になってしまいましたが
なんとか子供達が着たくなるような服たちを時間ギリギリで仕上げる事が出来たのです。


第1ラウンド、
子供達の注文は「遊びのときの服」。

私のテーマは「洗い上がりが早く、手入れが簡単、
着崩れしない、手ぶらで遊べる」服。
古着屋さんで買い集めた大人用のトレーナーやオーバーオール達を
解体→子供サイズの別アイテムへ改造。
これの繰り返しで3時間・・・出来あがった洋服たちがこれ↓。


 

他の方はそれぞれ・・・。

田原さん 前回チャンピオン!、とっても素敵な方でした。「いつでもどこでも着れる服」
大人用のジャケットを袖がデチャッタブルになった子供サイズのジャケットへ改造されていました。

篠原さん
 撮影が終わった後一緒にご飯を食べに行きました、ありがとう!「登校下校で着る服」
なんとニットのカバンを袖に使ったジャケットを作られてました、天晴!

桜井さん
 ベテランの雰囲気が身体中からあふれてました。「ヒーローみたいな服」
正義の味方の忍者ルック、仲良し感はたっぷりでした。

見崎さん バリバリのキャリアに自信の片鱗が・・ん〜、貫禄!「ストリートファッション」
フォークロア調にまとめてらっしゃいました。

5人の前に並べられた投票用のピンポン球を入れるためのアクリルケース。
審査員は子供達20人と親御さん20人の合計40人。

今回は審査の間、私達選手は後ろを向いてドキドキして
いなければならないという事でまんまと術中にハマリ、
ドキドキしてしまいました。

いよいよ審査です。
ドキドキ・・・ドキドキ・・・。
有志さんの掛け声と共に5人が一斉に回れ右で自分の得票を目にしました。

私の前のアクリルケースに入った7個のピンポン球。
他の方を見る間もなく有志さんのナレーション。
「2回戦進出は小宮さん、田原さん、見崎さん、篠原さん!」
・・・い、いま、コミヤって呼んだ?コミヤって言ったよねぇ。
やりました!2回戦進出です!

撮影現場はカメラや見慣れぬ機材ばかりで最初はとても意識して
動いていたのだけど
この頃にはすっかりカメラの存在を忘れて対面で見ていた
アシスタントのBawくんとモデルをしてくれた子供達にガッツポーズ、
けっこう漢っぽさ満開モードだったのでオンエアされなくて良かったです。
結果、小宮 田原 見崎 篠原 が第2ラウンド進出、
桜井さん得票0で脱落してしまいました。


第2ラウンド :
ネクタイとベストだけを使ってトイレをディスプレイ。制限時間は3時間。

一般のご家庭にお邪魔して古着のネクタイとベストだけで
その家のトイレをフルコーディネート。
審査は各界の専門家5名、10点満点でそれぞれ審査、合計50点満点。
最低点の一人が脱落、制限時間は3時間!


 

メイプルハウスとして独立する以前、
百貨店のブランドショップ店長を生業にしていた事があったので、
「ディスプレイやコーディネートは比較的簡単なんじゃないか?」と自分では思っていました。

蓋を開けて5分・・・その甘い考えは吹っ飛びました!
制作会社さんの準備してくれていた古着のネクタイとベスト達は
古着の中の古着、香りまでほのかについています。
海外ドラマの場面で見るような派手めなトイレを作ろうと計画していた私は
この見事に古着なアイテムたちを前に計画変更を余儀なくされたのです、トホホ・・・。

この古着たちでコーディネートしてゆくにはカラーリングに比重を持たせてゆく他有りません。
もちろん選手各々別の部屋で作業を進行、様子を窺い知る事も出来ません。
時間も無茶ときっぱり言える3時間。

「他の選手もこの古着中の古着でコーディネートしてるんだから」
を合言葉に私とBawくんはヒタヒタと縫い続けたのです。

制限時間を回り、選手それぞれの部屋を自由に見まわっても良い、ということになり
皆さんのトイレを早速覗かせて頂きました。

「!!!!!」
古着ワゴンの中にはあり得ないピカピカのネクタイだらけだぞ!オイッ!!!
しかも、両面テープを張ったフェルトなどコジャレた道具がいろいろ使われているぞ?!

なんと自前の古着(?)を持ってきても良いというレギュレーションを知らなかったのです。

つまり、私達だけが「有りもの勝負」ということになってしまいました。
「もういいや、有りものの中でやれる事はやったから、」
という充実感の方が勝ったこの勝負、いよいよ審査です。


第2ラウンド、
私のテーマは「大人が一人で落ち着ける、
子供の使い勝手も考えた、手入れが簡単」なトイレ。
カラーコーディネーターとしての知識をフル活用、
アパレル業界上がりとして、素材の選別にも気を使ったこのラウンド。
制限時間は3時間・・・出来あがったトイレがこれ↓。


  

他の方はそれぞれ・・・。

田原さん
 「レインボートイレ」
大量のネクタイをスラッシュキルトにされていました、まめな作業!!!。

篠原さん 「花博」
ブルー系でまとめながらもネクタイ芯を使った観葉植物など職人技を見せて頂きました。

見崎さん 「サファリランド」
インターフェイスは完璧、私だとうっかりミシンを使う個所もテープなどで処理されて合理的。

審査員は5名。
審査は有志さんと審査員の方々が選手の部屋を回って
各々10点満点のプレートを挙げ、その合計点(50点満点)で競い合います。

それぞれの選手の部屋を回るわけですから、審査待ちが長い長い・・・。
実際、審査そのものよりも待ってる時間のほうが心臓には悪かったです。

忍耐で40分強、やっと有志さんと審査員の方々がいらっしゃいました。
トイレの所要を説明後、テレビで見たことしかない、あの、審査場面です。
この瞬間は本当にドキドキします。


プレートが挙がると同時に有志さんのナレーション
「10.10.9.9.9・・・47点!という事は?小宮さん決勝進出決定!」


有志さんに手を掴まれるまでホンのチョット意味がわからなかったのですが
どうやら決勝に出る事が決まったのです。
その上、1位だったそうです、何とまあ・・・。

この業界でも「よく集めたなあ?」と思うような一流の方々と
肩を並べてここまで出来るとは考えもしませんでした。

と同時に、なんだか前日から、今までやった事もないような「時間制限」というのが
楽しくなってきていて「もう1ラウンド出来るんだぁ・・・やった!」
と無邪気になってしまったのも正直なところです。


結果、小宮47点 見崎45点 篠原41点で決勝進出、
前回チャンピオンの田原さんはここで脱落してしまいました。


ここまで来ちゃったら私達らしい仕事をするしかありません!
いよいよ決勝です!!!


決勝ラウンド:
夫婦の着ている服を男→女、女→男へ作り変える。制限時間は6時間。

ご夫婦の着ている服を男物から女物へ、
女物から男物と作り変え、着せ替える。
制限時間は6時間。
審査員は各界の専門家7名、それぞれ10点満点で審査。
トップの選手がチャンピオン。


  

このラウンドが始まったのは、確か午後もとっぷり回った時間。
これから6時間、連日殆ど寝ていない私達には試練の時間です。

ひとまず、脳が活発に動いている今のうちに、と、
制作会社の方へ「ドリンク剤をたくさん買ってきて下さい!」とお願いして作業開始。
相変わらず無茶な時間制限6時間!一人分を3時間!!!
もうこうなったらやるしかありません。

ご夫婦の洋服をほとんどおいはぎ状態で頂き、思いつくままBawくんに指示、
同時に自分も作業進行。

ある程度、形を頭にイメージしてBawくんに指示していたつもりが
すぎていく時間と共に眠気に邪魔され順当に指示する事もままならなくなってきました。

「そうだ!さっき買ってきてもらったドリンク剤!!!」
頂いた袋から取り出すと
なんと!ラベルには黒いガムテープがべっちゃり!

テレビだからスポンサーさんとかの関係で仕方がないのだけれど
実はわたし、ローヤルゼリーアレルギー。
アレが入っているドリンク剤は飲むと

頭はポーっ、身体は蕁麻疹というまずい事になってしまうのです。

んん〜、入っているかどうかわからない。飲むべきか飲まざるべきか?
「今もボーっとしているのだから飲んでしまえ!効くかもしれないし!!!」
グビッと飲んでしまいました、、、。

女性から男性の改造がほぼ終わった頃、「?」身体に異変が。
頭が派手にポ〜〜ッとして星が散り、おへそのあたりも痒くなってきたのです。

Bawくんに「ローヤルゼリーにあたった・・・。」とつぶやくとBawくんすかさず、
「チーフ、休んで来たらどうですか?」
ん 〜、ほんと頼もしいよ、ありがとう!と私はトイレへ薬を塗りに駆け込みました。

時間は刻一刻とすぎていきます。

とにかく私の頭が不発だった為、
作業の進みも遅れてしまい予定の70%位しか出来ずにタイムアップ。
何とか形には出来たけど男性から女性の改造が未完成でした。
結局腰に巻いて出てもらったダンガリーでジャケットを作る予定
だったのに間に合わなかったのです。


決勝ラウンド、のテーマは
“実際にお店にありそうな、本当に街で着て歩けそうな”
カジュアルな洋服。
元々のペアルックっぽい感じを下手に壊さず、手を入れすぎずに
元アパレルのバイヤーとして、未完成ながら精一杯頑張ったこのラウンド。
制限時間は6時間・・・出来あがった洋服達がこれ。


 

いよいよ
オーラス、決勝審査を残すだけ、
もう充分、私達らしい仕事は出来ました。
結果はどうあれ大満足です。


決勝審査:審査員は7名、電光掲示板に合計点数を一斉表示。



この時はもう、疲労とアレルギーの諸症状で立っているのがやっとの状態でした。
審査が出るまですごく長く感じました、実際は一瞬だったはず。

・・・・・、

点数が出ました!
「優勝は篠原栄子さん!!!」有志さんのナレーションが入ります。

篠原さんだ!
彼女は、細かな仕事を、時間配分と天秤にかけずに行う職人さんとして
とても見習いたい、良い風にキャリアを積んでああなりたい!と
思わせてくれる作業を見せてくれた人で、私も心のそこから喜んでしまいました。
結果:小宮52点 篠原62点 見崎59点


私達は決勝進出で終わりました。

そもそも
「このハイレベルのなかでどこまで通用するか?」
という、力試し部分も多かったこの番組出演、

すごく勉強になり成長する事が出来たと思っています。

リフォームやオーダーという地味ながら値段は高い
いう業界にも、私達のような

センスと機能性の両立 
という
コンセプトを持ったお店もあるんだ、と、
これを見て思ってくれる人がいたら私達にとってはとても嬉しいことです。


最後までツラツラ読んで下さいまして本当に有難うございました。

メイプルハウス 小宮 仁悠美の
「ファッションリフォーム王」どたばた奮戦記おしまい。
 



 
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