●家を建てる時に気になるのが、地盤の安全性のことだと思います。軟弱地盤の上にそのまま家を建てたりすると、家が傾いたり、地震の時に安全性が確保できなくなります。

●危ない地盤の見分け方や、調査方法等簡単に紹介します。

地形や廻りの建物から地盤を判断する。(地盤チェック法

 

危ない所(地盤調査必要)

危なくない場所

基本的には水の集まる所の近く(川、沼地、田)は注意が必要です

川の近く、沼、湿地帯、田、埋立地等

(登記簿の地目や、町名<○○田、○○沼、○○谷>も参考になります)

高台(水が集まりにくいところ)

水はけの状況

悪い

良い

敷地の地形から判断する

傾斜地、崖地、低地

平坦地、岩地(岩盤)

造成地

盛土

造成してから10年以下

L型擁壁の内側付近は必ず盛土になっています

切土

造成してから10年以上

近隣の状況を確認する

建物の基礎にひび割れ等がある

建物に変形・沈下がみられる

塀等にひび割れがある

道路に凹凸が見られる等

不動沈下の兆候や建物の基礎のひび割れや、塀や門柱の傾きなどは見られない

近所の人に聞く

玄関ドアや窓の開閉がスムースに行えない

過去の冠水の状況(有り)

地下水の水位(井戸等)

玄関ドアや窓の開閉に特に支障はない

過去の冠水の状況(無し)

 

事前調査

近隣のボーリングデータを調べる(費用がかからないので必ず調べましょう)

役所の建築課に行けば、確認申請時に提出された近隣のデータを閲覧することが出来ます

ボーリングデータには地質や孔内水位(調査中の筒の中の水位)N値(地盤の固さを示す)等の記載があります

実際の調査方法

 

長所

短所

スウェーデン式貫入試験

安価

固さに対する信頼性がある

作業が容易

傾斜地を造成した敷地や谷地を埋めた造成地で効果的

土質が確認できない

ロータリー型ボーリング試験

土質を確実に把握できる

比較的コストがかかる

平盤載荷試験(べた基礎等直接荷重を地面に伝える場合に行う試験方法)

3階建て以上の建物で杭等を使用しない場合確認申請に添付する必要があります(一部必要ないケースもありますが)

荷重の及ぶ範囲や試験する深さ等で試験値と現実の差が出る場合がある

* 傾斜地等でより詳しく調査したい場合はスウェーデン式貫入試験とロータリー型ボーリング試験の併用が理想です(コストは係りますが)

* 最終的な判断は専門家に任せましょう、地盤改良や杭施工が必要と判断された場合は多少コストがかかっても、行いましょう。家が傾くのを考えれば安いものです。

* 品確法が施行されました。建物が傾いた場合、瑕疵であるかどうかどうかを判断する技術的基準として「* 床の傾斜が1000分の6を超える場合に瑕疵である可能性が濃厚である」と言う表現が用いられています。要は10メートルの間口の建物で6センチメートル傾いたらそれは瑕疵である可能性が高いと言うことになります。専門家の責任として十分な調査と、施主への理解を求めることが要求されるということです。

 

実際の対処方法(概要)

軟弱な地盤の上に建物を建てると建物が傾き、地震時には転倒する場合も考えられます。またそれほど極端でなくとも、不動沈下が生じ、建物にクラックが入ったり、窓や扉の開閉に支障が出る場合があります。不動沈下を生じた場合建物の復旧に要する費用は、建設費の半分から建設費と同等程度必要になります。以下のような対策を講じましょう。

 

施行方法

参考

地盤改良

頑強な地盤(支持層)が浅い場合、支持層までの地盤を改良します。

支持層が深い場合は、上部だけ地盤改良しても地盤改良の下の軟弱地盤が沈下する恐れがあります

摩擦杭

支持層が深い場合で3階建て程度のあまり荷重のかからない場合に使用します。

杭の摩擦力で建物を支持します

摩擦杭の場合本数が多くなるので、一般の杭を施工した場合とコストの比較が必要です。

通常は支持層が25メートル以上の深い場合摩擦杭の方がコストメリットが得られるようです。

先端支持杭

支持層が比較的浅い場合や、重い建物で杭が必要になる場合に使用します。

 

打込み工法

既成の杭を打ち込みますが、振動や騒音等が発生します(現在では、あまり使われなくなりました)

埋込み工法 既成のコンクリート杭や鋼杭等を地盤を掘削した後に埋め込みます
場所打コンクリート杭 必要な深さまで掘削した孔内に鉄筋を挿入し、コンクリートを打設して、現場で造成します

建物自体を軽くする

地盤がある程度良好な場合で、構造計算により、若干重量を軽くすれば支持地盤として成立する場合は、建物自体の重量を軽くする設計をします

瓦屋根を変更したりやコンクリート造の場合、コンクリート壁の一部を取りやめたりします

参考資料 日経アーキテクチャー

地震に強いマイホームづくり 濱口 和博著

場所打ち杭の設計と施行   阪口 理著

 
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最終更新日 : 2001/05/04