日本一周の為にやったこと


 

●20、耳をすませばベアリング交換の巻き

 

ヨットに乗るときには、常に耳をすませ!!といわれます。
たとえ港に泊まっているときでも、風が船の上を通り過ぎていく音、マストをたたくロープの音、ギシギシという
もやいロープのキシミ、そしてエンジンの音。常に耳をすませていれば、ほんのわずかな音の変化がアラーム
として船の異常を教えてくれます。とはいっても、俗にいう「達人」や「カリスマ○○」ではないのですから、そう
簡単にわずかな音の変化を敏感に捉えることは不可能です・・・・・が・・・・・、このところ、仕事もせずにヨットに
専念していたからでしょうか?ついにKasayanも音で船の不調を発見することができました・・・・本当はまぐれ?
 

Kasayanのヨットにも小さいながら世界のヤンマーディーゼルが付いていて、風の無いときや入港出航には
小さなスクリューを回して走ります。

 

 

 上の写真はプロペラが取り付けられている船尾部分ですが、船体からステンレスのシャフトが出て、もうひと
つ外側にシャフトを支える部分があってプロペラに力が伝わる構造になっています。このシャフトが船体から出る
部分と、軸受けの部分には2つのカットラスベアリングというものが入っています。ベアリングというとボールが円周
上に並んでいる物を想像してしまいますが、カットラスベアリングとは、筒状の真鍮パイプの内側に、大砲や銃の
銃身のように溝を切ったゴムの内張りをした構造をしています。この溝に海水が流れ込むことによってシャフトの
回転による摩擦を防ぐというもの。
この溝に釣り糸や、塗料、その他のゴミが入り込むと、シャフトの回転によって熱を持ち、シャフトとゴムが癒着、
終いには、真鍮とゴムが剥離してベアリングのゴムがぐるぐると回り始めてしまうことになるのです。
 ところで、Kasayan。二ヶ月ほど前から機走でデッドスローで走るとき、「キュッキュッ」という小さな音がしている事
にきづきました。大きな振動や、エンジンの回転数が上がらないなどの問題はないのですが、妙に気になる。
 そこで、日本一周を目前にした船底塗装のついでに、カットラスベアリングの様子を確認することにしました。

 

 

 上の写真は、取り外した舵とプロペラ付きのシャフトです。カットラスベアリングの様子を見るには、シャフトを
はずす必要があり、シャフトをはずすには、プロペラの後ろにある舵が邪魔になるので舵まで取り外す必要が
あるのです。そして、ベアリングの中を見ると・・・・・。特に大きなゴミが付着しているというわけではないのですが、
一部に塗料とも釣り糸とも判らぬ、樹脂状のゴミが付着していました。
このため、溝内に十分海水が通らず、シャフトとゴムがこすれて奇妙な音が出ていたと思われます。
このまま、十分に掃除すればそのまま使えそうでしたが、11年間使われて、微妙に磨り減りがあったことから、
この際交換することにしました。ここぞというところで、シャフトがゴムに噛んでしまったら洒落になりません。

 

 

 

上の写真が、取り除いたカットラスベアリングの様子です。溝の深さがそこそこ減っているように思えます。

また、後からゴムをはがして見ると、所々真鍮からゴムの剥離が始まっていることがわかりました。
部品代はたいしたものではないのですが、取り外し、取り付けは業者に頼むしかなく、少々かさんでしまいました。
しかし、全ての工程はしっかりと頭に叩き込んだので、次回からは自分でもできそうです。
・・・・・そういう機会が来ないことを祈りますが・・・・・・・・・・・。


 

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