Maggie's J‐POP論

その8 元を取るぜぇ!

タイトルから言って「何だろう?」と思われるでしょうが,要するに「元を取れるアルバム」の紹介です。前からこのコーナーなどで書いていますが,基本はオリジナルMDを作るためとはいえ,月に数枚ペースでCDを購入しています。シングルならば1〜2曲で1000円ですが,アルバムだと十数曲入りで3000円もします。買わずにレンタルで済めばそれに越したことはないわけですが,そうも行かずに買ってしまうこともある。すると,買ったからにはできるだけ元を取りたい――すなわち,できるだけMDに曲を入れたいのです。

「このアーティストなら何でもいい」から「あくまでこの曲がいい」に嗜好が変わっている昨今では,1人(1組)のアーティストからそんなに“私好みの作品”が出てくるとも限りません。いや,むしろ私の好み自体が固定しているとも言えますから,これは言わずもがなワガママな欲求です。
加えて,こんだけワガママなことを言いつつ,できるだけ安上がりにもやりたい。真の理想は,レンタルで借りたCDからたくさん“私好みの作品”が出てくることです。そういう作品にめぐり合うこともたまにありますけど,大抵1泊2日で借りているレンタルでは,聴いている余裕が限られることもあります。基本的に“延滞”をしない人間ゆえ(当たり前だ),それによってホントは“入れてもいい曲”があったのに,聴き損ねていたことも何度もありました。

さて,いろいろと書きましたが,以下に挙げる5枚のアルバムは,上記のような経緯で買ってしまったアルバムの中で,これまた上記のような定義(?)により「元が取れた」と勝手に思っているアルバム5枚です。赤字はアルバムのみの収録(以下「アルバムチューン」という)で,自分が作ったMDの中に入っている曲です。
また,下記のアルバムに先だって,シングルのとき,もしくは他のアルバムなどですでにMDに入れたものも当然出てきますが,これらはピンク字で表しています。( )内はリリース年と,全曲中何曲をMDに入れたかの率です(赤字ピンク字/全曲)。

ちなみに,全部で何曲入っているかを問わず,「1枚のアルバム中で何曲MDに入れられれば元が取れたか」という目安ですが,これはアルバムチューンのみでカウントするということになります。すなわち赤字のみです。ピンク字の曲はすでに1回別のMDで使っているからで,これらを省いたうえで新たにMDに入れることになるからです(ただし,年に数回作るバラードセレクションについてはこの限りではありませんが,そのことはまた別の機会に書ければと思います)。
で,結論としては,1枚のアルバムでアルバムチューン(=赤字)が3曲MDに入れられれば上出来です。2曲でもやむなしです。なので,以下のアルバムのように,4〜5曲もあれば「完全に元は取れた」と言えるでしょう。ただし,言わずもがな“好み”で大きく左右されるものなので,念のため。

@CHEMISTRY『One×One』(2004,15曲中10曲。.667)
(収録曲)Intro/Us/YOUR NAME NEVER GONE/my Rivets/This age/Bound for Identity〜dear friend〜/interlude/meaning of tears/Ordinary hero/Now or Never/So in Vain/赤い雲 白い星/interlude/アシタヘカエル/いとしい人
→このアルバムは,ある意味脅威です。イントロやインタルードを除けば,もっと率は上がるでしょう。今年出たオリジナルアルバムの中では傑作の1枚です。ちなみに「Now or Never」は,オリジナルMDにおいては,コラボしたm‐floのバージョン「Astrosexy」として入っていますが,中身はまったく同じです。JRのCMソングになった「Bound for〜」がどうしても早く手に入れたくて,レンタルを待たずに買ってしまったのですが,一番良かったのはダイハツのCMソング「Ordinary hero」でしょうか。
でも,何でインタルードなんてわざわざ入れるんだろ,この人たちって。あくまで“声が勝負”の人たちなのに,それがちょっとムダなような気がします。それと昨年夏,過去のヒット曲のリミックスアルバムみたいなのが出ましたけど,ああいうのも何かいけ好かない。それに入っていたうち「B.M.N(BIG MAN,NOW)」「明治チェルシーの唄」「最後の夜」はMDに入れましたが,この3曲を今年まであえて引き伸ばしてでも,すべて歌入りで勝負するくらいのことをしてくれてもいいのにと思います。

A杉山清貴&オメガトライブ『THE OMEGA TRIBE』(2004,16曲中10曲。.625)
(収録曲)SUMMER SUSPICION/LIGHT MORNING/ASPHALT LADY/SATURDAY'S GENERATION/君のハートはマリンブルー/SAIGO NO NIGHT FLIGHT/RIVERSIDE HOTEL/Twilight Bay City/ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER/TOI HITOMI/SCRAMBLE CROSS/THE END OF THE RIVER/ガラスのPALM TREE/夕凪通信/君はIN THE RAIN/サイレンスがいっぱい 
→このアルバムは,率でこそ@に劣りますが,アルバムチューンは最多なので,元はもっとも多く取っていると言えますね。いずれもテレビやラジオで結構聴いた曲ですけど,実際身近に聴いてみたいと思って“入門編”的に買いました。オンタイムではなかったので,実際身近に聴いたのはこのアルバムが初めてで,こんなに彼らがいい曲を歌っていたのだなと改めて知らされました。といっても,シングルについてはバンドメンバー以外の作家の提供ですが。
大好きなのは「君のハートはマリンブルー」「Twilight Bay City」「ガラスのPALM TREE」の3曲です。今聴いてもダサさはないです。加えて,これは上記に入ってはおらず,杉山氏が昨年ソロで出したアルバム『島からの手紙,海からの返事。』にライブバージョンで入っているやつですが「First Finale」も好きです。「First Finale」はぜひオメガトライブバージョンでも聴いてみたいですね。

B桑田佳祐『ROCK AND ROLL HERO』(2002,13曲中6曲。.462)
(収録曲)HOLD ON(IT'S ALRIGHT)/ROCK AND ROLL HERO/或る日路上で/影法師/BLUE MONDAY/地下室のメロディ/東京/JAIL〜奇妙な果実/東京ジプシー・ローズ/どん底のブルース/夏の日の少年/質量とエネルギーの等価性/ありがとう
→ちょっと前のアルバムですが,2002年のみで言えばこのアルバムが最高傑作でしょう。過去のアルバムと大きく違うのは,バンドスタイルがしっかりしていることだと思います。1枚目の『KEISUKE KUWATA』は,仲間数人でコツコツ作業していくようなアルバムでしたし,2枚目『孤独の太陽』は彼のアコギと叙情性のみが際立っていましたし。
このアルバムでは「BLUE MONDAY」なんて,典型的な“バンドのための曲”って感じで,一番好きです。特に,昨年出た彼のライブビデオ(DVDはないので)『けいすけさん,ビデオも色々と大変ねぇ』では,この曲の演奏が最もカッコよかったです。あと,まあタイトルチューンもよかったかな。「質量〜」については,元から知っている知識と,どっかから引っ張ってきた知識をすべてぶちまけたような歌です。たしか,1枚目のアルバムのラス2のタイトルが「殺意と愛撫の交差点」ですが,それとのつながり・関連性なんてのは……別にないか(笑)。

C宮沢和史『SPIRITEK』(2004,11曲中5曲。.455)
(収録曲)Pulse/あの海に帰りたい/SPIRITEK with bird/誰よりも遠くから/僕の部屋で暮らそう/2 continentes/夢の旅人/モクレンの花/ピアノ/何もいらない/愛は私の胸の中
→他の人に提供した曲をセルフカバーしたアルバムです。birdと歌っているタイトルチューンが衝撃的で思わず買ってしまいました。強いて難癖をつければ,この曲,宮沢和史氏の歌い方とちと合わないような気もしないでもないですが……後に,いま通っているレンタル屋に置いてあったので,ちとガッカリした部分もありましたが,元が取れたのでOKです(笑)。
あと「あの海に帰りたい」は,思いっきり沖縄の曲です。提供した相手も沖縄の人ですね。実は2月末に,この曲を聴きながら久高島に渡ったのですが,「これから沖縄の原風景を見に行くぞ」って雰囲気が出ていていい曲でした。あと「何もいらない」はシンプルなピアノの弾き語りバラードですが,夜のシーンとした空気の中で聴きたい曲です。

DJUDE『Highway Child』(2003,12曲中5曲。.417)
(収録曲)ARABIA/Wild Bebi/エメラルド/アクセル/Diduri Didura/新しい風/スリーピングチャーリー/海水浴/Chopper/ピストルバード/葉っぱのおうち/放浪
→このアルバムはインディーズのみの販売なので,レンタルはされていません。なので買ったというのもあります。あと,ヴォーカルの浅井健一氏について,BLANKEY JET CITY時代の最後の最後しか知らない人間ですが,そのころに出たシングルが気に入った経緯もあって買ったというのもあります。サウンドについては,いい意味で“セピア色”な感も抱かせます(歌詞カードがセピア色だからかもしれません(笑))が,それが衝動的な激しさでカバーされていると思います。
ちなみにこのアルバムでは「Wild Bebi」が一番好きです。それこそ,既述の衝動的な激しさがもっともよく出ている曲で,高速をかっ飛ばしながら聴きたい曲です。あと,シングルにもなっている「海水浴」は,フランス映画に出てくる海の情景を思い浮かばせてくれるエレキギターの切ない音が印象的です。(おわり)

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