1998年 11月 4日
 昼、お母さんから手紙を受け取る。また新聞の切り抜きかと思いながら封を開けると、お母さんの文字、しかも「放射線もだめ」と言う文字が目に飛び込む。嫌な予感を持ちながらも子供にせがまれて世話に動いて読めず。子供を昼寝させてから読み始めると、やはり・・・・・始めは事実を現実として認識することを感情が拒否しているという感じ。やがて涙が込み上げてくる。一人では抱えきれない。お母さんに電話したい。でもお父さんが出たら・・・ペンを取ってみる。でも何をどう書いていいか判らない。さんざん迷って、やっぱり朝霞に電話する。運よくお母さんが出て、お父さんは留守との事。声を出すと、もう涙がこぼれる。お母さんは告知から日数が経っているせいか、とても冷静で、まるでよそのご主人の話しでもするように淡々と話す。私も次第に落ち着いてくる。とりあえずは元気で、暫くは様子をみるという手紙の内容を確認するような話だけで電話を切る。また感情がこみ上げてくる。やっぱり一人では抱えきれない。パパの職場に電話してしまう。パパの声が聞こえると、また涙が溢れてくる。やっとの思いで、お父さんの事を伝えると授業が終わったらすぐ帰るからと言ってくれる。電話を切ると子供が昼寝から起きてきて、気が紛れて少し元気が出る。何も手につかないと思っていたが子供には通じないせいだ。子供にぜんまいを巻かれるように動き出す。頭に中はお父さんの事でいっぱいで時々涙が溢れてくるが、ぐっとこらえる。目は赤いし、いつもと違う顔つきのママに子供たちは気付いていたのかもしれない。心なし素直に思ったのは気のせいか・・・・
 いつもより早くパパが帰ってきてくれる。でも、その頃には子供におかげもあって、かなり落ち着いてきていた。パパに手紙を見せて、簡単に説明した後は黙々と夕食の準備。もちろん頭の中はお父さんの事でいっぱい。時々涙が込み上げてきては堪える。御風呂では子供を出した後、一人になると声を出して泣いてしまう。