Maggie's J‐POP論

その19 私をコンサートに連れてってE
     ―今井美樹「20th anniversary Premium Live at Park Tower
       @東京プリンスホテルパークタワー」2006.12.25―


立食ビュッフェでメシを食った後(「管理人のひとりごと」Part103参照)で,いよいよコンサートの時間。ビュッフェのある「ボールルーム」から「コンベンションルーム」まで移動することになりますが,はて,ホテルにはつきもののクロークに荷物とジャンパーを預けたままにするかが,移動して一旦席についてすぐに頭をよぎった心配事でした。
立食ビュッフェではたしかに荷物は邪魔になってしまいますが,コンサートでは置き場所にゼータク言わなければ,イスの下とかに置くのは自由。皆さん,ほとんどがビュッフェからそのままの格好で移動していましたが,どっちみちコンサートが終わればクロークが混雑することは確実。開演の20分以上前に席に着いていた私は,一度荷物を取りにクロークに戻り,改めて入場することになりました。荷物を持っている人は,実質素通りできる荷物のない人に対して,カメラや録音機チェックのためにしっかりと荷物チェックされてしまいますが,カバンの中を見られるだけで,上着に入れとけばバレない…って,別に私はカメラはケータイについているっていえばついているけど,わざわざコンサートを撮りたいとも思わなかったですし,ケータイ自体はジャケットの中に入れてしまえばスルーパス。いずれにしても,クロークに荷物を預けていた人たちは,後で大変だったんじゃないでしょうか。私はコンサートが終わったらスタスタと帰れましたけど。

さて,私はぴあでチケットを買っていて,整理番号が「1」というなかなかもらえなさそうな番号をゲットしていました。はて,1番というからにはものすごいいい席…でも,あんまり今井氏と近かったらどーしようとか,しょーもないことを考えていましたが,いわゆるプレイガイドで買ったチケットについては,ビュッフェの入場前に指定席と引き換えとなります。そこでもらった番号は「3―1」というものでした。で,実際座ったのは前から3列目の1番左端。ステージを斜め右前に観る格好になります。もっとセンターに近いほうがよかったけど,端っこだから荷物を脇に置くことができた意味では,よかったっちゃよかったのかな。トータルで750席ほど。イスがただズラッと並ぶ様は,いかにも即席会場っぽい感じがしました(笑)。
19時55分,コンサート開始。ステージの赤い幕が左右に開くスタイルだったのですが,完全に左右に開くというよりは,三角状にドレープして脇が残る感じで幕が開いていたので,見様によっては高級ホテルのコンベンションホールというよりは,地方のちょっと大きめなホールっぽい安っぽさを感じたりしました。左端だったから,ステージの右側のキーボードの人とか観づらかったしね。ま,バックのミュージシャンを見ようって人はそうはいないだろうけど,せっかくビュッフェからコンサート代まで込みで2万3000円という大金をはたいているのだし,全貌が見られるに越したことはなかったですね。

オープニングは初出場の紅白歌合戦でも歌う予定の『PRIDE』。1番が歌い終わると拍手が起きましたが,まるで演歌のリサイタルみたいな様相を呈してきました(笑)。演歌なんか,よく1番が終わるごとに拍手が起こる。あれと同じ現象です。プラス歌い終わってシメにギターソロがあるのですが,すっかり歌が終わりだと思って拍手してしまった人間は私以外もたくさんいたりして……。
次いで『Boogie‐Woogie Lonesome High‐Heel』『雪の週末』などスローな曲が続き,ゆったりしたクリスマスタイムに。みんなでスタンディングでゴーゴーなんてものはあるわけもなく,ひたすら座って聴いているのみで,むしろ少しばかり緊張した雰囲気になっていたような。一通り歌い終わって今井氏が開口一番「メリークリスマス!」と言っても,ただ拍手で返すのみ。ますます演歌のリサイタルの様相になるんじゃないだろうか。それを察したのか,今井氏が「もっとリラックスして聴いてもらえるかと思ったら,結構緊張した感じになっていますね。もしかして私のせい?」とか言っていました。
MCが終わって次はメドレー形式で懐かしい曲特集。クリスマスだしホテルだし,アップテンポな曲はやらないのかなと思っていましたが,
『雨にキッスの花束を』『オレンジの河』『DRIVEにつれてって』『幸せになりたい』など,アップテンポな曲も披露。これらを歌った後で今井氏,若干息が切れていました。「20代のころの曲はやっぱり20代のときでないとね。いま43歳だから。怖いものみたさで入れてみました」とは今井氏。途中から手拍子が起こっていましたし,ステージを左右に動きながら今井氏が手を振ると,振り返すファンも出ていましたが,さすがに誰も立つことはなかったです。やっぱり普通イメージするコンサートとは一線を画している感じでした。

今井氏がかねてからラブコールを送っていたというピアニストによる弾き語りが途中で入り,次いで先日出たアルバム『マイルストーン』から
『二十歳のころ』『PIECE OF MY WISH(ピアノバージョン)』『年下の水夫』が披露されました。『二十歳のころ』はムッシュかまやつ氏のカバーで,「出会ったのは十何年前。いつか歌ってみたかった』とは今井氏。『PIECE OF MY WISH』は2004年暮れのスマトラ沖地震のとき,「自分に音楽を通して何かできることはないか」と自問した結果,この曲を歌うことで誰かに何がしかを伝えることができるのではないかと感じたのだそうな。『年下の水夫』は歌詞を見てすっごく印象に残り,この曲があったからアルバムができたとのこと。
『微笑みのひと』で再びアップテンポな曲に手拍子が起こったりして,『GOODBYE YESTERDAY』
がシメ。この曲,好きですね…って個人的な感慨はここでは省略します。この曲を生で聴けただけでも2万3000円払ったかいがあった…かどうかは分からないけど,改めて胸に染みました。歌詞が特にいいんだよな。

アンコールも一応あって,
『瞳がほほえむから』『遠い街から』の2曲。約2時間のコンサートは気がつけばあっという間でしたが,全体的にはやっぱりゆったりした流れだったかな。今井氏のMCに裂かれた時間も結構多かったです。曲が終わるごとに水飲んでたしね。“プレミアム”だしホテルだし,次から次へとめまぐるしく進むよりは,メシの後で聴く分にはちょうどよかった2時間だと思います。あとは,楽器の音が今まで以上にはっきり聞こえていましたね。中でもドラムのシンバルの音なんか,ものすごくクリアでしたよ。小さいキャパなのもあったのかな。(おわり)

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