詩織は、職員トイレに入る。
「公立じゃあ、こんなトイレか...」
創立50年近い公立高校は、職員トイレとはいえ、綺麗といえるものでは無かった。
洋式と、和式の個室が、それぞれあったが、詩織は、和式の個室に入る。
誰が座ったか解らない洋式便座に自分が座るのがなんとなく嫌だった。
詩織は、スーツのスカートと一緒にショーツを膝まで下ろした。
真っ白な太ももと、小ぶりな臀部が現れる。
もちろん、詩織本人は、特になんとも思っていないが、男がみたら、狂喜するような格好だった。
いつもの習性で、用を足す前に水を流す。その音で、気配を感じることができないでいた。
「こんな時に...」
詩織は、腹痛を直すため、いきみながら、用を足した。
”からん” トイレットペーパーで、処理をして、スカートを元に戻す。
個室を出て、洗面台に向かった。
「さあ授業。」緊張をほぐすように、鏡の自分に言い聞かせた。
「きゃ!」
詩織は、トイレを出た所で、1人の生徒が、携帯のカメラを詩織に向けていることに気付いた。
「おはようございます。」何食わぬ顔で、高橋が挨拶した。
「お、おはよう。」詩織は、挨拶をしたが、直ぐに、高橋を問いただす。
「何を撮ってるの! こんな所で!」
「何も撮ってませんよ。メールを確認してるだけです。」わざとらしく高橋が、詩織にいいながら、
「バックアップ送信してますんでお待ちを...」高橋は、携帯を操作しながら言った。
詩織は、何のことか解らず、高橋を見つめる。
ちょっとした間が空き、高橋が、詩織に言った。
「完了! あ!新任の先生ですよね。」
「ええ。よろしくね。」詩織は、高橋に答えた。
「さっき、トイレから妙な男が、出てくるの見ましたよ!」高橋が、言った。
「妙な男?」思わず、詩織が聞きなおす。
「そいつが、これ落としていったんだけど...」
高橋は、携帯から、メモリースティックを取り出して見せた。
「あ、あなた!」詩織は、高橋が嘘をついていることがなんとなく解った。
「貸しなさい!」慌てて高橋から、メモリーを取ろうとした。
「なんだよ! 取り上げる気?」高橋がそう言った。
「学校には、携帯は、必要ないでしょ!」詩織は、怒ったように言う。
「解ったよ。」急に素直になり、高橋は、チップを詩織に渡した。
「けど、コピー家に送っちゃってるからね。」
「後、中身見たら、感想頂戴! くれなかったら、クラスのみんなに感想もらうからいいけど!」
にやつきながら、高橋が言った。
「ま、まさか何を撮ったの!」詩織は、恐ろしくなり、高橋に聞く。
「俺が撮ったんじゃないって言ってんじゃん、2人以外にチクッたらばら撒くからな。」
ついに、高橋が、詩織を脅し始めた。
「しかも俺、未成年だから、罪軽いし。そっちは、悲惨だぜ、結構すごいから。」
「これ俺のメアド。そんじゃあ、感想よろしくな!」
詩織を無視するように、高橋は、立ち去った。
詩織は、メモリーチップを握り締め、その場に立ち竦んだ。
「な、何を撮られたの...」
慌てて、そのチップを見る。 ちょうど良いことに、自分の携帯にも対応しているチップだった。
詩織は、時計を見る。 まだ始業には間があった。
直ぐに、お手洗いに戻り、個室に入る。
自分の携帯に手渡されたメモリーチップを差込み、携帯を操作した。
それは、画像では無く、携帯の動画であった。
動画の再生を初め、詩織は、固まった。
”こ、こんな所を!! どうしよう”
詩織は、本当に眩暈を感じて、思わず床にしゃがみ込む。
詩織が見た映像は、酷かった。
高橋は、詩織がトイレに入って行くシーンから撮っていた。
カメラは、詩織がトイレに入ってしばらく経ってから、追いかけるように、トイレに入って行った。
音を立てないように、ゆっくりと、隣の個室に入る。
何を考えているのか、詩織の入っている個室との仕切りの隙間にカメラは、入って行った。
人間の目では、そんな事は当然できない隙間でも、カメラは、難なく滑り込んだ。
一瞬、暗い画像が映るが、高性能CCDカメラは、光度を改善していく。
はっきりと、人間の足が、横向きに映し出された。
撮影者がそれに気付いたように、正常な向きで、足を捕らえる。
その足の細さ、靴から、先ほど写っていた、綺麗な女性であることが、推測できる。
カメラは、一瞬のためらいの後、上方に向かって角度を上げる。
”お願い!止まって!!”詩織は、願う。その願いはむなしく打ち砕かれる。
真っ白な太ももと、臀部が、くっきりと映し出された。
その角度からは、最悪の箇所は、写っていなかったが、詩織から一筋の水流が起こっていることは、
明白だった。
”嫌!” 詩織は、急に恥ずかしくなり、一瞬映像から目を背ける。
ただ、次のシーンは、恐ろしいものだった。
角度的に写らない箇所を探すように、カメラが、移動していく。
”気付いて! 逃げて!”カメラの中の自分に詩織は、必死に問いかける。
無意味だった。
携帯の画面には、詩織自身も見たことがないスケールが広がった。
柔らかそうな2つの山の谷間が、写り込む。
しゃがんでいる詩織の後ろからアップにされた箇所は、何も隠すことなく、
カールした群毛と、2本の襞にはさまれた筋、さらには、窄んでいる器官が現れた。
一瞬、密やかな筋から、出る水流が収まっていくシーンが流れた。
詩織は、顔面を赤く染めながら、高橋も見てしまっただろうシーンを凝視する。
”この後も続くのね...”詩織は、覚悟を決めたように画像を確認する。
窄んでいる器官が躍動を開始していた。
”こんなもの、先輩達にみられたら...”
”警察に届けるにしても、確認されちゃう。”
そんな事は、絶対できなかった。
詩織は、自分の恐ろしい行為を見守りながら、これからの事を思う。
”あの子を説得しないと!”
長かった映像内の羞恥の行為は終わり、カメラが、トイレの外に出て行く。
しばし、トイレのドアのみが写っていたが、
詩織が、そのドアから出てくる画像が映る。
詩織のスカートや、靴を見れば、先ほどのシーンが、詩織本人であることは明白だった。
気丈にも詩織は、手渡されていた高橋のメールアドレスに対し、返信をした。
「確認しました。 誰にも見せないこと。 今回だけは、私もあなたの行為は黙っていてあげるから。」
送信し終った詩織は、非道の行為が許せなかったが、あのシーンを見られてしまった事が、
死にそうに恥ずかしかった。
”生徒のいたずらよ。 忘れなさい” そう思い、職員室に戻った。
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