結露とは                                   

 

昔の和風住宅は風通しがよく、日本の高温多湿の気候に適した住宅でしたが、現在の建物は、耐震性の観点や、断熱や気密性能が増しているため、室内が湿気やすくなっています。従来にはなかった湿気による害が最近多くみられます。

湿気は感覚的な快適性や健康面だけでなく、カビやダニの発生し、アレルギーの原因となったり、木材の腐朽による建物の寿命にも影響をおよぼします。結露のしない住宅づくりをめざしましょう。

項目

説明

結露とは

●結露は、壁体内部の表面温度が下がり、これに接する室内空気が露点温度以下となった場合、壁体表面または内部に水滴が付着する現象です。

露点温度

●ある温度空気が、最大限含むことができる水蒸気の量を飽和水蒸気量といい、この時の空気を飽和空気といいます。飽和空気の温度を下げると、空気中の水蒸気は凝結して露となります。このように、水蒸気を含んだ空気の飽和温度を露点温度と言います。なお、露点温度は絶対湿度によって決まります。

例えば、気温(乾球温度)20、相対湿度60%の時の露点温度は12です。(露点温度表を参照して下さい)

●結露が発生する要因は室内温度と室内の湿度及び露点温度で決定されます。特に露点温度が外気温まで下がらなくても、一定の温度まで下がれば結露は発生します。

よって、結露を完全に無くすことは現時点では、ほぼ不可能であると思われますが、なるべく結露が発生しないよう、設計時に計画しましょう。

表面結露

●表面結露とは、室内側の壁体表面温度が室内の露点温度より低いと壁体表面近くによどんでいる温度境界層が露点温度以下に冷やされ、表面に水滴が付着する現象です。

冬場にサッシュや断熱を施してないコンクリートの壁面などに見られる現象です。

内部結露

●内部結露とは、壁体などの内部で結露する現象です。室内の高温の空気(湿気)が壁体内や2重サッシュの間に入り込むと内部の露点温度以下に下がった所で結露します。内部結露が生じた場合、材料の腐朽・損傷や断熱性が低下(断熱材が湿気を含むと熱伝導率がおおきくなる)するので、壁体の高温・高湿側の防湿層を設け湿気の侵入を防ぎます。

結露防止

断熱処理

断熱とは、熱貫流量を少なくすることです。具体的には

●壁体、窓などに空気層を設ける

●断熱材を使用する(グラスウールやロックウール等の熱伝導率の小さいもの)

●室全体の機密性を高めるなどの方法があります。

参考となる断熱処理としては、住宅金融公庫の仕様があります。

住宅金融公庫の仕様は結露や断熱の熱貫流率の計算にそって地域ごとに定められており、設計を進める上で参考になります。

その他の結露防止対策について(設計時)

1. 壁の室内面に、吸湿、放湿作用のある調湿材料を用います。これによりタイル面やガラス面などに比べて結露しにくくなります。

2. 建物の隅(遇角部)や壁内に鉄骨の間柱などがあると、熱貫流率が大きくなり、室内表面温度が下がるため結露しやすくなります。そのような部分十分な断熱処理が必要となります。

3. 高温高湿側に防湿層を設けます。結露が起こりやすい冬季では、室内側に水蒸気を多く含む空気があるため、室内側には機密性の高い壁材を使用し、断熱層の室内側に防湿層を設け、壁体内への湿気の流入を防ぎます。逆に、外壁材は、気密性の低い物を用い、壁体内の湿気を外に逃がすようにします。

結露防止対策について(竣工後)

1. 一般に暖房している部屋よりも、していない部屋の方が湿度が高く露点温度が低いために結露しやすくなります。

なるべく室温を適度に保ち、壁や天井等の表面温度が下がり過ぎないように心がけることが結露防止には効果的です。

また、温度を上げすぎても昼夜の温度差が大きくなり、結露の原因となる可能性があります。

2. 湿度が高くならない様に用にする

屋内でガスファンヒーターやストーブを使用すると燃焼する際に水分(水蒸気)が発生し、結露しやすくなります。

洗濯物は室内に干さない

浴室を使用した後は中の換気を十分行うまでは、戸を開けたままにしておかない

1日に1回は換気を行う(換気を行うことと、室温を高く保つことは相反しますが)

料理をする時など湯気がでるような時には換気扇を回す

押し入れ等は温度が低くなりがちなので、時々戸を開けて暖かい空気をいれる。また、除湿剤やすのこを敷いて換気をはかることも必要です。

加湿器を使用すると湿度が大幅に上昇・ するため結露は必ず発生します。

内断熱と外断熱の比較(外断熱とはコンクリート造の建物の場合で、木造の場合は「外張り断熱工法」というそうです)

●冬季の壁体内の内部結露防止について、内断熱と外断熱を比較した場合、高湿(室内)側の温度低下が少ない外断熱の方が、内部結露域が少なくなり有利になります。また、外断熱は、コンクリートの外側を他の建材と断熱材でおおうため、コンクリートの躯体が、直射日光や酸性雨に直接あたらないので劣化しにくく、建物が長持ちします。

●表面結露については、内断熱でも外断熱でも、壁体総合の断熱性能が同じであれば変わりません。

●外断熱にする場合内部結露の観点や建物自体の長持ちさせるという点からすれば、良いのですが、反面、壁等の表面温度が上がるまでに時間がかかりまます。(温まりにくいということは、さめにくいと言うことでもあります。トータルすればランニングコストの節約になるようです)又施行費も内断熱と比較すると割高になります。(通常、数%〜13%程度)

外断熱は断続的でなく、連続して暖房する寒い地域では効果的であるといわれています。

施工時のコストと建物の長寿化及びランニングコスト、自身の生活習慣を考慮して断熱工法を決定するのがよいとおもわれます。


参考 農林水産省ホームページ

    朝日新聞 紙面

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空間工房イアニス 一級建築士事務所  
                                                                      

最終更新日 : 2001/07/08