日本一周の為にやったこと


 

●14、ウォータロックは要注意の巻き

 

GolenWistaria号のエンジンは、直接冷却方式。つまり、冷却水として船底から海水を取り入れてエンジンを冷やし、排気
と一緒に船尾の排気口から海に排出するようになっています。ですから船が大きく傾いたり、前後に揺れたときに、排気管か
らエンジンに、海水が逆流するおそれがあります。そこで、エンジンと排気口の間にはウォーターロックというステンレスで
できた箱を取り付け、ダイレクトに海水がエンジンに流れ込まないような仕掛けがしてあるのです。ようは、海水を一時的に
ためておく箱があるということ。でも、GoldenWistaria号の場合、このウォーターロックがクセモノなのです。

 

ウォーターロック

 

今をさかのぼること2年半。中古のGoldenWistaria号を買ったKasayanが、船を我がベイサイドマリーナに回航しようと
東京都は台東区にあるマリーナを旅立ったときのこと。機走を開始してわずか5分。ピーというけたたましい水温の警報が
鳴り響きました。すぐに引き返して回航を見送ったばかりの業者に駆け込み原因調査。エンジン内の冷却水の通路が、塩で
動脈硬化状態になっていたのが原因でした。結局、シリンダヘッドを取り外してもらい、塩を取り除いたのですが、ふと気づく
とまた変な事が・・・・・・・出発前に確認したときにはビルジ(船体に少量ずつ流れ込む海水)はまったくなかったのに、エンジ
ンの下に海水がチャポチャポとたまっているではありませんか。

 

普通、ビルジは、プロペラのシャフトのスキマから漏れる場合がほとんどですが、GoldenWistaria号はPSSというシールを
しているので5分でこんなに海水が浸入するはずがありません。エンジンをもう一度かけなおし、目をよーく凝らして見ると、
ウォーターロックの溶接部分から、まるで温泉が吹き出るように、ピストンの上下にあわせて水が勢い良く吹き出ていました。
このため、出直しの回航は、この穴の部分に下水管用の耐水パテを貼り付け、まるでかちかち山の狸の泥舟のように、
エンジン下にあふれ出る水をかき出しながらの強行軍になりました。そして回航後に交換。

 あれから2年半・・そんな過去を背負いつつ、エンジンの点検をしながら、ウォーターロックの溶接部分に手を当てた
Kasayan。すると、「ザラリ」という感触とともに、指先にはさびの混じった塩の粒が!!恐る恐る舐めて見るとやっぱり塩味。
ウォーターロック交換からわずか2年半で・・・・・再び悪夢が。「いつもCRC666(556の海用特別バージョン)を吹きかけて
いたのに・・・」
 ウェス(ぼろ布)でその部分を綺麗にふき取り、一週間後。やはり溶接部分には塩のかたまりが・・・・。
泣く泣くウォーターロックを交換することになりました。
穴は海水がにじみ出るようなピンホールで、前回のように、噴水のごとく吹き出ることは有りませんでしたが、放置しておけば
近いうちに2年半まえと同じことが起こったでしょう。遠州灘のど真ん中で発生しなかっただけ良かったと思うKasayanでした。
教訓・・・・最近交換した部品でも、壊れているものだってある・・・・そして・・・・・・・「欠陥部品だ‐」

 

溶接部分の腐蝕個所。

 


 

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