Maggie's J‐POP論

その14 私をコンサートに連れてって@
    ―氷室京介&GLAY「SWING ADDICTION@味の素スタジアム」2006.8.5―


行ってきました。コンサートって6年ぶりだったので,売店がすごく混雑しているんじゃないかとか,持ち込みのこととか気にして,食い物は飛田給駅前の「オリジン弁当」で,鶏の唐揚げとフライドポテトのおつまみとシーチキンのおにぎりを買い込んでいきましたが,開演1時間前だとさすがに大混雑というほどではなかったです。グラウンド上に設けられたアリーナ席だと,下の芝に配慮して水以外の飲食物が持ち込めないそうですが,スタンド席はその点,持ち込みの制限なし。でもって,多分外からも持ち込みできたんでしょうね,ペットボトルも。だって,スタジアム内の売店で売られているソフトドリンクってペットボトルばっかだったんだもの。しかも,外で買うよりちゃっかり100円高かったりして。でもって,アサヒがスポンサーなものだから,ビールはスーパードライ,お茶は十六茶……ま,それはいいとして,多少持ち込みについて気持ちが“構えていた”だけに,ちょっと拍子抜けしました。

今回座った場所ですが,簡単に言えばステージから見て最後方から4番目ぐらいのスタンド席。ほぼ真正面にステージは観られましたが,アーティストは言わずもがな,米粒程度しか観られません。大きな画面があるとはいえ,ステージ脇に二つあるだけで,私が座った位置からではそれほどはっきりとは見えませんでした。ただ,大きく屋根が覆っていたので,どっちみち心配はなかったとはいえ,雨の心配がまったくいらなかったですし,また,団扇を持っていかずに後悔したのですが,これまた団扇がいらないくらいに結構風が入ってきていました。さらには1段1段の段差が結構あるのと,偶然でしょうけど,私の前の3席が空席だったもので,座って観ることができたのはよかったです。アリーナ席だとステージには近いけど,前の人が立ったらば自分も立たないと観られないでしょうからね。座席そのものは快適なほうだったと思います。

で,ステージですが,タイトルから言ってどういうステージになるのだろうかという感心がありました。つい最近,2組でコラボして『ANSWER』(2006)というシングルを出しましたけど,はて氷室氏のバックでGLAYが演奏して,氷室氏の曲がメインになるのか。あるいは2組が別々にやって,最後の締めに2組でコラボするのか……で,結局は後者でした。ま,当たり前か。前半はGLAY,後半は氷室氏が出てきて,最後に2組で上記シングルと,「もう1曲行っちゃいますか〜」って興奮のノリと,「夏だから」というベタなノリで,氷室氏の『SUMMER GAME』(1989)をジョイントして終演というものでした。
トータルでは18時10分過ぎに始まって20時半までと,2時間ちょいでしたか。氷室氏にあこがれてバンドを始めたいきさつもあってか,GLAYのヴォーカル・TERU氏が「氷室さんのファンの方にもこうして来ていただいて感謝している」と謙遜していたのが印象的でした。とはいえ,氷室氏もジョイントコンサートは人生初めて。「緊張してここ1週間くらい眠れなかった」そうです。そりゃ,そうかもしれません。みんながみんな自分だけのファンというわけでもないですから,下手なことしてヒンシュク買う危険性だってあるわけでしょうしね。

ただ,結論から言って,個人的には残念ながらつまらなかったです。氷室氏のほうが好きなので…というか,厳密には「かつては好きだった」というべきかな。とにかくアルバムとかシングルとか,昔のヤツが聴ければいいなと期待していったのですが,十数曲歌った中で歌えるぐらいに知っていたのはオープニングの2曲『KISS ME』(1992)と『LOVE&GAME』(1988)だけ。後は最近の曲ばかり演奏していましたが,特に昔のファーストアルバム『FLOWERS FOR ALGERNON』(1988)から5枚目の『SHAKE THE FAKE』(1994)あたりまでが好きだった私にとっては,何とも不満な構成立て。みんなタテノリで立ってタイトル通り“スイング”していましたが,私はほとんど座って観ていました。そのために前の3席が空いていたのか(笑)。氷室氏のロックを「ヒムロック」と評することがありますが,まるで昨今のロッテみたいにつまんない。「ヒムロッテ」…って,ただこれが言いたかっただけだったりして(笑)。
もっとも,私が前もって曲を“予習”していなかったのもいけないんですけど,最近の氷室氏の曲って,マンネリ化して好きじゃないんです。上記『FLOWERS〜』のころのポップさがなくなって,やたらギター色が強くて重い感じがするのは私だけ?……ま,でも上記のオープニング2曲は救いだったかな。まさかボウイはやらないとは思っていたし,現にやらなかったけど(笑),GLAYの番が終わってステージが一旦暗くなって,間髪置かずに氷室氏の登場を告げるインストが流れてきて,照明がパッとついてスタンドがドキドキワクワクしてきた中のオープニングで『KISS ME』のギターが聞こえてきたときは,テンションがやっぱり上がったし,そのまま次の『LOVE&GAME』へと流れるように展開していった点は盛り上がることができました。

対して,失礼ながらあまり期待していなかったGLAYですが,こちらもオープニングの『ROCK'N'ROLL SWINDLE』(2006)と『誘惑』(1998)のアッパーチューンでつながる展開はよかったですね。GLAYってシングル曲ぐらいしか知らないし…と思っていたけど,実は氷室氏よりも知っている曲が多かったりして(笑)。氷室氏がまったくMCなしで歌っていたのに対し,2度MCを入れたために9曲に留まりましたが,ほとんど知っている曲だったですね。『HOWEVER』(1997)や『SOUL LOVE』(1998)といった昔のヒット曲に,最近出したシングルから3曲と,うまく楽曲を新旧凝縮したなっていう印象を持ちました。
MCでは高校生のときにバンドを結成して,いままで18年間どうのこうのという話になって,この仲間に出会えてどうだとか言っていたので,「え,解散しちゃうとか?」と邪推してしまいましたが,単なる感謝の印だったみたい(笑)。「今までで最高のライブになる」と宣言していましたが,「でも,どうせそれっていつのライブでも言ってるんじゃないの?」とこれまたひねくれつつも,繰り返しますが,いい感じで凝縮されていました。多分,ファンの数としてはGLAYファンのほうが多かったのかもしれないですね。タテノリの鮮やかさ・まとまりはGLAYのほうがありましたからね。

ちなみに,上述の『ANSWER』ですが,これまた個人的な印象ですけど,“世紀の夢のコラボ”みたいな見出しが踊ったわりには,「なーんだ,この程度か」って感じです。曲調は完全にGLAYの曲調だけど,TERU氏がむりやり氷室氏を立てて一緒に歌ったり,バックコーラスしているって感じ。それだったらば,いっそ『SUMMER GAME』のほうを前面に出したほうがカッコよかったかも。2人で半分ずつヴォーカル取り合ってね。

帰りはステージのプロックごとに退出する“規制退場”というヤツで,20分ほど席で待ってから退出。来るときに大混雑にもまれてきた京王に帰りも乗るべきか,はたまた新宿まで出ているというバスに乗るべきか迷って後者にしたところ,この新宿行きのバスがものすごい長蛇の列。はて,係員いわく一時は「もしかしたら全員乗れないかもしれません」というありさまでした。近場の調布駅とか三鷹駅に行くバスのほうがすんなり出ていましたが,その中でもひたすら座席に余裕を持ったまま停まっていた多磨駅行きのバスに衝動的に乗ってしまいました。実は多磨駅からは徒歩でも20分あれば来られる近さであり,双六で喩えれば「サイコロで1を出したような進路」だったと気づいたのは,多磨駅に着いて西武線の路線図を見たとき……しかも,パスネットが使えないしね。西武多摩川線って。結局,武蔵境駅までこのローカル線に乗って,武蔵境駅からは中央線の各駅停車で高円寺駅へ。高円寺駅から赤羽駅まで行くバスがあって,それに期待したのですが,すでに終車。なので,タクって3500円出して家路に着いたのでありました。環七空いていたからパーッと帰れてよかったけどね。(おわり)

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