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初めての通知表
 てっちゃんが初めて通知表をもらってきました。これに先立って、学期末の授業参観の後の懇談会では通知表の説明がありました。評価は2段階、「よい」或いは「できる」と「もうすこし」。そして先生からは「通知表の評価の仕方については、いろいろな考え方がありますが、この時期は基礎学力をつける大切な時期なので、できないことはできないと厳しく評価します。出来ないことをあやふやにしてしまうのは、これからの積み重ねの土台をいい加減にしてしまうことになりかねないので、ご理解ください」と言うお話しがありました。もっともだなと思う一方で、てっちゃんの様な子を評価する先生は辛いだろうなと思いました。

 そして、いよいよその通知表を受け取りました。
ドキドキしながら開いてみると「えっ! すごい、てっちゃん!」
とっても立派な通知表でした。評価項目は32項目、その内「よい」或いは「できる」が21項目もあったのです! そして先生の暖かいコメントに涙が出てきてしまいました。
 
 詳しい内容は以下のとおりです。
よい もうすこし
1.生活のようす
*友達となかよくできる       
*あいさつや返事ができる    
*人の話しをよく聞くことができる
*チャイムの合図で席につける   
*衛生に気をつけることができる  
 (つめ、ハンカチ、ちり紙など)
*忘れ物をしない            
*机の中や持ち物の整理ができる 
*当番活動(給食、そうじ)ができる
(衛生に関しては、ママが爪を切ってあげるのを忘れてしまった為にも
 うすこしになってしまいました。てっちゃんごめんなさい。他に持ち
 物の整理や当番活動はてっちゃんなら、もう少し頑張れば出来そうな
 ので厳しめにつけましたと言う口頭のコメントを頂きました)注: 文字用の領域がありません!
(先生から口頭で、とても上手にみんなの前で教科書の音読を
 して、みんなに喝采をあびたと言う報告を受けました)
( }でくくってあって以下のコメントがありました)注: 文字用の領域がありません!
「てっちゃんなりに頑張っていました。時計につい
 ては理解していました」
よい もうすこし
「観察記録への記入は出来ませんでしたが皆と同じ
 ように観察しようとしていました」
音楽
*音楽に関心を持ち、進んで音楽
  活動することができる
*明るくのびのびと歌うことができる
*鍵盤ハーモニカや他の楽器を使い
  簡単な演奏ができる
*音楽を聴き、身体表現ができる
よい もうすこし
よい もうすこし
図工
*進んで描いたりつくったりして楽く
  活動することができる
*見たものや思ったことを自分の思いで
  絵に表すことができる
*見たものや思ったことを自分の思いで
  粘土や工作に表すことができる
よい もうすこし
体育
*きまりを守り、誰とでも仲良くし楽しく
  運動することができる
*自分のめあてに向かって進んで
  運動することができる 
*運動の特性に応じた技能を身に付け  ている
  oかけっこ
  o固定施設
  o水遊び
  o鬼遊び

総合所見
1学期前半は、どうなるのかと私も不安な毎日でしたが後半はそんな不安もなくなりました。何事にも一生懸命取り組もうとする、てっちゃんに私も励まされました。多少から回りしても一生懸命が一番ということをてっちゃんから学ばせてもらいました。良い夏休みをお過ごしください。
 こんな立派な成績表をもらってくるのは、これが最後になるかもしれません。どんどん難しくなる学習内容に、てっちゃんがどれだけついていけるのかというと、かなり厳しいものがあります。
 一学期の時点で、てっちゃんは数の概念を殆ど理解していないようでした。毎週通っている大学病院の言語訓練の先生の「てっちゃんにあった学習方法が見つかれば、ひょっとしたらどんどん理解してくれるかもしれません」という言葉に、すこし希望を持っていたぐらいでした。(言語訓練のなかで試行錯誤でその方法を見つけていくそうなのですが、そう簡単に見つかるものでもないそうです) 学校では、理解できないなら丸暗記をさせてしまおうという事で先生が繰り上がりの無い足し算だけの問題集を作ってくださったので、それを繰り返しやっていました。(彼が授業についていけないときはずっとこれをやっていたそうです)

 夏休みに入って、『てっちゃんの近況』に書いたように、ふとした事から彼が数の概念を理解し始めている事がわかりました。明るいニュースではありますが学校の授業のペースについていくのは、とても無理があります。

 それでも、彼のゆっくりした歩みを理解してくださる先生方の協力で、てっちゃんなりに頑張っている事だけでもわかっていただければと思います。             (August.2000)