| 猫の好奇心 |
| やっほーい、初めまして。あたしの名前はリュック。 ピッチピッチの15才。 輝くばかりのブロンドの髪に、深いエメラルドグリーンの瞳がキュートなかなりいけてる女の子。 スタイルもまぁそれなりに宜しくって、いい女予備軍って言うところ? 後5〜6年もすれば、あたしの歩く後ろを男共がぞろぞろついて歩くはず。 まぁこんな美少女のあたしの唯一の泣き所っていえば、あたしがアルベド族っていうところかな。 そう…アルベド族。 ここスピラじゃあエボンの教えに反する一族として、他の部族からは嫌われているアルベドがあたしの種族。 …でもさぁ、はっきりいってそんなのおっかしいよね。 あたしに言わせりゃ、他の奴らの方がよっぽどおかしいと思うんだ。 シンは神があたし達に与えた罰だって言うエボンの教えを頭っから信じ込んじゃってさ、疑いもしないでエボンの教えのままに機械を使えばダメだって言われりゃ「ハイ、そのとおりに致します」なんて古くさーい教えに従ってんの。 誰一人反抗すらしないのよ。 そっちのほうがよっぽど変じゃないの。 あたしに言わせりゃ、バッカじゃないの?って感じ。 どーして教えに素直に従わなきゃなんないの。 自分の頭で考えなさいよって言ってやりたい。 どうして神様があたし達にシンなんて罰を与えたのか。 あんな化け物に苦しめられなきゃならないような、どんなものすっごい罪を起こしたのか。それがなんなのよって、神様の首根っこ掴まえて問いつめてやりたいわよ、あたしとしては。 ………こーいうことを考えるから、だからアルベドは罰当たりな種族なんだって言われるのかな。 でもさ、やっぱり納得なんていかないじゃん。 だってあの召喚士なんていうものも、あたしははっきりいって許せないんだ。 召喚士。 唯一、シンを倒せる存在。 究極召喚という最終の武器でもってシンを倒す、スピラにとって希望の人達。 でもその究極召喚は召喚士にとっては諸刃の剣。なんたって代償は召喚士の命なんだから。 しかも一旦はシンを倒してナギ節をもたらしたと言っても、シンは何年か後は復活しちゃう。 それでも人はつかの間の幸せでも求めちゃう。 シンの存在を気にせずにゆっくり過ごせる夜を求めて。 でもその平和は召喚士の命と引き替えのもの。…なんって、冗談じゃないわ。 はっきり言って、召喚士なんて人身御供みたいなもんじゃないの。 生け贄よ、シンに捧げる。 スピラの人達は笑顔と尊敬の思いを込めて召喚士を送り出す。 「どうか、スピラにナギ節を」 「シンを倒して私達に平和を」 言ってる言葉はいいけどさ、簡単に言っちゃえば召喚士にさっさと死ねって言ってるもんじゃないの。 自分の幸せの為に他人の死を願うって言うわけ? はっ! それがエボンの有り難ーい教えっていうことね。 どうして、みんなその矛盾に気付かないの? 何か間違っている。 絶対どこか違うと思う。 ………ダメだな。 召喚士の事とかになっちゃうと、つい熱くなってしまう。 あたしにさぁ、従兄弟っていうのがいるんだ。 彼女ってば、綺麗で優しくって、しかも性格もいいし、女のあたしから見ても素敵だと思う。 ユウナって言うんだ。 彼女…彼女ね、召喚士なの。 まだ若くて、あんなに綺麗で性格もいいのに、召喚士なんていうもんになっちゃったんだ。 こんなのってないよね。 いくら自分の父親も召喚士でナギ節を作った大召喚士ブラスカの娘だからって、彼女までその父親の後を継がなくたっていいと思わない? どうして死ぬ為に生きる召喚士なんてものを選ぶのか………。 ユウナの選んだ道だからって言えばそれまでなんだけどさ、やっぱ納得いかないんだ。 で、あたしは決心したんだ。 ユウナには悪いけど、彼女を止めてみせる。止めるのがダメなら、せめて彼女を守ろうって。 召喚士を守るガードになって、彼女のそばにいてあげようって。 そして今あたしはユウナのそばにいる。 彼女を守って彼女のガードになっている。 でも、でもね。ここで意外な人物に会っちゃったんだ。 海の遺跡で一人でいた、どっか不思議な雰囲気を持っている男の子。 あ、子って言ったら本人怒るかもね。 何たってあたしより二つ年上なんだから。 でもさぁ、なーんか少年って言う雰囲気なんだよね。 あたしよりかは年も上だし、身長だってあるんだけど、どっか子供っぽい無邪気さがあるっていうのかな。 まぁ、男なんてさ幾つになってもガキだからさ。 実際のところ、うちのアニキだって妙にガキんちょくさいし、親父に至ってはいい年した大人のくせにほんっと我が儘な子供みたいなんだもん。 だからさ、ティーダにもつい同じ年くらい相手のつもりで話しちゃうんだ。 あー彼ってね、ティーダって言うんだ。 名前もちょっとスピラっぽくないし、着ている服もなーんかあたしらとは違うの。 それもそのはず、彼ってばあのザナルカンドから自分は来たって言ってるのよ。 あ、今引いちゃった? そうよね、普通なら何て馬鹿なことを言っている奴だって思うよね。 何たってザナルカンドって言ったら、千年前に滅んだマボロシの都っていうものだから。 うーんあたしもさ、最初はシンの毒気にやられて頭おかしい?とか思ったの。 でも彼ってば、嘘言っているようには見えなかったんだ。 こうみえてもあたし、人を見る目には自信あるつもり。 彼は嘘を言っていない。とすれば、彼がザナルカンドから来たっていうことは事実。じゃあ信じましょうってね。 そしてあたしは彼をうちらの船に乗せてちょっと世話なんかやいたりして、海の探検とかを一緒にしたわけ。 でもそこへシンが現れたんだ。 彼とはそのときはぐれちゃって、はっきり言ってあたしは彼が死んだと思ったんだ。 実際、そう思うのが普通だよね。 でもさぁ、その彼がまさかユウナのそばでガードやってるなんて思わなかったわよ。 しかも彼ったら相手があたしだって事も分からずに攻撃なんかしてくるんだもん。 ええい、命を救ってやったのにこの恩知らずーーー!とか思ったけど、あの状況じゃあね。 あたしってば、パッと見ごっつい機械の中にいたし、ユウナのことかっさらおうとかしちゃったから、ガードとしてはユウナのことを守ろうとして攻撃してくるのも分からなくもないけど………はっきり言って、命の危険を感じちゃったわよ。 彼ったら、最初に会ったときよりも強くなってんだもんなぁ。 マジ、やばかったわ。 ティーダと戦って、危うく逃れてさ、幻光河のそばであたしってばぶっ倒れてたんだ。 人の声がして、起きあがって見ればそこにはあたしをこんな目に遭わしてくれた張本人がいるじゃないの。 機嫌は宜しくなかったけど、それでも起きあがって邪魔くさいダイバースーツを脱いで一息ついたとき、彼ったらあっけに取られたような顔してあたしのことを見てたなぁ。 フフン、あたしのこの弾けるような美貌に参っちゃったのかな…ってなわけないのは分かってる。 でも彼もまさかここであたしに会うとは思ってなかったみたい。 一瞬ビックリして、それでも直ぐに明るい顔をしてあたしの名前を呼んでくれた。 ………あたしの事忘れてなかったって分かったのは、ちょっとばかり嬉しかったな。 それでさぁ、あたしはそのときからユウナのガードになったんだ。 表向きの理由はユウナを魔物から守るガードとして。 本当の理由は…何とかしてユウナに究極召喚術を使わせずに彼女を死なせずにすむようにって。 あたしの目的を知っているのかどうか分からないけど、ルールーとかアーロンさんはあたしがアルベド族って分かっても気にしないでくれた。 アルベド嫌いのワッカは、何故かあたしの正体に気付かないで普通に仲間として迎えてくれた。 キマリは…分かんない。 あたしの正体を知っているのか知らないのか、それすら判別できない。 なんせ、無口無表情無愛想の三無そろっているロンゾ族だからなぁ。今ひとつ何を考えているのか分かんない。 ま、キマリに関して言えばユウナさえ無事なら後はどーでもいいんだろーなーって気がするから、変に考えなくてもいいって思える。 ってなわけで、あたしはユウナのガードとして旅のお供をしている訳なのね。 今んところ旅は順調…かな? 一応なんとかやってますって感じ。 でも、でもですね。あたしは途中で妙なことに気付いちゃった訳なんですよ。 あのね、ティーダと片目のおっちゃんことアーロンさんの二人の関係なの。 最初はほんの些細なことからだったんだ。 おっちゃんってば、あたしらとかユウナとかにはいっつもクールで冷静なのにさ、ティーダにだけはなーんか一言余計なのよね。 またティーダもさ、おっちゃんにだけは必要以上に突っかかっていったりするんだ。 最初は「ああ、あの二人ってば仲いいんだ」位にしか思わなかったの。「男同士って、あんなもんかな」って。 でもねぇ…おっちゃんってば、キマリやワッカには全然態度が違うわけ。 あの二人が何しても我関せずっていう感じなのに、ティーダにだけは構っているっていう感じなの。 よくよく見れば、ティーダが向きになるのを楽しんでいるようにも見えちゃう。 うーん、何で? それにバトルの時でも、おっちゃんってばティーダに油断するなとか厳しいことを言っているけど、彼が本当にヤバイときには何下に庇っているようにも見えるのよねぇ。 まぁそれだけじゃなくて、他にも色々気になることはいーっぱいあるんだけどさ。 決定的だったのはやっぱあれかな。雷平原でのこと。 ………あたし、雷苦手なんだ。 もうもう大ッキライ! だからさ、あの平原を越えるのは泣けちゃうくらいに怖くってしょうがないわけなのよ。 でもユウナのガードやってんじゃん。 ここで雷が怖いから行くの止めますなんて言えるわけないし、怖いのを我慢して歩いたわよ。 腰が抜けちゃいそうになる自分を叱咤激励しちゃいましたよ。 でも…やっぱ怖いもんは怖いの。 あたし途中で泣きが入っちゃったんだ。 「休もう」って。 そーしたらあの片目の親父が何て言ったと思う? 「短い付き合いだったな」ですってよ。 あんまりじゃない! いたいけな乙女が心の底から怖がっているのよ。花も恥じらう15の、金髪でエメラルドグリーンの瞳を持つ美少女が目に涙を浮かべて懇願してんのに、無視よ無視。 まともな男だったら、ここで「よしよし、おじさんが宝石でも毛皮でも何でも買ってあげるから泣くんじゃないよ」って言い出す状況だと思わない? んっ?ちょっと脱線した? そ、それはともかくとして、優しい言葉くらいかけてくれてもいいじゃん。 それをあのおっさんときたら、歯牙にもかけないのよ。 そしてあたしはそのとき聞いちゃったんだ。きっちりばっちりね。 ティーダがさ、おっちゃんにコソッと「休んでもいいじゃん。リュック怖がってるしさ」とか何とか言ってる台詞を。 そーしたら今まであたしのお願いなんか気にもしてなかったおっちゃんがよ、「やむをえん、煩くてかなわん」とか何とか言っちゃって、雷平原の旅行公司で休むことになったのよ。 こんなのってあり? あたしがあんだけ泣きべそかきまくってイヤだイヤだって言ったのに全然聞いてくれなくて、ティーダの一言であっさり休んじゃうの? どーして?なにそれっていう感じ。はっきり言ってムカツク。 これであたしは確信しちゃったわよ。 おっちゃんとティーダは怪しいってね。 しかもその晩の部屋割りってば、あたしとユウナとルールーが同じ部屋。キマリとワッカが同室。ティーダとおっちゃんが同じっていうのは納得なんだけどさ、どーしてあたしらの部屋からおっちゃんの部屋が離れている訳? どうしてなの?どういう理由でって突っ込みたかったわよ。 ユウナとかルールーなんて気にも止めていないというか………慣れているみたいだっていうことはですよ。 これって一回や二回じゃないってことなの? 宿屋で泊まるたびにおっちゃん達の部屋は離れているところにとられていたわけなのね。 おっちゃんのいびき?…まさかね。 それ以外に部屋をあたしらから離さなきゃいけないどんな深ーい理由があるのかしらん。 で、あたしはこの時思っちゃったのよ。 二人の仲を探ってやるってね。…べ、別に雷平原でのおっちゃんの冷たい態度を根に持っている訳じゃないのよ。(ちょっとはあるかな) 物事の真理を追究するアルベドの血が騒いじゃったんだな。 フフン、この美少女リュック様の目からは逃れられないんだからね。 みてらっしゃいってなもんだ。 「リュック!何を一人でブツブツ言っているの。ワッカが敵にやられたわ。バトル交代よ」 あ、ルールーからお呼びが掛かっちゃった。 今、バトルの真っ最中だったのよね。 どーれフムフム。相手はゴーキマイラちゃんか。フッフーン、今のあたしらのレベルじゃどーってことないじゃん。 ワッカってば普段偉そうなこと言っている割には、時々ポカをやるのよねー。 あんな敵にやられちゃって情けないったら。 でも今、敵と戦っているのはティーダとおっちゃんね。 うむ、男ばっかでむさいバトルだったわけかぁ。ここはひとつ、可憐な美少女リュックちゃんの登場でバトルに花でも添えてやろうじゃないですか。 ついでにティーダの隣で戦って、あたしのことアッピールしちゃいましょっと。 おっちゃんとティーダの仲がどんなんか探るために、わざとティーダに接近しておっちゃんの反応見るんだ。 そのためにはなるべくティーダに向かってポイント稼がなくっちゃ。 ウッフッフー。 リュックちゃん、燃えちゃいますよー。 「はーい、リュック出まーす」 ………バトル、無事終了。 当然、勝利。ついでにアイテムも手に入れて、大漁ってか? で、今は夜も更けてきたもので野営の真っ最中。 みんなしてたき火を囲んで和やかにお食事タイム。 ルールーなんかガード歴が長いものだから、こういう野外料理が得意で、また料理が上手なんだ。 パッと見、料理なんか全然しませーん。男を顎でこき使ってマースってタイプに見えるのだけれど、あれで結構面倒見がいいのよね。 うん、人って見た目じゃ分からないわ。 ルールーが作ってくれた具がいっぱいのスープを貰って、さて腰を下ろして食べようかなっとあたりを見回す。 ………ティーダの隣へ行こうとしたら、当たり前のようにおっちゃんがそばにいた。 二人でボソボソなんか話している。 おっちゃんの声ってば、渋くて低い割には通りが良くて聞きやすいんだけれど、こういう静かな夜には回りに溶け込んじゃってあんまり良く聞こえない。 合間合間に、ティーダの「何だよ、それって…」とか「どーせ俺は未熟者だよ」何て声が聞こえてくる。 説教…されてんの? うーん、二人の関係ってやっぱ今ひとつ謎ね。 てな訳で、大いなる真実の探求者のリュックちゃん登場でーす。 おっちゃんとティーダの間に割り込ませて頂きます。 「ねぇねぇティーダ、隣に座ってもいーい?(ちょっとブリッコ風で)」 「あっ、リュック…うん、いいよ」 ティーダがにっこり笑って、隣を促してくれる。 当然のごとく、おっちゃんは無反応。ま、そうだろうとは思ったけどね。 ここであたしはちょっと強引だなとは自覚していたけど、わざとティーダとおっちゃの間に割り込ませて頂きました。 ティーダはちょっとビックリした顔をしていたし、おっちゃんも意外そうだったな。 「あ…あの、リュック狭くない?」 無理無理に腰を割り込ませたから、ティーダが自分の座る位置をずらしたのね。 でもあたしは全然気が付かない素振りを装って、ティーダに話しかけていく。 「ねぇティーダ。あたしチィのこと聞きたいんだ。ザナルカンドってどーいうところなの?眠らない街ってどーいう意味?」 「俺…のこと?」 「うん、あたしの知らない事。チィならいーっぱい知ってるでしょ?」 背後から片目のおっさんの無言の圧力を感じるような気がするけど、気にしない、気にしなーい。 あたしはニコニコ笑いながらティーダにお喋りを持ちかけていく。 ティーダもおっちゃんに説教されるよりかは、こっちの方が楽しいと思ったのかな。嬉々として話しに乗ってくる。 自分の生まれ育った街の話だもんね。 でも実際、千年前の滅んだ都の話なんてあたし自身興味あったもん。 歴史の本でしか知り得ない事を、そこに生きていた人が今目の前にいて話してくれるんだよ? これってスゴクない? だからあたしはワクワクしながらティーダの話を聞いていたんだ。 「うーん…そうだな。ブリッツの話がいいかな?それとも…あっリュックはアルベドだから機械の話はOKだよな。ここじゃ見られない乗り物の話しよっか?」 「うん聞きたい。チィの暮らしていたところの話、聞きたいよ」 「じゃあさ………」 あたしの言葉に、ティーダってばとっても嬉しそうに返してくれる。 なーんか下心付きで近づいているあたしが罪悪感持っちゃいそうなくらいに。でもさぁ、ティーダといっぱいお喋りしたいっていうのも本音なんだもん。 女の子の好奇心だから。エヘ。 で、ティーダの話をあたしは聞いていた訳なのね。 ここであたしは誰かの視線に気付いちゃったんだ。それは片目のおっさんではなくて…ユウナんだった。 ちょっと離れたところでさ、チラチラあたしらの方を見ているんだ。 ふうん、気になるんだね。話に加わりたいのかも。 そーいえば、ユウナんってばティーダのこと好き…なんだもんねー。 本人、隠しているつもりらしいんだけどさ。あれってば、バレバレだよー。 ユウナんの気持ちに気付かないのって、思いを寄せられているティーダくらいだもん。 だってさ、あの鈍そうなワッカでさえ知ってるからね。 ユウナってば、あたしとティーダが親しそうに話しているのを見て焼き餅焼いて………いる訳ないか。 年下のあたしが言うのもなんだけど、ユウナ本当にいい娘なんだ。 あんま人を妬むっていうか、悪口なんて言わない。いっつもいつも人の為にっていうか、誰かの為に動いている。困っている人を見たらつい手を差し伸べちゃうタイプ。健気なんだよねー。 だから召喚士なんていうもんになるんだろうな。 もう人が良すぎてじれったいよ。 今もあたしらの話に加わりたいけど、入れなくているんだろうな。 もっとさ、図々しくなればいいのに。だからあたしはユウナんに向かって声をかけたんだ。 「ねぇユウナんもこっちに来て一緒にお喋りしよーよ。ティーダがさ、ザナルカンドの事教えてくれるって」 「えっ?」 ユウナん、一瞬目を大きく見開いてそれから直ぐに嬉しそうに笑ったんだ。 「い、いいの?私も一緒で」 「もう当然じゃん。チィもいいよね」 「ああ、ユウナもこっちくればいいよ」 そう言ってティーダが手招きすると、ユウナ凄く嬉しそうに瞳なんかキラキラさせてあたしらの方へ来たんだ。 うーん、ユウナんってば本当にティーダのこと好きなんだって丸分かり。 素直…って言えばいいんだろうな。 これでどーして好かれている当の本人に分からないんだろうな。そっちのほうが不思議だよ。 ティーダって、もしかしてニブい? ユウナんもかなり天然入っているけど、ティーダも負けず劣らずなのかしらん。 そんなことをぼんやり考えながら二人の事を見ていた。 今、ティーダはユウナに空を飛ぶ乗り物について話している真っ最中。 飛行機…って言うんだって。鉄で出来た乗り物なのに、空を飛べるらしいの。 それってさぁ、あたしの知っている飛空艇と同じ物なのかな?でもティーダの説明を聞いていると、それとも違うみたい。 こういう話を聞くとさ、ティーダってやっぱりスピラじゃないところから来た人かもって思っちゃう。 うん、知らない世界の話って面白い。 ティーダもあたしらに説明するのが楽しいらしくって、熱心に話してくれる。 だから、つい熱中して話し込んじゃったんだよね。 気が付けば、焚き火の火も小さくなっていて、ルールーもワッカも後かたづけなんかしている。 あれぇ?って思ってたら、後ろからおっちゃんの渋ーいお声がかかったんだ。 「お前達、お喋りはそれくらいにしておけ。明日も早いんだ。さっさと休め」 うん、やっぱおっちゃんってば渋くて良い声。 これで内容がお説教じゃなければ、聞き惚れているくらい。 でもねー、おっちゃんってば時々なーんか口うるさいんだ。もうなんだかなーって感じ。 あたしが「えーっ?まだ寝るには早いでしょう?」なんて言い返したらあの片目で睨まれちゃった。 一個しか無い目なのにさ、迫力あって怖いんだ。 不満ありありなあたしに向かっておっちゃんが言う。 「自分がガードで、召喚士を守る立場にあるということを忘れるな。ついでに俺達の旅は子供のお遊びでもないんだぞ」 あの低ーい声でピシャリと言われてしまった。 うう…正論なだけに反論出来ない。 あたしの隣ではユウナが「ご免なさいアーロンさん」なーんて言って後かたづけを手伝っているし、ティーダも「まだ寝るには早いのにさ」ってブツブツ言いながらもやっぱり、自分の回りを片づけている。 ………二人共素直じゃん。 夜はこれからなのにーい。 何かつまんないの。 このまんまおっちゃんの言うとおりに大人しく眠るのもしゃくにさわったし、あたしまだあんまりティーダに突っ込んだ話をしていないのも思い出したのよね。 だからさ、ティーダにあることを言ったんだ。 「ねぇティーダ。眠るときさ、あたし隣で寝ててもいい?ホラ、夜にモンスターの声とか聞こえたら心細いけどティーダの隣だったら安心出来ると思うんだ。寄り添って寝たら暖かいしね。いいでしょう?」 「えっ、ええ?」 「リュ…リュック、それっていけないと思うわ」 ティーダが目を丸くしているし、ユウナんが顔を赤くしている。 あたし…変なことを言ったかしら? その時、後ろからお下げ髪を思いっきり引っ張られたの。 ちょっとぉ痛いじゃないの! 「イタイ、イタイ、イタイってば!な…なによぉ!」 「本当にこの爆弾娘は…、なにを言い出すのかと思ったら。少しは慎みってもんを学びなさい」 あたしの後ろでルールーが呆れたような顔をしてお下げを引っ張っているの。 …ちょっとは怒ってもいるのかな? えー?なんで?あたし、ルールーが怒るようなことしたっていうの? 「慎みってどーいうこと?あたし何か変なこと言った?」 訳が分からず反論するあたしの額をルールーが小突く。 「あのねぇ…あんたとティーダは年頃の男女だっていうことよ。まかり間違っても何かあるとは思えないけど、一緒に寝るのはどうかしら。例え野宿でもよ」 まかり間違っても…っていう言葉、ムカツク。 それにさ、その考え方ってば古くさいよ。 そんなあたしの不満が顔に出たんだろうな。ルールーがため息を付いている。 「納得いかないって顔をしているわね。でもね、リュック?こーいうことってけじめみたいなもんだから」 「でもぉ〜、野宿だし別に一緒のベッドの上に眠るって言う訳じゃないでしょう?これがさ、抱きしめて耳たぶ噛んでとか、足を絡ませて眠るとかじゃないんだし、いいでしょ…って、イテッ!」 途中まで言いかけたあたしの頭にルールーが持っていたモグぬいぐるみが見事にヒット。 ちょっとぉ!今のでHPが100は削られたわよ! 何でよりによってモグなの?今はバトルしているわけじゃないじゃない! そう思って言いかけようとしたあたしの首根っこをおっちゃんが掴まえる。 ひ、人のこと猫か何かと勘違いしてない? 少ーし足が浮き加減でばたばたしているあたしの頭の上で、おっちゃんの声が聞こえる。 「そんなに暖かくして寝たいのなら、キマリに抱っこしてもらえ。ティーダよりは暖かいぞ」 「…そうね。キマリ、このお嬢ちゃんの世話、悪いけど見てやってね」 「分かった」 おっちゃんの言葉にルールーが同意して、キマリが頷いている。 ティーダとユウナもお互い顔を見合わせて納得しているし、ワッカなんか最初から話しの中へも入ろうとしていない。 何なの、この連携プレイってば! 当の本人の意志ってもんが無いじゃないのさ。 あたしは只単に、ティーダの隣で寝てお喋りとかしたかっただけなの。どーして余計な気を回すわけ? 大人って不潔よ! ………でもキマリの隣は確かに暖かかったのは事実。それがまたちょっと悔しかった。 next→ |
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後書き。 いかがでしたでしょうか。 リュック一人称のアロティ小説です…といいつつも、ちっともアロティの場面が出てきてません。 それどころか、リュックぶっ飛んでます。弾けちゃってます。 なんかね、リュックの性格がまんま自分なのですよ。 はっきり言って、自分の本性丸出しといった感じです。おかげで書きやすいったらないどころか、暴走しそうになるリュックを抑えるのが大変でした。 そして…お話はまだ続きます。(汗) こんなしょうもないお話が続くなんてどうかと思うのですが、もう少しだけおつき合い下さいませ。(付き合う人っているのだろうか) |