満員の車内で、小谷の左手が、隙間の空いた真菜の胸とブラの間に入ろうとしていた。
既に真菜のブラは胸を支える機能を小谷に外されてしまっていた。

真菜は、2枚の透明なガラスの先にいる学生が、気付かない事を祈るしかなかった。
「無理だから...」
真菜は小声で小谷に伝える。

万が一、学生の視線が真菜に向いても、少しでも気付かれない様に、
自分の胸を両腕でガードする。
それでも、その腕のガードの下で小谷の指が、真菜の胸をまさぐる。

そして、無理やり真菜の胸をかき集める様にもぞもぞと、指を動かす。

”と、届いちゃう...”
それは、小谷の指が、真菜の敏感な場所に向かっている事を指し示す。
そして、小谷の指は、目的の場所に到達した。

「もう、立ってるね。」
小谷の声だった。
”言わないで...”
真菜は必死に俯き、表情を隠す。

そうしながらも、真菜は自分の全身に電流を流されるような感覚を覚えていた。
小谷の指が、真菜の先端を弄っている。
そして、時折、痛みを伴う様な強さでその先端を潰す様にされる。

「うっ..」
微かな呻きを真菜は必死にこらえていた。
「もう、許して...」
真菜の言葉が許しの言葉に変わっていた。

真菜は、両腕に全身の力を込め、小谷の手を押さえる。
”えっ.....”
左手を真菜に掴まれた小谷は、今度は右手を真菜の太ももにあてがったのだった。
小谷は、先ほどの要領で、簡単に真菜のスカートのファスナーを下すと、

真菜の気持ちを無視して滑り込む。
”ちょっと..待って!”
真菜は、小谷の左手が恨めしい。

ただ、胸を隠している自分の両腕を退かしてしまうと、万が一、前の学生が視線を向けた時、
自分の胸に差し込まれている小谷の手や浮いたブラが明らかにばれてしまうのだった。

小谷の右手をさせるがままにするしか無かった。
防御するのを諦めたと小谷は悟ったのだろう。

何の遠慮も無く、奥を目指す。本来はガードするはずのショーツすら目もくれなかった。
既に熱を持った真菜自身へ簡単に侵入するのだった。

真菜は小さく首を振る。
もう立っていることもできず、車両の仕切りに自分の身を任せる様に寄りかかるしかなかった。

「まもなく△駅に到着します。」
社内放送が流れる。

やっと、だった。
”やっと、解放される...”
まなは、二つの敏感な場所を弄ばれながら、そう思った。

”あと少し...”
真菜は必死に嗚咽を我慢する。
ただ、到着の車内アナウンスは、隣の車両にも流れた様で、学生がゲーム機を片付ける弾みで、
真菜の方に視線を向ける。

小谷も学生の動きに気付いた様で、胸に差し込んだ手を抜く。
不自然な場所から男の手が現れたのに気付いたのか否か解らないが、学生が真菜を見つめていた。

”見られてる...”

真菜がそう思った時だった。
目の前が真っ白になりそうだった。

その羞恥に苛まされながら、
真菜は、ついに自分の中に男の指が差し込まれいく感覚を覚えた。
”入れられてる...”

真菜は掻き混ぜられていた。

”逝く..”
真菜は、知らない学生にその表情を晒しながら、扉にしがみつく。
それと同時に、電車は到着のフォームに着いた様だった。

知らない間に、小谷の手は元の位置に戻っていた。

真菜は何も考える事ができないほどにふらふらする。
そんな真菜を小谷は支えながら、降車を促した。

「真菜降りるよ。」

真菜は半分小谷にしがみつきながら、電車を降りる。
「楽しかった?」
小谷は笑っていた。

そんな小谷を真菜は睨む。
「やり過ぎです!」
人ごみの中で、真菜は壁と小谷で死角を作ると、ブラを止める。
周りに視線を合わせない様に、改札口に向かった。

改札をでると、真菜は人の流れから離れると、小谷と向かい合う。
「やり過ぎです!まさか、あそこまでする事無いです。」

真菜は少し怒った表情を小谷に向けた。
「あそこは、嫌だった?」
小谷は、冗談で切り替しながら、笑っている。

「そ、そんな意味じゃなく...ぁ。」
通勤者が周りに居るにも関わらず、小谷は真菜の唇を自分の唇でふさぐ。

また、真菜の全身に電流が流れる。
”...ズルイ”

真菜は小谷の卑怯な謝罪を受け入れるしか選択肢を与えられなかった。
許すことしかできず、小谷にしなだれかかる。

「もうしないでね。嫌よ...」
それが真菜の精一杯の返答だった。

「解った。許してくれる?」小谷が微笑む。
真菜は軽く頷く。

二人は腕を組み、街中に向かって歩き始めた。
そして、お互いの会社へ行くために、別れる交差点にたどり着いた。

小谷がその交差点で真菜に声をかける。
「仕事終わったら、僕のオフィスに来いよ。来客って事で会議室抑えておくからさ。」
それが、何を意味するのか、なんとなく、真菜に理解できていた。

悩む真菜を置き去りにするように小谷が続ける。
「周りに人がいなければ、痴漢させ放題なんだろ?」

小谷は妖しい笑みを浮かべながら、自分のオフィスに向かって歩き出していた。

「そんな事、無理です!」
真菜は、小谷の背中に向かって呟く。
ただ、小谷は振りかえりもしなかった。

”もう...”
真菜は自分の会社に向かった。

会社に着いても真菜は仕事が手に着かなかった。
”何をする気なんだろう....”
不安が真菜を襲う。

小谷の事である。そういう事という事は解っていた。
ただ、真菜は自分が、小谷の元に行くだろう。と思っていた。

”厭なのに....”
そう思う。女性として許せない事ばかりだった。
ただ、小谷に指示されると、受け入れてしまう自分がいた。

”何故...”
真菜は、仕事中にそう思いながらも、自分が濡れて行くのが解った。

終業の時間になると、真菜は無意識で小谷の元に向かう。
オフィスの下に着くと、真菜は小谷にメールする。

直ぐに小谷はオフィスのロビーに降りてきた。
「お疲れ様! 会議室はこっちだよ。」
小谷は全く悪びれることなく笑顔で真菜に対峙する。

「来客一名です。」
受付の女性にそう言うと、入館証を受け取る。

それを真菜に差し出すと、会議室に向かう。
「お疲れ様です。」

すれ違う社員が小谷に挨拶をする。
「お疲れ!」

小谷は平然と挨拶する。真菜はそんな普通の会話の中で、これから起きようとしている自分の行動が恥ずかしい。
「この会議室取ったから。」

小谷は、窓の無いやや狭い会議室に真菜を通した。
そして、ドアを閉める。

「ここ、鍵掛るから大丈夫!」
小谷は部屋にかぎを掛けた。

真菜は二人きりになった事と、他人の会社に居る緊張が解け、
小谷に近づく。

「小谷さん...」
軽くしがみついた。そして、小谷の顔を眺める。
今朝のキスを思い出していた。

小谷も真菜の肩を抱く。
真菜は軽く目を閉じた。

「真菜はキス魔だね。けど、今日はお預け。」
寸前の所まで盛り上げておいて、小谷は、真菜の後に周り、羽交い締めにする。

「..酷い。」
真菜がそういうと同時に、既に用意したあったのか、上着を掛けるハンガーに、
真菜の両手を誘導した。

「ここを握って。」

真菜は何の事かわからないまま、ハンガーを握る。

「電車の車内っぽいでしょ?」
小谷は、会議室を電車に見立てて、真菜に痴漢するつもりの様だった。

「変人ぽくって..無理...」
真菜は小谷の要求を拒否する様に、ハンガーから手を退かした。

「言う事きかないと、許さない。」
小谷は、急に表情を変える。
何を許さないのかそれは不明だったが、真菜は自分の意思で、ハンガーを掴み直していた。

「良い子だね。」
小谷はそう言うと、真菜の臀部に今朝の様に手を伸ばし始めた。

「..やっぱり無理。」
真菜は小声で訴える。

ただ、もう小谷が真菜の言う事を聞く事は無かった。

 

四話に続く