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てっちゃんがけんかした♪
 お子さんがけんかをして、喜んだことありますか? 
 2歳のお誕生日を迎える頃、ふっくんが生まれるので預けた保育室の保母さんから、てっちゃんの自閉症の可能性を指摘されてから、私たちは、てっちゃんの発達をとても注意深く観察するようになりました。言葉の発達、人とのかかわり、私たち夫婦のあいだで、今日はてっちゃんが、こんなこと言ったよ、とか、こんなことできたよといった会話が増えました。そんな中で、てっちゃんが初めてお友達とけんかしたときに、「今日はね、お友達とけんかできたんだよ」といって喜んだのでした。マーくんにはいつも、お友達とけんかするんじゃないといって叱っていたのに、おかしな話です。お友達とけんかできるというのは、とても大切なことなのだと改めて気付かされたりするのです。てっちゃんが初めて私に反抗したときもそうでした。「てっちゃん、OOOしてちょうだい」といった私に、「ヤダヨ」と言ったのです。マークんや、ふっくんがそんなこと言おうものなら、かっとしてまう私なのに、そのときには思わず顔がほころんでいました。「てっちゃんがね、今日、私に反抗したのよ」パパも、「へぇ〜」といって微笑みました。自分への反抗を子供の発達の段階として素直に喜べるなんて、そうそうできるものではありません。でも、てっちゃんの「ヤダヨ」は、とても愛らしい 「ヤダヨ」であることも事実です。彼の愛されるゆえんでしょうか、悪戯にしても見つかったときのリアクションがとても愛らしくて怒る気を削がれてしまいます。にやけそうになる顔を必死に引き締めて怒らなければなりません。
 てっちゃんは私たちに、心配と裏腹の不思議な幸福感も運んでんでくれるのです。