詩織は、授業の準備をした。もう緊張など無かった。
それ以上に高橋への対応が、気がかりだった。
教室に入る。
「ウォー !!」男子生徒から声が挙がる。
女子も、あまりの可憐な詩織に見とれているようだった。
「始めまして。今日から私が、国語の授業をします。」詩織は気を強く持つよう、自分に言い聞かせながら、
授業を開始した。
生徒達の好奇の目は想像どうりだったが、授業を坦々と進める。
詩織は、教室の最後列に高橋が居ることを確認した。
高橋は、にやにや笑って携帯を見ていた。
詩織はそれとなく教室を見回るように、教科書を朗読しながら、生徒達の間を歩いていく。
男子生徒が、詩織の体を嘗め回すように見るのが、気になったが、
過剰反応を悟られないように、高橋のそばに近づく。
「え!」詩織は、朗読をやめ、声を挙げてしまった。
高橋は、教室の中で、詩織の生理現象の映像と、詩織本人を見比べながら薄笑いしていた。
詩織の声に、教室中の生徒が、詩織の方に一斉に向く。
「た、高橋君。授業が終わってからね。携帯は。」
どうにか取り繕ったが、高橋のあまりの行為が、恥ずかしかった。
「すみません。」素直に高橋は携帯を閉まいながら詩織に話しかけた。
「けど、僕は他の先生にチクッてもかまわないし、警察にチクられてもいいよ。もともと補導暦あるし。」
周りの生徒達が笑う。
ただ、詩織は固まった。高橋の答えは、先ほどのメールの答えも兼ねていることが明白だったからだ。
「じゅ、授業を続けます。」どうにか冷静を保つ。
「高橋! いじめんなよ可愛そうだろ?」何も知らない他の生徒が、からかうように言った。
「別に良いじゃん。」そう高橋は、言いながら、詩織のお尻を触る。
「きゃあ!」 詩織は驚いたように叫ぶ。
周りの生徒は、おかしそうにその様子を見守っていた。
「初日の授業で、警察沙汰は、まずいよね。こっちは、全然OKなんだけど。」
高橋が、不敵に詩織を見上げる。
「そ、そうね。解ったから、授業に戻ります。」
詩織は、必死に授業に戻ろうとした。
まだ4月で肌寒い季節にも関わらず、高橋が詩織を責める。
「先生。暑いだろうから、上着脱げよ。」
詩織は、その言葉に否定の返答をした。
「暑い? 寒いぐらいな....」詩織は、高橋が携帯を取り出し、また笑うのを確認する。
詩織は、その行動に言葉を詰らせた。
「お願いだから、授業させて!」詩織は、泣きそうになりながら、
上着を脱いだ。
上着を脱ぐとは思っていなかった詩織のインナーは、白い薄手のブラウスだった。
そのブラウスからは、水色のブラが透けていた。
スーツを着ていたとき以上に、胸のふくらみがあり、男子だけでなく、多くの生徒の視線が、詩織の胸に釘付けになった。
「でけえ!...透けてんぜ...綺麗...」詩織にも聞こえるぐらいに教室が沸く。
”恥ずかしい....”
通常こんな挑発に教師が乗ってはいけないはずだった。
ただ、高橋に押さえられた映像は、そんなレベルではない。
上着を取れといわれれば、従うしかなかった。
詩織は、教壇に戻り、授業を開始した。
「先生、胸でけえな。」 高橋が教室の後ろから叫んだ。
「授業を開始します。」嘲笑を無視するが、高橋も詩織を無視した。
「上の方のボタンぐらい、外してくれない?」おぞましい要求だった。
詩織は、引きつった顔を高橋に向ける。
その視線の先には、携帯を持った手を揺らしている高橋がいた。
”ま、まさか本気?”
詩織は、高橋を諭す様に言った。
「それ以上の要求は、しないでね。 授業もちゃんと聞いてくれる?」
詩織が、高橋に言った。
生徒達は、高橋に”OKしろ”との視線を向けた。
「解ったよ。」 投げやりに答えた。
その答えを待っていたかの様に、生徒達は、詩織の胸元を凝視する。
”しょうがない...”
詩織は、生徒達の前で、ブラウスのボタンに手を掛ける。
もともと、襟元の空いているブラウスで、1つ外すだけでもかなりきわどい格好になる。
詩織は、恥ずかしそうに教壇に立ちながら、ボタンを外した。
「おー。」
特に、何が見えるわけでもないが、新任の可憐な教師が、教壇で、ボタンを外す行為に教室がどよめく。
”恥ずかしい...”詩織は、顔を赤く染めた。
「上の方のボタンだろ! もう1個はずせよ。」
全く関係ない生徒が、詩織に迫った。
「だめです。」詩織は、その生徒を睨む。
「するいぞ! 約束守れ!」高橋が、また意味深に声をかける。
”もう一個外したら...”
物理的にもう1つボタンを外すと、ブラが透けるのではなく、ブラが見える状態になる。
ただ、詩織は、従うことしかできなかった。
さすがに、詩織の手が震える。
ゆっくりと、第2ボタンを外した。
手をどかした先には、詩織のふくよかな胸元が、現れた。遠めから見ても、胸元の白い凹凸が、確認できる。
「すげー、なま乳。」生徒からの歓声が挙がった。
”もう嫌..どうしたら....”
詩織は、坦々と、授業を続けることしかできなかった。
生徒の視線が痛い。
自分の思い描いていた理想の教師と、生徒の関係は、初日で崩れていた。
先頭の生徒が、ノートをわざとらしく落とす。
「拾えよ!」高橋が声を挙げた。
生徒達の目的は、解っていた。
詩織は、数十人の生徒達の目の前で、体をかがめ、ノートを拾う。
屈んだ詩織の胸元は、大きく開き、柔らかい胸が、たわわに下を向く。
現実に、グラビアアイドルが痴態を演じているようだった。
教室中が、静まりかえるくらいの迫力だった。
詩織が体を起すと、下を向いていた胸元が、自分の張りを取り戻したように、お椀形に戻った。
詩織は、震える声で、授業を行う。
高橋も、周りに約束してしまった手前、しばらくは様子をみるようだった。
「キーンコーン カーンコーン」
待ちに待った授業の終了の鐘だった。
詩織は、何も言わず、教科書を閉じ、胸元を押さえながら、教室を後にした。
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