A2.結露の問題は、様々な要因が複雑に絡みあっておこるため、簡単には判断できませんが、設計時の一般的な範囲で考えられる注意点としてお答えします。
●断熱材について
グラスウールの厚みについては、住宅金融公庫の仕様書では、地域ごとに厚みが決められております。
(住宅金融公庫の仕様書通り行えば結露は起きないというわけではありませんが)
グラスウールにも種類があり(10K、24K、32K等)種類によってちがいますが、数字が大きいほど熱伝導率が小さくなり、性能が良くなります
例えば、天井部分では、関東地方等では100ミリの厚みのものであれば10Kのものでも住宅金融公庫基準をみたしますが、北海道や東北地方では不足します。
断熱材の施行上の注意点としては、下地材の間に入れ込む場合隙間等が生じやすいので施行するときに注意がひつようです。
また施工時にはすきまがないように見えても年数が経つと隙間が生じたりするので固定方法も配慮します。(くぎ止め等)
少しでも隙間等があるとそこから冷気が入り込み結露する場合があります。
●防湿材の施工
一般には内部結露を防ぐために、断熱材の室内側に、ポリエチレンフィルム等の防湿材をいれます。これは室内側の湿気を壁体内部天井裏に出さないための物です。
*表面結露に関しては、ホームページに記載している、表面に吸湿材料(クロス<ビニールクロスではない>や珪藻土、天然木材<塗装の無いもの>、INAXのエコカラット等)
を使うと有効な場合もありますが、これはあくまで夜間などに気温が下がり湿気を吸った表面材が、昼間に放湿される場合に限られます。具体的には空気の流通の多い居室等で使用する場合で、屋根裏収納の場合は普段あまり空気の流通は無いと思われるので、効果はあまり期待できません。(開放型ロフト形状のものであれば別ですが)
●換気扇の設置について
換気扇の設置については空気の流通を考えると一般的には設置しておいたほうがよいのですが、注意点としては
1つは、換気扇のダクトを伝わって冬場冷気が入る可能性も考えられます。(ダクトにも断熱をする)
2つめは夏場等外気の湿度が高い時に外気を部屋内に引き込んだ場合、冷たい部分があると結露しやすくなります。(夏の結露)
換気扇をつける場合有効な方法としては、絶対温度センサーというセンサースイッチがあるのでこれを利用すると効果的です。(絶対湿度が上昇すると換気扇が作動するセンサーです)商品名<ナチュレーヌ>
●屋根裏の換気について
換気口を2ヶ所設けているというお話ですが、屋根裏収納により空気の流通が分断されなければ問題は無いのですが、屋根裏収納を取ることによって、屋根裏の空気の流通が分断されるような場合は4箇所の換気口が必要となります。
ちなみに金融公庫の仕様では、換気口の面積のトータルは天井の面積の1/300以上となっています。換気口をとる位置はなるべく上部の方が有効となります。
切妻屋根で換気口等が対角線上に取れない場合は上下に換気口を設けます。上下にもうけるばあいなるべく距離を離したほうが効果的です。
その他、万一結露が生じた場合除湿機などで除湿するケースも考えられるのコンセントは設けておいた方がよいでしょう。
設計段階の注意点は以上ですが、暮らしていくなかでも注意が必要です。
開放型の暖房機(石油ストーブ、ガスストーブ等)を使えば水蒸気が出ますし、風呂に入れば湯気もたちます。屋根裏収納は通常空気の
流通は少ない部分ですので壁からものを離して設置する、床部分にすのこを敷く、毎日空気を入れ替える、たまには収納したものをいれ替える等の住まい方の工夫も必要です。
尚、結露対策は、御自身の生活習慣によってもちがいますので、生活習慣等を設計者に十分理解してもらい話し合うことが大切です。
考えられることを全て行うとコスト高になりますので、どの程度にするかは設計者と十分に協議することをお勧めします。