Maggie's J‐POP論

その21 私をコンサートに連れてってG
     ―MISIA「THE TOUR OF MISIA 2007 ASCENSION
                         @横浜アリーナ」2007.2.3―

彼女のアイテムって,実はシングル数枚持っているだけなんですよね。アルバムはまったく持っていない。だから,行くことにしたのはいいけど,多分知っている曲は少ないんだろうなと思っていました。にもかかわらず,あいかわらず予習はせずにぶっつけ本番で臨むことにしました。

まずは『ESCAPE』『つつみこむように…』『陽の当たる場所』などが入ったダブミックス入りメドレーを披露。彼女のものすっごいハリのある声が,これでもかとばかりに館内に轟いていました。前半はDJとダンサーだけを従えたダブミックスメドレー,後半はバンドも加わったメドレーに。歌だけなのかなと思ったら,結構バックダンサーと一緒に踊っていました。
MISIAというと,その声を生かしたバラードに目が行きがちですけど,私個人はアップテンポなノリのいい曲のほうが好きだったりします。そういった意味では,ダブミックスはコンサートで乗るのには特に効果的だったんじゃないかと勝手に解釈しています。“MISIA素人”ゆえにどうしても期待してしまった『つつみこむように…』については,バンドによる演奏でしたが,曲の途中から入り込む構成立て。あの曲をバンドでどう演奏するのか注目していましたが,CDのオリジナルバージョンとは一味も二味も違ういい味を出していたような気がします。

中盤は2月7日発売で,ライブツアータイトルにもなっているニューアルバム『ASCENSION』から数曲とシングル『眠れぬ夜は君のせい』など,バラードを中心に披露。全体を通して知らない曲が多いなーと思っていましたが,それは予習うんぬん以前にまだ発売されていないアルバムからの曲だったゆえに仕方がなかったわけですね……ま,今はネットで試聴ができますから,予習しようと思えばできたわけですけど,家のパソコンは試聴できるようなセッティングしていないし,会社のパソコンはセッティングしているけど,まあそこまで関心があったわけでもなく……でも,炎が上がるステージ上でピアノの弾き語りオンリーで,それこそ炎が燃え上がるように歌った『砂の城』は素晴らしかったです。彼女の声域の広さをじっくりと味わえる1曲だと思います。その他にも聴いていていい曲ばかりだったので,間違いなく,アルバムは購入します。ただし,コンサートとしては「スローバラードで時間を取った」印象が残って,この辺り少し冗長になった感はあったかも。あくまで素人の意見ですが。

MCでは,初めて彼女の素の声を聞きました。デビュー当時,10代ということがある意味衝撃的だった彼女も,かれこれ28歳になったわけですが,その年齢を感じさせないくらいにすっごく可愛らしいキューティーな声をしていましたね。愛内里菜嬢ほどの激しいギャップはないけれど,それでも歌のときに腹から出す声の迫力との差は歴然。
2回に分けてMCをやっていましたが,1回目はアルバムへのこだわりを話し,「みなさーん,私がマイクを向けたときは“ASCENSION!”って言ってください!」とか言っていました。ステージ下の大道具の人やバンドメンバーに始まって,あちこちの観客などに「みんな“ASCENSION”してますかー!?」と振ると,「ASCENSION〜!」なんて反応していました。訳せば「上昇していますか?」となるけど,要は「テンションが上がっているか?」ってことか。
2回目のMCでは,いじめ問題や若い人のリストカットなどについて彼女なりに思うところがあったらしく,それを語りながら途中で感極まった感じで声に詰まるところがありました。あとは,赤ん坊が母親のお腹の中で笑顔の練習をしているという話を聞いて感銘し,その頃にたまたまディズニーから1曲歌ってほしいというオファーがあって,「笑顔」というテーマで偶然つながったこともあり快諾。そこから生まれたのがディズニーシー5周年記念ソング『SEA OF DREAMS』というエピソードを,楽曲とともに披露していました。

後半からは再びダブミックスメドレーに。『Everything』『心ひとつ』『飛び方を忘れた小さな鳥』など,本来はバラードである曲をすべてダブミックスでノリのいい曲に見事変身させていて,中盤のやや冗長になった部分を取り返していたんじゃないかと思います。〆は私がMISIAのアップテンポな曲で一番インパクトがあって好きな『Into the night』。サビの「Into the night〜♪」のところでは,フレーズに合わせてみんなで両手を挙げていました。なるほど,どこのコンサートでもそういうお決まりのパターンってのがあるもんなんですね。アンコールは何の曲だったか忘れたけど,やっぱりノリのいい曲を中心に披露していました。それよりも,アンコール待ちのときになぜかウェーブが発生して,何度となく場内を往復していました。これもまたMISIAのライブ名物だったりするのかしら? 
最後の最後まで彼女の声はかすれることを忘れたかのように,腹の底からしっかり出ていて声域も豊かで素晴らしかったですね。曲名はかように分からないものばかりだったけど,ただ聴いているだけでもしっかり伝わってきていました。これぞライブの真髄ってところかな。それはまた,CDという12インチの円盤の中に収めるには余りある彼女の魅力が満載の2時間45分ではなかったかと思います。(おわり)

戻る