Maggie's J‐POP論

その10 いまさら懐かしいボウイ

もはや“伝説のバンド”と銘打たれるようになって久しい“ボウイ”のCDが,2005年2月16日,リマスタリングされて発売されました(と書くとアップの日時と矛盾しますが,前日に店頭にすでに出ていて一応買っているので)。とりあえず『JUST A HERO』『BEAT EMOTION』(オリジナルの発売はともに1986年)の2枚を買いましたが,実にいいです。やっぱり80年代音楽が好きってのは,それだけ私もオヤジってことでしょうか(笑)。
例えば,現在の20代前半とか半ばっていったら,ボウイが流行ったときって5〜6歳とかだもんな。さすがに小学校に上がるかどうかなのに,オンタイムでボウイは聴かないだろう(笑)。私だって,オンタイムギリギリですからね。当時は中学2年でしたか。解散した87年の夏にようやく初めて聴いたくらいだからねぇ。

ええ,もちろん導入は1987年の『MARIONETTE』ですよ(笑)。それ以前なんて,まったく興味がなかった。その『MARIONETTE』だって,オリコンで1位になったからとりあえず聴いたって感じで,本気で好きじゃなかった。周囲がみんな好きって言ったのに合わせていた部分があった。猫も杓子もボウイって感じだったし,みんな狂ったように彼らの楽曲をコピーしていましたね――そういや,『わがままジュリエット』ではギターの布袋寅泰氏による“ボワー”って感じのギターの出だしが印象的ですけど,その音は彼にしか出せないから素晴らしいって誰か言ってたな……ま,そんなこんなありましたが,多分私がボウイをちゃんと好きになったのは,90年代半ばあるいは後半くらいかもしれません。
たしか,1998年の今ぐらいに『THIS BOOWY』ってベストが出たのですが,そのころには確実にファンになったと言えるでしょう……いや『LAST GIGS』『871224』ってライブビデオが復刻されて,それらも買いましたけど,いずれも2001年とか2002年の発売ですから,あるいは様々なアイテムをそろえるってことでいくと,21世紀に入ってから「真剣にファンになった」ということなのでしょうか?(笑)

ちなみに,一番好きなのは『JUSTY』って曲でしょうか(『JUST A HERO』『THIS BOOWY』収録)。実にカッコいいです。オープニングのエレキギターのカッティング…というのでしょうか。あとは,間奏のフラメンコギターみたいなのが流れた後の高音のエレキギターとかね……うーん,いまいち音楽の用語には疎いので表現に乏しいですねぇ(笑)。あとはライブ版でいくと,『LAST GIGS』で演奏していた『DRAMATIC?DRASTIC!』かな。アルバム『BEAT EMOTION』では,中途半端なテンポでかつ打ち込みっぽいサウンドになっていますけど,ライブ版は実にシンプルでソリッドなバンドサウンドになっています。オープニングの『B‐BLUE』からの“つながり方”も実にいいですし。

ボウイの楽曲は,いまさら書く必要もないかもしれませんが,ヴォーカル・氷室京介氏が作詞,上述の布袋氏が作曲と編曲っていうスタイルが多いですね。たまにそれぞれが作詞・作曲両方をやっているのもありましたし,あとはベースの松井恒松氏とドラムスの高橋まこと氏が,何曲かで作詞しているってとこでしょうか。
で,氷室氏と布袋氏の曲で顕著な違いがあると思うのですが,それは氷室氏が「ストレートなロック志向」であるのに対し,布袋氏が「遊び心ふんだん」という点。それが一番顕著に表れていると思ったのが,布袋氏が作詞・作曲をした『スーパー・カリフラジスティック・イクスピアリ・ドーシャス』という曲(『BEAT EMOTION』収録)。聴いていたたけば分かりますが,もう布袋氏は完全に遊びまくっていますね(笑)。およそボウイには似つかわしくない曲ですけど,このヘンの“路線の違い”が,最終的な解散の原因なのかなーって気がしましたね。

その後,2人ともソロで活躍していますけど,氷室氏は相変わらずストレートなロック志向の作品,布袋氏は奥方様の『PRIDE』(1996年)を始めとする一連の楽曲,はたまた藤井フミヤ氏の『ハートブレイク』(1995年)など,ロックとポップの融合って感じの作品が多いです。
個人的には「天性のメロディメーカー」という意味では布袋氏に軍配でしょうか。何たってミリオンヒットですから,『PRIDE』は。あと,自身の『POISON』とか『スリル』(ともに1995年)なんてのも大ヒットしましたけど,ストレートなロックではなくて,どこかポップさ・キャッチーさがある。後者は“BABY BABY…”ってフレーズ,一時はすっかり江頭2:50氏のテーマソングになってました(笑)。この曲と同時に登場!みたいな……対して,氷室氏が人に楽曲を提供したのは,反町隆史氏の『FOREVER』(1997年)くらい? こちらは,ものすごく分かりやすいロックでしたよね,たしか。
ちなみに,氷室氏は1987年の,これまた今ごろ出た小泉今日子嬢のアルバム『HIPPIES』に『3001年のスターシップ』という楽曲を提供していますけど,この曲をセルフカバーしたヤツが『LOVE&GAME』って曲ですね。ソロデビューアルバム『フラワーズ・フォー・アルジャーノン』(1988年)に入ってます,たしか。多分,知っている人は知ってるんでしょ? よく分からないけど。(おわり)

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